「処刑教室」レビュー(池田)

処刑教室(原題:Class of 1984)

 

 

予告編

1982年カナダ

監督:マーク・L・レスター

脚本:トム・ホランド

製作:アーサー・ケント

音楽:ラロ・シフリン

撮影:アルバート・J・ダンク

出演:ペリー・キング、メリー・リン・ロス、ティモシー・ヴァン・パタン、ロディ・マクドウォール、ステファン・アーングリム、キース・ナイト、アル・ワックスマン他

あらすじ

暴力校で有名なエイブラハム・リンカーン高校に音楽教師として転任してきたノリス(キング)。持ち物検査は毎日、教師が銃で護身するなどあまりの荒れ様に愕然。札付きのワルのステッグマン(パタン)のグループに目をつけられる。校長や警察は「証拠が無い」と嫌がらせ行為を黙認。自分の大切な存在にまで被害が及び、ノリスは反撃を余儀なくされる。

 

 

レビュー

監督はシュワルツェネッガー主演『コマンドー』(1985)のマーク・L・レスター。

「教師vs不良」の作品だと次のような展開がお決まりではないだろうか。最初は対立するが、話が進むにつれて意外といい奴、情に厚く仲間思いという面が見えて最後は感動的に終わる。イケメン俳優やアイドルを起用するのが定番。

しかし本作にそんな展開は無い。出てくる不良生徒は武器を所持し、授業妨害、校内暴力、麻薬売買を行い、カッコよさや男らしさは皆無。警備員は教師よりも生徒の言うことを信じ、校長は事なかれ主義、刑事も証拠が無いからと立件できない。家庭訪問の場面では息子の言うことすることをすべて肯定する親が出てきて、イライラする。

こんな学校だが、学業や課外活動に打ち込む真面目な生徒もいる。その一人を演じるのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの主人公役のマイケル・J・フォックス。おかっぱ頭でぽっちゃりしている。『バック~』のイメージと違う。

 

主人公の同僚で、理科室の動物を殺された生物教師が銃で不良生徒を従わせる場面は、今の時代では作れないだろう。生徒は野放しで教師だけに責任を問われるのが、見ていて胸が痛い。

 

嫌がらせや暴言に我慢できなくなった主人公は徐々に反撃。「証拠があるのか?」と自分が言われてきた言葉を相手に返すのが爽快。大人げないとも思うが。最後は主人公vs不良グループの対決。あんなことをされたらいくら生徒でもさすがにキレる。邦題の通り生徒を「処刑」していく。ラストのテロップは伏線が効いている。

主役を演じたキングが災害パニック『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)に大統領役で出演していたのが驚き。

【新歓ブログリレー企画】私はいかにして北大映画研究会に入会するに至ったか(新川)

どうもはじめまして。北大映研部員、新川(にいかわ)です。

さて、僕は当初この企画において、一応映画との関わりを意識しつつも、好き勝手に自分の趣味で書こうと思っていましたが、皆さん映画研究会らしい素晴らしい記事ばかり書くので途方に暮れてしまいました。とりあえず、「映画におけるストーリー構築の常識を無視して存在する日常系萌アニメについての分析 ~『ゆゆ式』を観よ、されば救われん~」は置いておき、今回は、僕自身がなぜ映画に関心を持ち、このサークルに入会に至ったかということを振り返ってみようと思います。この記事を読んで、僕のような映画について勉強不足の人間でも楽しく活動できているサークルであるということを知ってもらい、「面白そうなサークルだけど映画にそんなに詳しくないし……」と不安に思っている方が気楽に新歓に来てもらえるようになれば幸いです。

僕は映画館どころかレンタルビデオ店すら一軒もない小さな田舎町で中学卒業までの少年時代を過ごしました。そんな僕にとって映画を観ることとは、テレビで放送している映画を観ることでした。しかし、我が家では小学校低学年の子供が寝る時間は夜9時であり、また、そういった約束がなくなる年齢から中学卒業までは、毎日夜9時過ぎまで練習をする部活動に所属していました。このため、当時はテレビで放送されている映画すら、まともに観る機会はほとんどありませんでした。札幌の高校に進学し親元を離れた僕は、膨大なひとりの時間と、完璧なプライベートが保障された空間と、札幌といういくらでも映画を観られる環境を手に入れました。しかし、映画館もレンタルビデオ店も、すべて遠い都会のものという意識が抜けなかった僕は、それらを利用しようなどとは一切考えることもなく、また、部屋にテレビを用意しなかったため、完全に映画をみる機会を失ってしまいました。高校三年間で見た映画は、1本か2本だと思います。

では、なぜこのように様々な要素が重なって異常なまでに映画を観ることがなかった僕が、大学で映画研究会に所属するに至ったのでしょうか。端的に言ってしまえば、高校での経験によって、映画を観ることにも、撮ることにも興味が出たのです。

まず、僕は映画は観なくても、アニメはよく観ていました。小学校高学年くらいから、深夜アニメを録画して視聴しはじめ、高校では周囲にアニメを趣味とする人間が比較的多かったこともあり、僕の最大の趣味となっていました。今でも、放送中のアニメを追うことに多くの時間を割いています。アニメは、映像と音楽等が合わさった総合芸術です。そこから、人間の演技というに注目することによって、実写の映画に興味が出てくるのは自然な流れです。また、アニメの多くは漫画を原作としています。漫画について調べると、その画面作りやストーリー構成の多くの部分で様々な映画がモデルとなっているということがわかってきます。僕はアニメから、画面と動きと音楽とストーリーが組み合わさって生まれる総合芸術たる映像に強く惹かれるようになりました。そして、映像芸術として(語義を考えれば当然ですが)より広い範囲での映画に関心を持つようになりました。つまり、僕が虜になった芸術性はそもそも映画のものあることを知ったのです。これが僕が映画をみることに興味を持った理由です。

 また、高校3年生の頃、僕と何人かの仲間で、一本の短編映像を学校祭のイベントのために制作しました。このときは、僕自身に映画に対して特別な思い入れがあったのではなく、映画が好きな友人の発案で決まったものでした。今思えば、何かを創作したいという青春の逸る気持ちが、偶然に映像作りという形を取っただけで、知識は何もなく行き当たりばったり、その質も決して高いものではありませんでした。しかし、そこで触れた仲間との協力を通じた創作活動、映画作り・撮影の難しさと楽しみ、そして得れた賞賛と充足感は、僕たちにそれを続けさせたいと思わせるには十分すぎるものでした。これが、僕が映画作りにかかわりたいと思った理由です。

こういったことから、僕は映画の鑑賞も制作も行っているこのサークルに参加することを決めました。前述のとおり、僕は映画については全くの素人のまま、これから勉強しようという興味のみで入会しました。しかし、そんな僕でもこのサークルは温かく迎えてくださり、結局、総合理系の勉強のために、一年たってもあまり進歩していない現状ですが、撮影に参加したり、映画を観賞したりと、望んでいた活動にかかわれています。

新入生の皆さんも、少しでも映画に興味があるのなら、去年の僕ほど映画を観ていない人はいないと思います。そんな僕でも、こんなにも楽しく映画にかかわることができている素晴らしいサークルですので、決して物怖じせず、ぜひ一度見に来てください。

 

【新歓ブログリレー企画】かかし作り!(高峰)

こんにちは。

かかし作り班の高峰です。福本先輩を差し措いて不肖の身ながらリーダーを務めさせてもらってます。

福本伸浩先輩とは現在理学部物理学科の4年生で、院への進学も決まっている優秀な方です。映研では、みんなに高級銘柄但馬牛のすきやきを振舞ったりしてくださる人徳の人。愛され系の先輩です。新入生の人のために紹介させていただきました。

僕たちのかかし作りは、2月9日、そんな福本先輩から一通のメールが来るところから始まります。

「来週の火曜日暇?案山子作る?」

係決めからまだ一週間、新歓迄まだまだ時間がありますが、福本先輩、やる気満々ですね!

というわけで2月11日、かかし作り第一回目が行われました。

集まったのは福本先輩、部長の西浦先輩、僕の3人。歩きにくい雪道の中、材料を求め45分掛けてホーマックまで歩きました。

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俺たち、かかしブラザーズ な、お二人。〈西浦先輩(左)、福本先輩(右)〉

木の棒、針金などを買って、ホーマックを出たところにある豚丼屋で昼食を摂り、部室へ向かいます。

帰りも45分の雪中行軍です。ゲバ棒に見立てた長い木の棒を持ちながら。

途中西浦先輩が転んで(今冬初転び!)、木の棒が自分に突き刺さりそうになるというアクシデントもありながら、なんとか部室へ辿り着きました。いやー、危うく西浦先輩が人間かかしになるところでしたね!

部室で一息ついてから、かかし制作へ移ります。1年生の池田も来てくれました。

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木の棒を針金で十字に固定した後、服を着せていきます。使用した服は全て4年生の宇治先輩のお下がりです。おかげでオシャレなかかしになりました。

途中、処刑される死刑囚・間抜けのウルトラマンを経て、結局顔は決まらないままです。映画に因んだマスクなどを着けようという意見にまとまりましたが、皆さんはどんなキャラクターがいいと思いますか?

以上、かかし制作第一回目のまとめです。

顔も下半身も出来上がっていないので、あと一週間の内には完成させたいと思います。その折にはまたブログも更新するので皆さんお楽しみに!

 

かかしと言えば映研!!

「道化してるぜ!」レビュー(池田)

道化してるぜ!(原題:Stitches)

 

 

予告編

2012年アイルランド

監督:コナー・マクマホン

脚本:コナー・マクマホン、デヴィッド・オブライエン

製作:ジュリアン・フォード、ブレンダン・マッカーシー、ジョン・マクドネル、ルース・トリーシー

音楽:ポール・マクドネル

撮影:パトリック・ジョーダン

出演:ロス・ノーブル、トミー・ナイト、シェーン・マーレイ・コーコラン、ジェマ・リア・デヴェロー、トーマス・ケイン・バーンズ、イオガン・マックィン、ロイシン・バロン、ヒュー・マルハーン他

あらすじ

トムの10歳の誕生日パーティーに呼ばれたピエロのスティッチーズ(ノーブル)。トムの友人たちは彼をからかいまくり、悪戯の度が過ぎてピエロは事故死する。6年後、高校生になった彼らは、トム(ナイト)の誕生日に再びパーティーを開催するが、ピエロが復讐のために蘇った。

 

 

レビュー

ピエロ恐怖症というのがある。文字通りピエロの奇抜な風貌に極端に恐怖心を抱く症状である。ピエロを悪役にした作品は多い。代表的なのは『キラークラウン』(1988)、『イット』(1990)、『デス・バーガー』(2007)、『ブラッディピエロ』(2007)、『マーダー・ライド・ショー』シリーズなど。

本作は子供の悪戯で死んだピエロの復讐劇。アイルランドの映画を初めて鑑賞した。邦題のセンスがすごい。オープニングのピエロの死はショッキング。あんな場所にあんな向きで包丁を置くトムの母親がどうかしてる。

事件の元凶となった子供たちは高校生になり(ダサく育った感がある)、今度は家一軒を丸々使い、クラス中の生徒を呼び大規模なパーティーを開く。盛り上がってきたところに、墓からピエロが甦り殺戮を開始。標的がティーンエイジャーになるまで待っていたピエロはホラーのお約束が分かっている。

 

 

意外なのが、バカ騒ぎする学生がたくさんいるのに、自分の死に関与した人しか殺さないことである。そのため殺害人数は少ない。しかし、缶切り、傘、空気入れなど、職業がピエロだけあって独特な方法で殺すのでつまらなくない。口から生きたウサギが出たり、小腸でバルーンアートもする。頭を空っぽにして見るべき映画。

【新歓ブログリレー企画】 まだ見ぬ新入生たちへ (西浦)

今晩は。北大映研部長西浦です。

北大入試合格発表終わりましたね。受験生の方お疲れ様です!

北大映画研究会は北大生、藤女子大生で構成される北大公認サークルです。

映画制作を活動の中心としております。

今後も毎日、新入生歓迎(新歓)企画として様々な部員が映研ブログをリレー更新していきますよ。映研の多彩(多才)なメンバーを知るきっかけにして下さいな。映研の部員はサイトのMembersに大体写真付きでのっているのでそちらも是非。

さてさて、今日は私、西浦の話をしようと思います。たいていサークルの空気には部長の人柄が出ているので聞いて無駄な話ではないでしょう。そう願います。

ここから自分語り。はっじまるよ~

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私の話はいつだって長すぎるか短すぎる。簡潔、明瞭な語りは苦手で嫌いなのだ。

ちょっとした私の人生。 映研部員、そして、これを読む新入生と重なるところもあるだろう。

生まれ育ちは遠く熊本。ごく普通の家庭で育てられた私の悪くない趣味は映画を何度も見ることだった。「カイロの紫のバラ」のミア・ファローのようなものだ。テレビ放送の映画をVHSテープに録画して、昼と夜が繰り返すような当たり前さで好きな映画を見ることが、暇の楽しい遊びだった。お気に入りは宮崎アニメやジャッキー映画、そしてスピルバーグ作品だった。

今でもそうだが、宮崎駿、ジャッキー・チェン、スピルバーグはテレビを通して私達の世代に多く親しまれた映画の巨人達だ。最近、宮崎監督、ジャッキーは現役を退くことを発表した。私の映画趣味の始まりの「終わり」をみるのは子供時代との別れのようで寂しい。彼らの後継者はまだ現れないように思われる。アクション映画を教えてくれたトニー・スコットはすでに失われた。

映画への憧憬は高校生になっても途切れず続いた。世界に毒づく生意気盛りの高校生の私は早々に部活に打ち込む人生に見切りをつけ、図書館で本を読み漁った。部員たちは意外に思われるかもしれないが、高校時代は映画館は数えるほどしか行ってない。今では週2で映画館通いだ。札幌は映画館が多く見るものに困らない。熊本にはミニシアター系の映画館(キノとディノスを足したようなもの)とシネコンがあった。単に映画を見に行くほどお金がなかったのだ。

しかし、幸運なことに近所にTSUTAYAがあり勝手に自分の好きな映画を並べた棚を作っていた。アクション、SF映画は有名、無名にかかわらず適当に借りまくった。インテリ気取りの私は映画秘宝を読む前にキネジュンや映芸などの映画雑誌に文藝春秋、中央公論などの教養オヤジ雑誌を読んでいた。少年と老人が同居するヘンテコな高校生だったが、それは大学生の今でも変わらない。

紆余曲折。行ったり来たりの私は北大へと進学し、またも色んな事情からサークルの部長にまでなってしまった。このあたりの事情が知りたい人は新歓のときに私に聞いてくれば大きく脚色して教えよう。予想通り長くなってきた。自分の映画との関わりを話しただけでコレである。

生の部長はこんなにナイーブな文章を書く人間ではない。もっと頭が悪い。直ぐに真面目でなくなってしまう。これはいわばよそ行きの文章だ。面倒な人間であることには変わりないが。ここでいったん筆をとめよう。

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あー疲れた。大体私の人柄わかったかな?私にはわからないな。自分で自分は見えないよ。てんでバラバラ生きている映研の愛しき部員たちを私なぞが代表していいのかしら。     羨ましくない豊かな大学生活を目指すため映研は新たな個性、才能を求めています。    「私、普通だから気後れするな」というそこのあなた!                         映研に興味を持った時点であなたは少し人とずれてるから大丈夫!               映研の入部資格は十分です。

新入生の皆さん!ここまで読んでくれたら是非、新歓にも来て下さい。部員一同、新入生を迎えるため日々面白いことを探しています。待ってるよ。

 

「ミート・ザ・フィーブルズ」レビュー(池田)

ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス(原題:Meet the Feebles)

 

 

予告編

1989年ニュージーランド

監督:ピーター・ジャクソン

脚本:フランシス・ウォルシュ、スティーヴン・シンクレア、ダニー・マルヘロン、ピーター・ジャクソン

製作:ジム・ブース、ピーター・ジャクソン

音楽:ピーター・ダゼント

撮影:マレイ・ミルネ

声の出演:ダニー・マルヘロン、ドナ・アカーステン、スチュアート・デヴェニー、マーク・ハドロウ、ロス・ジョリー、ブライアン・サージェント、ピーター・ヴェレ・ジョーンズ他

あらすじ

12時間後にテレビ生放送を迎えるフィーブルズ劇団。ハリネズミのロバートはスターになることを夢見て入団する。だがその裏側は汚職、暴力、ドラッグが横行する世界だった。団員たちの各々の問題はひどくなっていき、生放送中にもトラブルが続出。そして歌姫のカバ、ハイジが劇団を崩壊に導く。

 

 

 

レビュー

ピーター・ジャクソンの初期の作品。人間は一切登場せず、動物のぬいぐるみと着ぐるみのみ。しかし子供に見せてはいけない内容。一言で言うと成人向きセサミ・ストリート。ほとんどのキャラクターが社会的に汚れている。

性病のウサギの俳優、麻薬漬けのカエルの剣投師、麻薬を売るセイウチのプロデューサー、その秘書でネズミのAV監督、ゴシップ狙いのハエの記者などが出てくる。実写だったら絶対にR18。

 

 

ぬいぐるみが全然可愛くない。デフォルメが激しく気持ち悪い。何の動物をモチーフにしたのか分からないのもいる。トイザらスには陳列できない造形。ぬいぐるみのデザイナーはキャメロン・チトックという人で、『バッド・テイスト』に宇宙人役で出演しているらしい。

事故や殺しで、登場人物は簡単に死ぬ。飛び出るのは綿ではなく血と内臓。そこら辺がリアルになっている。

ストーリーが進むにつれて暴力描写がUP。麻薬を巡ってマフィア映画みたいな殺し合いも起こる。クライマックスは歌姫のカバが『ブレインデッド』並みの殺戮を開始する。

 

 

こんな映画だが、音楽のレベルは高い。メインテーマの”Meet the Feebles”やコーラスの練習曲”One Leg Missing”、エンディングの”Garden of Love”などは耳に残る。ゲイの想いを歌った”Sodomy”は歌詞がストレートすぎる。

 

←ジャクソン監督

 

←製作風景

豆知識

生放送シーンの観客に『バッド・テイスト』の宇宙人がいる

「悪魔のゾンビ天国」レビュー(池田)

悪魔のゾンビ天国(原題:Redneck Zombies)

 

 

予告編

1987年アメリカ

監督:ペリクレス・レウニス

脚本:フェスター・スメルマン

製作:エドワード・ビショップ、ジョージ・スコット、ペリクレス・レウニス

音楽:エイドリアン・ボンド

撮影:ケン・デイヴィス

出演:リサ・M・デヘイヴン、ウィリアム・E・ベンソン、ウィリアム・リヴィングストン・デッカー、ティローン・テイラー、アンソニー・バーリントン・スミス、ジェームズ・H・ハウスリー他

あらすじ

メリーランド州の田舎町。陸軍のジープからドラム缶が落下し、中身が酒の蒸留器に混入してしまう。中身は放射性のプルトニウムで、出来上がった酒を飲んだ村人はゾンビに変身。キャンプに来ていたグループやドラム缶を取り返しに来た軍人を襲う。

 

 

レビュー

以前紹介した『悪魔の毒々モンスター』と同じくトロマ社の作品。全編ビデオカメラで撮影されたらしく画質が悪い。登場人物は野暮ったくてみすぼらしく、本当のホワイトトラッシュ(白人の貧困層)に見える。スタイルの良い人物が一人もいない。

酒(メロンシロップみたいなグリーン)を飲んでゾンビに変身するシーンは反転、ぼかし、トランジションを滅茶苦茶に用いており、酔ってくる。

 

 

襲われるシーンはグロいというより汚い。汚すぎる。

おかしいヒッチハイカー、ストリップ番組、女性監禁など本編に全然関係ないことを所々に入れている。

後半は大量にゾンビが出てくるが、最初の方のゾンビとはえらい落差。顔を白く、目元を黒く塗っただけ。メイク係が手を抜いたとしか思えない。

豆知識

製作費は10000ドル

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」レビュー(池田)

ウルフ・オブ・ウォールストリート(原題:The Wolf of Wall Street)

 

 

予告編

2013年アメリカ

監督:マーティン・スコセッシ

脚本:テレンス・ウィンター

原作:ジョーダン・ベルフォート

製作:リザ・アジズ、レオナルド・ディカプリオ、ジョーイ・マクファーランド、マーティン・スコセッシ、エマ・ティリンジャー・コスコフ

撮影:ロドリゴ・プリエト

出演:レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、マシュー・マコノヒー、カイル・チャンドラー、ロブ・ライナー、ジョン・バーンサル、ジョン・ファヴロー他

あらすじ

ニューヨークのウォール街。株ブローカーのジョーダン・ベルフォート(ディカプリオ)は数人の仲間と「ストラットン・オークモント社」を設立。富裕層を狙った巧みな話術で、瞬く間に大企業へ成長させ億万長者に。ドラッグ、セックス、パーティーの豪遊ライフを送るようになるが、そんな生活は長くは続かなかった。

 

 

レビュー

実在のブローカー、ジョーダン・ベルフォートの著作『ウォール街狂乱日記-「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を原作としたブラックコメディ。

本当に『タクシードライバー』(1976)(アメリカの汚れた裏側を描いた名作)、『グッドフェローズ』(1990)(ジョー・ペシ怖すぎる。『ホーム・アローン』の間抜けな泥棒役とは思えない)のスコセッシの作品なのか?『タイタニック』のディカプリオか?と思えるくらい下品で、R18なのが当然の内容。登場人物ほとんどが欲望全開(主に肉体的に)で、映画の8割をドラッグとセックスが占める。

 

ディカプリオはこんな役をよく演じたものだと思う。中指を立てながら顧客に電話し、バカ丸出しでドラッグを吸い、ナイスバディに目がくらみ妻と離婚して胸を叩く。清々しいほど欲に忠実すぎて全く感情移入できなかった。早く破滅してしまえと思っていた。

評価は賛否がバッサリ分かれる。ネットでは「サイコー」「超面白い」「傑作」の意見もあれば、「下品すぎ」「受け付けない」「途中で止めた」の意見もある。確かに上映時間が長すぎる。あっという間には感じなかった。座りっぱなしで尻が痛くなった。

マシュー・マコノヒーが面白い。序盤に少しだけの登場だがインパクトは強かった。

 

主人公の父親役は『スタンド・バイ・ミー』(1986)の監督ロブ・ライナー。登場人物の中では常識人だが短気。「火曜の夜に電話するな!」「援交費だろ!」が印象に残る。

 

 

批判的な感想が多くなったが、それほど強烈な内容だということである。

1997年に『タイタニック』が日本で公開された時、メディアはディカプリオを「レオ様」と表現し日本の女性を夢中にさせた。当時、後にディカプリオがこんな映画に出演するとは夢にも思わなかっただろう。

個人的に面白かったシーンベスト3

①マシュー・マコノヒー

②帰宅したらゲイが〇交

③ポパイをBGMに救命措置

豆知識

・劇中で使われた「fuck」の回数は506回。非ドキュメンタリー作品では史上最多。他に「fuck」の回数が多い映画で思いつくのは、『パルプ・フィクション』(1994)と『悪魔の毒々ボウリング』(2008)

・ラスト近くでジョーダン・ベルフォートが司会者役で出演