どうもはじめまして。北大映研部員、新川(にいかわ)です。
さて、僕は当初この企画において、一応映画との関わりを意識しつつも、好き勝手に自分の趣味で書こうと思っていましたが、皆さん映画研究会らしい素晴らしい記事ばかり書くので途方に暮れてしまいました。とりあえず、「映画におけるストーリー構築の常識を無視して存在する日常系萌アニメについての分析 ~『ゆゆ式』を観よ、されば救われん~」は置いておき、今回は、僕自身がなぜ映画に関心を持ち、このサークルに入会に至ったかということを振り返ってみようと思います。この記事を読んで、僕のような映画について勉強不足の人間でも楽しく活動できているサークルであるということを知ってもらい、「面白そうなサークルだけど映画にそんなに詳しくないし……」と不安に思っている方が気楽に新歓に来てもらえるようになれば幸いです。
僕は映画館どころかレンタルビデオ店すら一軒もない小さな田舎町で中学卒業までの少年時代を過ごしました。そんな僕にとって映画を観ることとは、テレビで放送している映画を観ることでした。しかし、我が家では小学校低学年の子供が寝る時間は夜9時であり、また、そういった約束がなくなる年齢から中学卒業までは、毎日夜9時過ぎまで練習をする部活動に所属していました。このため、当時はテレビで放送されている映画すら、まともに観る機会はほとんどありませんでした。札幌の高校に進学し親元を離れた僕は、膨大なひとりの時間と、完璧なプライベートが保障された空間と、札幌といういくらでも映画を観られる環境を手に入れました。しかし、映画館もレンタルビデオ店も、すべて遠い都会のものという意識が抜けなかった僕は、それらを利用しようなどとは一切考えることもなく、また、部屋にテレビを用意しなかったため、完全に映画をみる機会を失ってしまいました。高校三年間で見た映画は、1本か2本だと思います。
では、なぜこのように様々な要素が重なって異常なまでに映画を観ることがなかった僕が、大学で映画研究会に所属するに至ったのでしょうか。端的に言ってしまえば、高校での経験によって、映画を観ることにも、撮ることにも興味が出たのです。
まず、僕は映画は観なくても、アニメはよく観ていました。小学校高学年くらいから、深夜アニメを録画して視聴しはじめ、高校では周囲にアニメを趣味とする人間が比較的多かったこともあり、僕の最大の趣味となっていました。今でも、放送中のアニメを追うことに多くの時間を割いています。アニメは、映像と音楽等が合わさった総合芸術です。そこから、人間の演技というに注目することによって、実写の映画に興味が出てくるのは自然な流れです。また、アニメの多くは漫画を原作としています。漫画について調べると、その画面作りやストーリー構成の多くの部分で様々な映画がモデルとなっているということがわかってきます。僕はアニメから、画面と動きと音楽とストーリーが組み合わさって生まれる総合芸術たる映像に強く惹かれるようになりました。そして、映像芸術として(語義を考えれば当然ですが)より広い範囲での映画に関心を持つようになりました。つまり、僕が虜になった芸術性はそもそも映画のものあることを知ったのです。これが僕が映画をみることに興味を持った理由です。
また、高校3年生の頃、僕と何人かの仲間で、一本の短編映像を学校祭のイベントのために制作しました。このときは、僕自身に映画に対して特別な思い入れがあったのではなく、映画が好きな友人の発案で決まったものでした。今思えば、何かを創作したいという青春の逸る気持ちが、偶然に映像作りという形を取っただけで、知識は何もなく行き当たりばったり、その質も決して高いものではありませんでした。しかし、そこで触れた仲間との協力を通じた創作活動、映画作り・撮影の難しさと楽しみ、そして得れた賞賛と充足感は、僕たちにそれを続けさせたいと思わせるには十分すぎるものでした。これが、僕が映画作りにかかわりたいと思った理由です。
こういったことから、僕は映画の鑑賞も制作も行っているこのサークルに参加することを決めました。前述のとおり、僕は映画については全くの素人のまま、これから勉強しようという興味のみで入会しました。しかし、そんな僕でもこのサークルは温かく迎えてくださり、結局、総合理系の勉強のために、一年たってもあまり進歩していない現状ですが、撮影に参加したり、映画を観賞したりと、望んでいた活動にかかわれています。
新入生の皆さんも、少しでも映画に興味があるのなら、去年の僕ほど映画を観ていない人はいないと思います。そんな僕でも、こんなにも楽しく映画にかかわることができている素晴らしいサークルですので、決して物怖じせず、ぜひ一度見に来てください。