チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット(原題 Poultrygeist: Night of the Chicken Dead)
2006年アメリカ
監督:ロイド・カウフマン
脚本:ガブリエル・フリードマン、ダニエル・ボヴァ、ロイド・カウフマン
製作:アンディ・ディーマー、キール・ウォーカー
音楽:ドゥギー・バナス
撮影:ブレンダン・フリント、ロイド・カウフマン
出演:ジェイソン・ヤチャニン、ケイト・グレアム、アリソン・セレドフ、ロビン・L・ワトキンス、ジョシュア・オラトゥンデ、ケイレブ・エマーソン、ローズ・ギャヴァミ他
あらすじ
ネイティブアメリカンの墓地跡にフライドチキンのチェーン店がオープン。レジ担当のアービー(ヤチャニン)は客や同僚の相手に四苦八苦。そんな中、先住民の魂と鶏の怨念が店内の食材に憑依。呪われた料理を食べた人々はゾンビになる。
レビュー
1974年に設立、80年代頃から数多くのスプラッターコメディを作ってきたトロマ・エンターテイメントが手がけた作品。「人間の体から出るもの全部映しとけ!」のノリで非常に下品で悪趣味、当然ながらR-18。外食産業をキツめに風刺し、歌って踊るミュージカル。
先住民「トロマホーク族」の墓地で童貞を捨てようとする主人公(と言っていいのか)。地面から死者の手がウジャウジャ出るが気づかない。覗き見する変態があらわれ、気分を害した彼女は帰ってしまう。変態は肛門から口まで手を貫通される。タイトル前でこの酷さ。
その墓地跡にできたのが、フライドチキンチェーン「アメリカン・チキン・バンカー」。動物愛護を唱える反対派の猛抗議の中、オープンする。この直前にやって来る、「みんな呪われる!」と騒ぐ男は、明らかに『13日の金曜日』の警告する老人のパロディ。店内の食材は即座に呪われる。緑の粘液にまみれた卵、揚げられて悲鳴を上げるチキンと嫌悪感あふれる。厨房担当の従業員は個性が強すぎる面々。この状況を疑問に思うも営業を続け、調理工程が雑すぎる。調味ソースが下水みたいな色。
来客第一号は超肥満体の男(演じるのはトロマ映画の常連ジョー・フレイシェイカー)。呪われた卵を食べた瞬間腹を壊してトイレに直行。個室内を汚物まみれにしてなぜか”脱皮”してしまい、「痩せたぞ!」と歓喜して帰っていく。この時点でまだ本編開始20分くらい。
鶏の嘴と脚を砕いてひき肉を作っていた店員が、チキンに突き飛ばされてマシンに転落、自身がひき肉になる(この店員の魂は後にハンバーガーに憑依)。血まみれの厨房の中、チェーン店設立者の将軍(たぶんカーネル・サンダースのパロディ。”カーネル”(大佐)ではなく”ジェネラル”(将軍))はそれでも営業続行の指示を出す。獣姦嗜好の店員はチキンに股間を噛まれ、助けようとしたムスリムの女性店員のせいでモップの柄が下半身を貫通する。血の量が多すぎる。
緑色のフライドチキンを食べた人々は次々とゾンビに変身。気色悪い鶏ゾンビになった設立者が店長の頭を噛みちぎるのを皮切りに大殺戮がスタート。厨房にある調理器具が凶器と化す。文章にするのも嫌になる。こんな状況でもミュージカル調である。
監督のロイド・カウフマンは未来の老いた主人公の役で登場。なぜここでSF要素が絡むのかまったく分からない。還暦を迎えてもスプラッター映画製作に精を出しているのがすごい。
トロマの人体破壊ギャグに少しでも抵抗がある人にはとても勧められない