2014年ベスト10(番場)

番場でございます。大変遅くなりましたが、私のベスト2014年版発表しますよ。

 

10位 ホームレス理事長 退学球児再生計画

東海テレビ製作のドキュメンタリー。理事長を中心に、退学球児を集めたNPOに集まった人々の1年を追っています。このNPOは経営プランがガッタガタ。野球バカの理事長が金策に奔走するのですが、映画が進むにつれて状況はどんどん悪化していきます。明らかに善人、しかし不器用すぎる理事長が、次第に追い詰められていく様子ときたらもう。目を覆わずにいられません。前半はドキュメンタリーの被写体としてまだギリギリセーフでしたが、後半のあるシーンからはもう完全にアウト。あちらとこちらの垣根を豪快かつみじめに超えてきます。すごい。

 

9位 イコライザー

超つよいおっさんが女の子にたかるクソ野郎どもをぶち殺していく映画。こういう映画は好みなので余程のことがない限り楽しく観られるのですが、これは殺人マシーンものにしては全体的にものすごく落ち着いたイメージを受ける映画です。余計な台詞があまりない。アホに喋らせない。上品にさえ見えます。そのため時折挟まれるぶっ飛んだ見せ場が映える映える。そんな演出の緩急が見事でした。

 

8位 ホドロフスキーのDUNE

『DUNE』という、アレハンドロ・ホドロフスキーが監督する予定で結局作られなかった映画のドキュメンタリーです。関係者の証言を中心として制作過程を追っていきます。ホドロフスキー監督は聖いんだか俗なんだかよくわからない、宗教じみた作品の数々で有名ですから、気難しいおじいちゃんなのかと勝手に思っていましたが、サービス精神旺盛なアッパー系の人物でありました。彼の口から語られる制作エピソードはいちいち面白く、満員のシアターキノが観客の爆笑で揺れていました。ただ、面白い話が聞けるというだけの作品では当然ありません。企画がポシャって打ちひしがれるホドロフスキーが、その現実をだんだん肯定し前を向いていく様子、そして作られなかった『DUNE』に影響を受けた作品のモンタージュが登場する映画終盤は非常に感動的。

 

7位 フルートベール駅で

去年アメリカで、無抵抗の黒人が警察の行き過ぎた公務執行で死んでしまうという事件が何件かありました。この映画は2009年に起こった同様の事件の映画化です。iPhoneか何かで撮影された実際の事件の映像で幕を開けます。駅の構内で警官と若者が一悶着起こし、若者のうち1人が撃たれてしまうのです。そこから映画は時間を遡り、撃たれてしまうまでの彼の1日が描写されます。主人公はこれまで生活の足しにしてきたドラッグの売人業から足を洗って、まともな職に就きたいと思っております。真人間になりたいという意志を持ってるのですね。普通の映画ならその後葛藤を何とか克服して成長していきそうなキャラクターですけれども、この映画の場合は主人公が何をしても、どれだけグッとくる行動をしても、観てるこちらには冒頭の映像が焼きついていますから、なんとも寒々しい思いがするのです。演出の方も感傷的でなく淡々と突き放すように、主人公の犬死に感を煽っていました。犬死にといえば彼が文字通り死んだ犬を抱えるシーンが有りまして、黒人と犬って画面映えするなあと再確認しました。

 

 

6位 あかぼし

公開したの一昨年らしいですが、札幌公開が1月だったので入れました。新興宗教にハマってく母親とその息子の話です。息子と仲良くなる教団幹部の娘が素晴らしかった。外人なんですが、なんだかそこら辺に普通にいそうな子なんです。醜女ではなく、かといって美形というわけでもなく、そして絶妙に幸が薄い。好みです。

 

5位 オンリー・ゴッド

ニコラス・ウィンディング・レフン監督最新作。タイでグレーな仕事をしてるマザコンのジュリアンが、現地の警官で神の化身チャンの断罪を受け入れるという話。だと僕は思っております。前作『ドライヴ』はいつもと違って他人の脚本を使った結果大ヒットしましたが、今回は自分の書いた脚本ですね。案の定あらぬ方向にぶっ飛んでいます。なんせ説明的な台詞やシーンがほぼ無いのです。初見は何が何だかわかりませんでした。なんかタイ人の怖いおまわりさんが背後の何もない空間から刀を取り出して悪いやつをぶった斬ってる!しかも超面白い顔!うひょ~!おもしれ~!このような感想。観た後ずっと気になって、映画館やソフトで繰り返し観てしまいました。周富徳(もしくは猪瀬直樹)そっくりのおっさんが神である、という監督の意図が受け入れられるかどうかで印象が変わる映画ですね。神話なのかシュールギャグなのか。どっちにしろ面白いけど。エンドロールでこの映画がホドロフスキーに捧げられていましたけれども、このシリアスとギャグの境界を行く感じはホドロフスキーっぽいといえばぽいのでしょうか。

 

4位 新しき世界

『インファナル・アフェア』+『ゴッドファーザー』を韓国お得意のバイオレンス描写満載で撮った映画。こんなのもう十中八九面白い。しかもチェ・ミンシクが出ているとなれば。

 

3位 プリズナーズ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。娘を誘拐された男が、警察の対応に満足できず独自に犯人探しを始めます。ヒュー・ジャックマン演じる父親のキレっぷりが最高。独自調査で犯人認定した男をなんと拉致監禁、拷問して自白させようとするのです。男の顔は腫れてアンパンマンみたいになります。誇張ではなくマジでアンパンマンです。お話の方は展開が読めないので最後の方まで非常に面白く観られました。

 

2位 ゴーン・ガール

デヴィッド・フィンチャー最新作。相手を出し抜いた方が勝つ、夫婦間のパワーゲームを扱っております。ただしかなり一方的に妻のほうが強いですね。人を嵌めるには役柄を演じ分ける能力が要るのです。大根で有名なベン・アフレックが、映画出るたびに別人に見えるロザムンド・パイクに敵うはずがないのです。ただ、そんな強い妻も格下だと思ってた奴に不意打ちを食らっていました。とにかく、他人を舐めたり型にはめて捉えたりしててしまうとひどい目に遭うよってことですね。気をつけます。

 

1位 ウルフ・オブ・ウォールストリート

最高。最高です。元証券マンのジョーダンが、そこら辺で拾った仲間たちと詐欺じみた証券会社を立ち上げ、酒池肉林を実現させる!勢いだけのハッタリ野郎共なのに、主人公たちがひどく魅力的に見えました。観てると小学校の休み時間を思い出します。登場人物のほとんどがガキだからですね。皆好き勝手に暴れ回る。僕も混ぜて欲しい。撮影も編集も音楽も奴らの乱痴気を煽りに煽っていきます。特に編集。上映時間が3時間だとは信じがたいほどのスピード感です。最高。

 

 

以上10作品と駄文でした。12月30日で惜しくも閉館した、蠍座で観た映画が2本入ってます(『ホームレス理事長』、『あかぼし』)。素晴らしい映画館でした。

去年は注目作しか観なかったように思います。今年は手広く行きたいなあ。それでは。

 

私らしく生きるということ 映画紹介

今晩は。西浦です。今月から注目映画が多数公開され毎週映画館に行っても追いつかないです。現在シアターキノで11/21までフランソワ・トリュフォーの没後30年特集上映が組まれています。映研部員が気づいていないようなので宣伝しておきます。

詳しくは以下のリンクを参照下さい。http://mermaidfilms.co.jp/truffaut30/

映研部員であればトリュフォーの代表作は見ているはずと思いたいのですが(見たことないという人は勉強不足ですよ!)簡単にどのような監督かを説明しておきますね。

トリュフォーは32年に生まれ、84年に世を去ったフランスの映画監督です。ヌーヴェルバーグ(この言葉にみがまえないで下さい)を代表する監督の一人です。恋愛映画の名手で無数の傑作を残しています。代表作は「大人は判ってくれない」、「終電車」、「突然炎のごとく」、「アメリカの夜」、「隣の女」等です。伝説の映画雑誌、カイエ・デュ・シネマで評論家として活動したのち「大人は判ってくれない」で世界的評価を得ます。ゴダールとの決別という映画史に残る別れをへて、映画人として生涯を全うしました。私の尊敬する映画評論家の淀川長治さんはトリュフォーを映画の使徒、天使であると評していました。トリュフォーは映画をひたむきに愛し、映画の正道を外れないで歩いた人です。

ヌーヴェルバーグの監督というと敷居が高いと感じる人が多いかもしれませんが、トリュフォーの一連の映画はヒッチコックの映画を下敷きにしており、サスペンスと恋愛が絡み合う見事なドラマとなっております。なんの前提知識がなくてもすんなり見れるので未見の方は是非、映画館で見て欲しい。

シアターキノで上映する作品は「大人は判ってくれない」、「突然炎のごとく」、「暗くなるまでこの恋を」「終電車」の四作品です。今回は「終電車」について語りたいと思います。

~フランスの憂鬱、希望の沈滞、終電車の世界~

「終電車」は1980年の作品でトリュフォー映画で最もヒットした映画です。映画の世界ではこの時代、ワクワクするようなドラマというものが流行らなくなっていたんです。現実から希望が失われたとき(例えば911以降のアメリカ映画のように)物語は魅力的な話のネタを現実の生活から見つけることが難しくなります。現実が辛くてつまらないとき作家の視点は過去へと向かいます。「終電車」はドイツ占領時代のフランスが舞台です。フランスが最も落ち込んだ時代であり、レジスタンスとして国民が団結した栄光の時代。このアンビバレントな時代に戻りたいと思う心情はわかる。が、しかしアナクロでもある。宮崎駿が今の政治状況を超えて戦争直前の人々、日本の時代のある種の美しさを「風立ちぬ」で描いたことと通じるところを感じます。

index_topimage

主人公は激動の時代を生き抜き、ユダヤ人の夫とモンマルトル劇場を守らんとする女、マリオン。ナチスドイツの手を逃れ国外逃亡したと思われた劇場主で演出家のシュタイナー。本当は彼は妻のマリオンの助けで劇場の地下室に隠れ住んでいた。彼女は女優兼演出家として舞台に立ちながら夫の演出プランのもと劇を成功に導かなくてはならなくなった。ナチ御用達記者の嫌がらせや夫への追跡、多くの困難に負けず、マリオンは夫と劇場を守り通せるかが物語の軸であります。

劇中劇「消えた女」の上演のため役者を探すマリオンは若き俳優ベルナールを採用する。マリオンの美貌と強い意思に惹かれていくベルナール。話は夫を匿う妻マリオン、隠れた夫シュタイナー、若きべルナールのヘンテコな三角関係へと発展します。

不倫の物語は劇中劇と互いに絡み合いつつ、驚きそしてある種痛快な結末へと向かっていきます。どうなるか、これは映画館で見て欲しいですね。

~美しいってのは窮屈だ、カトリーヌ・ドヌーヴという女優~

終電車の主人公はフランスの大女優、神秘の美女カトリーヌ・ドヌーヴです。彼女の代表作はもちろん「シェルブールの雨傘」。これはミュージカルの傑作。セリフも全て歌で無駄がないぶん話はシリアスという変わった映画。私は視聴後、女とは何なのだと頭を抱えてしまいました。美女とはかくも生きずらいのか。私が美人という生き物について考える一つのきっかけであります。この映画を楽しいミュージカルと受け止められる人はニブチンか美女だけでしょうね。

さて、カトリーヌ・ドヌーヴがどんな女優かというのは下の「シェルブールの雨傘」の彼女を見れば一目瞭然です。神秘の美少女とは何者か。それは全身これ不満感といったもので作られたとんでもなく不器用な女性だったのです。笑顔はその冷淡な顔の裏に隠れ、何が自分なのかしっくりこない。もちろん多くの少女は自分がはっきりしない混沌の中でもがき、うじうじしちゃって見てくれが不健康(ブスになるということ!)になるものです。

20131018183111fd3 (1)

私は美少女と少女をわかつのものは美女は自分にしっくりこないが自らの美しさには疑いを持ってない分自由に動けるということだと思うんですけど、美しいなんてものは周りが決めたよくわからないものだけに怖いことでもあうんです。普通は美女も綺麗なおばちゃんになってしまうけれど、彼女はどこかで大人になるいうことを拒否してしまった節があっります。「終電車」の彼女は若い時のまんま不機嫌顔なのです。

美少女のままおばさんになった女。これって男としては可哀想に思う、というかどうしたもんだと思うのですが、トリュフォーが映画で示した答えはかっこの良い見事なものでした。ここは映画での楽しみとして伏せておきますが。

なんにせよカトリーヌ・ドヌーヴに代表される本当の美女とは身近な幸せを拒絶し、にっちもさっちもいかない不幸の中でホッとしてしまう業を背負った生き物みたいです。ルイス・ブニュエルが彼女と組んでつくった「哀しみのトリスターナ」、「昼顔」なんて本当にその通りで不能の夫に付き添う妻だったり、ジイさまに愛されたりと情念渦巻いているのですが、ここでの彼女の美しさはえも言えぬものがあります。客観的にはど不幸なんですけどね。

 

以下ネタバレがあるので注意!

~それでも君は美しい、トリュフォーの愛~

さてこっからは映画を見た人が読んで欲しいのですが。トリュフォーは一時期カトリーヌ・ドヌーヴと恋仲にあったのです。この「終電車」は全編トリュフォーの彼女への愛で出来ています。マリオンというキャラクターはおばさんになった彼女の境遇を反映しており、それゆえ変な映画になっているのです。三角関係の末にどうなるのか。ここは驚き、ベルナールとシュタイナーまさかのどっちつかずに終わるのです。終戦後の劇場でマリオンを真ん中にベルナールとシュタイナーが舞台の上に立っています。喝采の中でマリオンは二人の手をとり満面の笑みで笑うのです。今までの彼女の映画にはないほっとした安心の笑顔。ここで映画は終わるのです。なんと見事なんでしょうか。どうするか決めかねているマリオンことカトリーヌ・ドヌーヴにどっちも選べ、ごまかしちゃえというのです。

なるほど、カトリーヌ・ドヌーヴとはそう生きるべきであったか。不器用な君はバカだねといって彼女を笑顔にするトリュフォーを尊敬します。彼女らしい美しさとはあの最後の笑顔だったんですね。私らしさとは他人が認めてこそ輝くのだと思いました。

~映画館に向かうのだ!~

トリュフォーの恋愛映画はとても深みがあります。恋愛を理屈や言葉で考えちゃう私にはいい薬になるのです。映研部員で見ていない人はこの機会に映画館で見て欲しいですね。「終電車」以外の作品も面白いですよ。

それでは。ブログの感想待ってます。西浦直人

「ダイ・ハード2」レビュー(池田)

ダイ・ハード2(原題:Die Hard 2)

予告編

1990年アメリカ

監督:レニー・ハーリン

脚本:スティーブン・E・デ・スーザ、ダグ・リチャードソン

原作:ウォルター・ウェイジャー

製作:チャールズ・ゴードン、ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー

音楽:マイケル・ケイメン

撮影:オリヴァー・ウッド

出演:ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリア、ウィリアム・サドラー、デニス・フランツ、フランコ・ネロ、ジョン・エイモス、アート・エヴァンス、フレッド・ダルトン・トンプソン他

あらすじ

前作の事件から1年後のクリスマス。マクレーン(ウィリス)は妻ホリー(ベデリア)を迎えにバージニア州のワシントン・ダレス空港にやって来た。だが、南米の麻薬王の解放を目的にテロ集団が空港の管制機能を乗っ取り、上空の飛行機が着陸できなくなる。このままでは燃料切れで墜落は必至。マクレーンにとって最悪の夜が幕を開けた。

レビュー

隔絶された高層ビルを舞台に、世界的にヒットした『ダイ・ハード』(ネット上でよくある「学校がテロリストに占拠されたら」の妄想ネタのきっかけはこの映画なのでは)の続編。監督はマクティアナンからレニー・ハーリンにバトンタッチ。

本作の舞台は真冬の国際空港。前作のような閉塞感は無い。空港の仕組みや様々な役職など、裏側が見られて面白い。ウォルター・ウェイジャーの小説『ケネディ空港着陸不能』を原作としている。前作の原作小説とはつながりはない。

前作はマクレーンに非協力的な人物が多かったが、本作は協力的な者が多い。対照的なのは空港警察のロレンゾ署長(フランツ)。マクレーンと何度も口論を繰り広げる。

前作の人物も引き続き登場。マクレーンの妻ホリーは降りられなくなった飛行機の中。同じ機内にはTVリポーターのソーンバーグも。相変わらず傍若無人で、終盤で余計なジャーナリスト精神で多くの人々をパニックにする。ロサンゼルス市警のパウエルは序盤のみ。ケーキ菓子”トゥインキー”がまた出てくる。

今回の敵は元軍人だらけの戦闘集団。強い奴らばかりでマクレーンがボコボコにやられまくる。相変わらずSWATが噛ませ犬。

その分敵の死に方はグロさが高まって痛々しい。ベルトコンベアーに巻き込まれたりつららが刺さったり。クライマックスの主翼上での肉弾戦の最期は…初見の時、怖かった。

←どう見ても人形

面白いが、1作目は超えられない。終盤でどんでん返しな展開があり意表を突かれる。前作では少なかった民間人の死者数が本作でドーンと跳ね上がる。そこを批判する意見が多い。北野武曰く「オレの映画よりダイ・ハードの方が何百人も殺してる」

豆知識

・予算7000万ドル、全世界興行収入2億3954万ドル、ブルース・ウィリスのギャラ750万ドル

・なかなか爆発しない手榴弾、強力すぎるジェットエンジンなど、リアリティ完全無視の演出が目立つ

・中盤の銃撃戦シーン。テロリストの一人が『ターミネーター2』で悪のターミネーター、T-1000を演じたロバート・パトリック。ジェームズ・キャメロンの目に止まって役を得たらしい。シュワルツェネッガーとはいい勝負だったのにブルース・ウィリスにはあっさりやられていた

←この役で一躍有名に

【秋新歓ブログリレー企画】「ダイ・ハード」レビュー(池田)

新歓ブログリレーのバトンが回ってきました、2年の池田です。いつもと同じように映画レビューします

ダイ・ハード(原題:Die Hard)

予告編

1988年アメリカ

監督:ジョン・マクティアナン

脚本:ジェブ・スチュアート、スティーブン・E・デ・スーザ

原作:ロデリック・ソープ

製作:ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー

音楽:マイケル・ケイメン

撮影:ヤン・デ・ボン

出演:ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリア、レジナルド・ヴェルジョンソン、ポール・グリーソン、ウィリアム・アザートン、ハート・ボックナー、ジェームズ・シゲタ、アラン・リックマン、アレクサンダー・ゴドノフ他

あらすじ

クリスマス。ニューヨーク市警のジョン・マクレーン(ウィリス)は家族と過ごすため、別居中の妻ホリー(ベデリア)が勤務する、ロサンゼルスにある日系企業ナカトミ商事のビルにやって来た。しかしパーティーの最中、ハンス(リックマン)をリーダーとする武装グループが6億ドルを超える債券を目的にビルを制圧。運よくその場を逃れたマクレーンはたった一人で彼らに立ち向かう。

レビュー

自分の中でアクション映画、クリスマス映画の最高峰だと思う作品。ブルース・ウィリスのアクション俳優としての地位を確立させた。公開時のキャッチコピーは「地上40階!超高層ビルは戦場と化した!」。原作はロデリック・ソープの『ダイ・ハード』(原題は”Nothing Lasts Forever”)。映画は娯楽色が強いが原作はハードボイルドで設定に違いが見られる。”タクシイ”や”トニイ”などクセのある日本語訳。

ビルに閉じ込められ、単独で悪と戦うという設定がいい。シュワルツェネッガーやスタローンみたいなタフガイが敵をガンガン殲滅するのとは違い、ブルース・ウィリス演じるマクレーンは序盤から不満や愚痴を吐き、弱音を漏らして仲間から励まされる、現実感ある警官である。だからこそ感情移入できる。

敵側が魅力的なのもこの映画の特徴。それまでのアクション映画における悪は問答無用で主人公に倒されてほぼモブキャラ、エキストラ扱いが主だったが、本作は13人の強盗全員に名前がついている。リーダーを演じるのは『ハリー・ポッター』のスネイプ教授役のアラン・リックマン。冷静沈着な出来るボス。他にも、格闘、コンピューター、演技力など、特技を持った個性的な部下がたくさん。みんな手際がいい。

←全員集合

悪人ではないが主人公と対立、邪魔する面々がいるのが面白い。ロサンゼルス市警のお偉いさんは主人公に耳を貸さず、視聴率狙いのテレビ局、傲慢で人質のことを考えないFBI…。SWATはこのシリーズでは噛ませ犬。

マクレーンは完全に孤独ではない。パトロール警官のパウエル(ヴェルジョンソン)はビルの外から無線でマクレーンとやり取りして友情を深め合う。地下駐車場に閉じ込められたリムジン運転手アーガイル(『ブルース・ブラザーズ』でレイ・チャールズの楽器店からギターを盗もうとした少年)は終盤で勇敢な一面を見せる。

ユーモアや伏線が多く効いている。「靴を脱ぐんだ」とフォトスタンドはいいアイデア。肉弾戦や爆発など、当然ながらアクション映画の魅力はたっぷり盛り込んである。

好きなシーン

①エレベーターから爆弾投下

中盤、敵の非情さにキレたマクレーンが即席で爆弾をつくって攻撃。敵のミサイル弾に誘爆してビルの3階部分が吹き飛ぶ

②金庫室のロック解除

FBIのせいでロックが解除される。ここで流れるのがベートーヴェンの『歓喜の歌』。敵側の成功なのになんか嬉しくなる

③パウエルのパトカー破壊

ビルの異変に最初に気づいた警官パウエル。敵(とマクレーン)によりパトカーを滅茶苦茶にされる

④ある人物の雄姿

最後、事件が解決して一安心、と思ったら急展開。ここであの人がある行動をとる。感動する。そして流れるヴォーン・モンローの”Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”。

5作目までシリーズ化されているが、1作目が最高。本シリーズのファンページ「ダイ・ハード・タワー」がすごい。登場人物やトリビアはもちろん使われた武器まで事細かに記載されている。あと、全編英語だが「Die Hard Wiki」も情報がビッシリ。以下はそのURL

http://homepage2.nifty.com/die-hard/

http://diehard.wikia.com/wiki/Main_Page

豆知識

・製作費2800万ドル、全世界興行収入1億3740万ドル、ブルース・ウィリスのギャラ500万ドル

・キャッチコピーに「地上40階!」とあるが、舞台となったフォックス・プラザ(20世紀フォックスの本社ビル)は35階建てである。高さは約150メートル

・マクレーンのタンクトップが、なぜか途中から白からこげ茶に変わる

・最初に死んだ敵を仲間が確認するシーン。仲間が死体を叩く直前、目がわずかに動く

・パウエルがコンビニで大量に買い込んでいたのは、Hostess社(現在は倒産)のケーキ菓子トゥインキー(”Twinkie”)。アメリカではポピュラーな菓子で、『ゴーストバスターズ』(1984)や『ゾンビランド』(2009)にも出てくる。そして続編『ダイ・ハード2』(1990)にも。味は超甘くて油っこいらしい

「スクワーム」レビュー(池田)

スクワーム(原題:Squirm)

予告編

1976年アメリカ

監督、脚本:ジェフ・リーバーマン

原作:リチャード・カーティス

製作:ジョージ・マナス

音楽:ロバート・プリンス

撮影:ジョセフ・マンジーン

出演:ドン・スカーディノ、パトリシア・ピアシー、R・A・ダウ、ジーン・サリヴァン、ピーター・マクリーン、フラン・ヒギンス、ウィリアム・ニューマン他

あらすじ

1975年9月29日、ジョージア州フライクリークを襲った大嵐。強風でちぎれた電線が落下し地面に電流を流した。その日から不可解な怪死事件が続発。原因は電流により狂暴化したゴカイの群れだった。

レビュー

リチャード・カーティスの小説『スクワーム』の映画化。”squirm”は「もがく、這う」という意味。大量のゴカイ(ミミズに似た生物)が画面中を埋め尽くす。

最初の方は、喫茶店の飲み物にゴカイが混入したり、腕を噛まれたり、白骨死体が出るレベル。中盤あたりからは死体のシャツを脱がすと体内で蠢く、シャワーの穴から出てくる、足の踏み場も無いほど大発生など、町の住人はパニック、気持ち悪いシーンが続く。顔の皮膚にゴカイが入りこむのは、特殊メイクアーティスト、リック・ベイカーの手腕が発揮されている。

ゴカイのクローズアップは本物が使われており(一部はたぶんゴムホース)「シャー」だの「ピギー」だの変な鳴き声をあげ現実離れ。

ラストはなんとも不気味である。住民はほぼ全滅してしまったのだろうか。

生物パニックでは名の知られた作品だが、グロさは以前レビューしたナメクジ大行進『スラッグス』の方が上回っていると思う。

豆知識

原作には、庭師ロジャー(影の主人公はこの人だと思う)の幼少期のある壮絶な体験が書かれているが、その場面はカットされた

「ランボー/最後の戦場」レビュー(池田)

ランボー/最後の戦場(原題:Rambo)

 

 

2008年アメリカ

予告編

監督:シルヴェスター・スタローン

脚本:アート・モンテラステリ、シルヴェスター・スタローン

製作:アヴィ・ラーナー、ケビン・キング・テンプルトン、ジョン・トンプソン

音楽:ブライアン・タイラー

撮影:グレン・マクファーソン

出演:シルヴェスター・スタローン、ジュリー・ベンツ、マシュー・マースデン、グレアム・マクタヴィッシュ、レイ・ギャレゴス、ジェイク・ラ・ボッツ、ティム・カン、マウン・マウン・キン他

あらすじ

ランボー(スタローン)は戦場を離れタイで静かに暮らしていた。一方、隣国ミャンマーではティント大佐(キン)率いる陸軍部隊が少数民族を虐殺し資源や土地を略奪していた。ある日、ランボーの元へ、アメリカからのNGOの一団がミャンマーへの案内を依頼してきた。一度は断るが、一員のサラ(ベンツ)の熱意に負け、彼らを送り届ける。だが数日後、彼らが軍に捕らえられたと聞かされる。救出するため、雇われた5人の傭兵とともにランボーは再び戦場に身を投じる。

 

 

レビュー

シリーズ3作目『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)から20年を経て、スタローンが監督を務めた4作目。このシリーズは続編を重ねるにつれ死者や暴力表現が増しており、本作は残酷描写や人体破損がかなり激しい。映画開始からいきなり少数民族虐殺の実際のニュース映像が流れ、ミャンマーの悲惨な状況が分かり嫌な気分になる。軍による拉致・虐殺行為もはっきり描かれている。

ランボーがNGOを送り届ける(渋々、嫌々といった感情がモロ表情に出ている)途中、海賊に襲われる。リーダーが戦場カメラマンの渡辺陽一そっくり。「有り金全部よこせ」から「その女(サラ)もよこせ」と要求がエスカレート。「女は見逃せ」という言葉をまったく聞き入れないのでランボーは海賊3人を射殺。ものすごい早業。命を助けてもらったのに「なぜ殺した!」と喚くNGO団を「いい子ぶるな!平和ボケども!」と一括するランボーがカッコいい。だいたいこんな危険な地域を武器無しで行こうとしたNGOは無謀だと思うのだが。

 

NGOが村に着き、治療や支給をしているところを軍が襲撃。軍の行為が鬼である。迫撃砲で木端微塵、銃剣で刺し、手足を切り落とし、子供を射殺し、赤ん坊を火に放り込む。水田に逃げたところをマシンガンで蜂の巣にする。見ていて心が重くなる。民間人がここまで悲惨な殺され方をするのが今までのランボーシリーズと一線を画している。

 

その後、ランボーは救出のため5人の傭兵を送り届けるが自身も戦いへ赴く。村人を、爆弾を仕掛けた水田に走らせて遊んでいた兵士を弓で次々殺すあたりから面白くなってくる。兵士の駐在村での戦いで凄かったのは、素手で敵の喉をむしりとるシーン。握力何kgあるのだろうか。

人質を救ったためもちろん追いかけられる。ここでも見所がたくさん。敵がクレイモア地雷に引っかかり爆発するのだが、威力が凄すぎる。

仲間が負傷して敵に捕まり、射殺される寸前にランボー登場。ここから怒涛のクライマックスが始まる。ブローニングM2機関銃(弾丸が10cmくらいある)を奪い、「てめぇらこの鬼畜ども!」といった感じでミャンマー軍に撃ちまくる。サブタイトルをつけるなら『ランボー/怒りの機銃掃射』。1作目では保安官や軍人をできるだけ殺さなかったが、本作ではまったく容赦がない。撃たれた兵士は皆バラバラに飛び散ってしまうが、前半の殺戮行為があるため同情できない。むしろ爽快感が出てくる。映るのは一瞬だが、ランボーに至近距離で撃たれて上半身が無くなるジープの運転手が山口智充に似ている。ランボーを援護する狙撃兵スクールボーイ(マースデン)の活躍もいい。1発で人間の頭が吹き飛ぶ恐ろしい銃、バレットM82を愛用。

 

 

 

91分の上映時間があっという間だった。クライマックスシーンは巻き戻して3回連続で見た。劇場の大画面で見ればよかった。

スタローン曰く「現実はもっと悲惨」。本作以上なことがミャンマーで行われているのか。

「ランボー」レビュー(池田)

ランボー(原題:First Blood)

 

 

1982年アメリカ

予告編

監督:テッド・コッチェフ

脚本:マイケル・コゾル、ウィリアム・サックハイム、シルヴェスター・スタローン

原作:デヴィッド・マレル

製作:バズ・フェイシャンズ

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

撮影:アンドリュー・ラズロ

出演:シルヴェスター・スタローン、リチャード・クレンナ、ブライアン・デネヒー、ビル・マッキニー、ジャック・スターレット、マイケル・タルボット、クリス・マルケイ他

あらすじ

ワシントン州。ベトナム戦争から帰還した兵士ジョン・ランボー(スタローン)は戦友を訪ねてきたが、彼は化学兵器の後遺症でこの世を去っていた。失意の中、市街地へ来たランボーを、保安官ティーズル(デネヒー)はトラブルを起こしそうだと決めつけてパトカーで街外れまで連れ出す。それでも戻ってくるランボーをティーズルは逮捕、保安官事務所へ連行し拷問のような取り調べを行う。戦争時の記憶がフラッシュバックし、ランボーは周囲の保安官を倒して山へ逃走。一人の帰還兵VS数百人の警察・軍隊の戦いが始まる。

レビュー

デヴィッド・マレルの小説『一人だけの軍隊』の映画化。『ロッキー』シリーズと並ぶスタローンの代表作。たった一人で警察に抵抗する帰還兵の攻防とベトナム戦争の苦悩を描いている。

 

 

主人公ランボーは思った通りに行動する男。街外れで降ろされてもUターンして戻ろうとする。それが原因で連行されるのだが、見た目で判断され保安官から殴る蹴る、水を浴びせるなどの暴行を受ける。剃刀を顔に当てられる寸前に戦争を思い出して逆上。大暴れして山へ逃げる。

 

自然の中ではランボーの独壇場。銃を持った保安官らを、弓や罠など原始的な武器で次々と戦闘不能にする。プレデターのよう。

 

保安官は軍の協力を要請するがそれでも歯がたたない。ランボー、強すぎる。駆けつけた彼の元上官トラウトマン大佐(クレンナ)にも「先に仕掛けたのはあいつらの方だ」と聞く耳を持たない。幾多の修羅場をくぐり抜けた末「暴力には暴力で」という考えに至ったのだろうか。降伏せずに戦い続けるランボーの行動は好ましくはないが身を守るためであり、悪とは言い切れない。というより登場人物に完全な悪人が存在しない。(序盤の取り調べはさすがに理不尽すぎだが)

終盤、ランボーは泣きながら自身の悲痛な心情を大佐に吐露する。このシーンがいい。「命をかけて国のために戦ったのに、アメリカは帰って来た俺たちを称えるどころか非難する!」うろ覚えだがたぶんこのようなことを言っていた。ベトナム帰還兵の心の内を代弁していたのだろうか。

 

「やられたら徹底的に抵抗する」。「大人気ない」だの「やり返したらそいつと同じだ」だの日常ではマイナスに思われるこの行動がこの映画では全編にわたって行われる。だから面白い。

豆知識

・映画では死者数は少ないが、原作ではかなり死ぬ。一般市民も巻き添えになる

・原作の舞台はケンタッキー州

「グレムリン2 新・種・誕・生」レビュー(池田)

グレムリン2 新・種・誕・生(原題:Gremlins 2 The New Batch)

 

 

予告編

1990年アメリカ

監督:ジョー・ダンテ

脚本:チャーリー・ハース

製作総指揮:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、スティーブン・スピルバーグ

製作:マイケル・フィネル

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

撮影:ジョン・ホラ

出演:ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ジョン・グローヴァー、ロバート・プロスキー、ロバート・ピカード、クリストファー・リー、ハヴィランド・モリス、ディック・ミラー他

あらすじ

前作の事件から数年後、ビリー(ギャリガン)とケイト(ケイツ)はニューヨークの高層ビル「クランプ・センター」で働いていた。会長のクランプ(グローヴァー)はセンターの拡大を計画しており、立ち退きを拒否していた骨董品店の主人が急逝。店は取り壊され、そこで飼われていたモグワイは逃げ出すが、遺伝子研究所の研究員に捕まってビル内に連れ込まれてしまう。ビリーはモグワイを助け出すが、モグワイはうっかり水を浴びてしまい、大繁殖する。

 

 

 

レビュー

1984年のSFコメディ『グレムリン』の続編。監督のダンテは作品にホラーやSFのパロディをよく盛り込むが、『オペラ座の怪人』や『ランボー』など、本作もパロディの雨嵐(もはや楽屋ネタ)。本編開始前からワーナーのキャラクター、バッグズ・バニーとダフィー・ダックのやり取りがある。

 

舞台となるビルは声で動くエレベーターやプライバシー皆無の管理システムなど漫画チックにハイテク。本編の登場人物もワンマンな会長、嫌味な監視役や昇進を狙う上司、マッドサイエンティストなど様々なキャラが多くて楽しい。

グレムリンの発生シーンはグチャグチャのドロドロで前作同様グロテスク。テナントの遺伝子研究所を乗っ取り、薬品の摂取で高度な知能を持ったり、野菜が生えたりと気持ち悪い変異種が続々現われ、ビル内をパニックに陥れる。

 

本作はかなりメタフィクション要素が多い。劇中で前作の批判をしたりする。特に中盤のあの展開は初見だと驚く。メタフィクションにもほどがある。プロレスラーのハルク・ホーガンまで出てくる。エンドロールにも一工夫あり。本編終了後はまたワーナーのアニメキャラ。

今まで観た映画で、一番メチャクチャな続編であり、おもちゃ箱をひっくり返したような、遊園地のような面白さ。劇中の料理番組のタイトル『いやしんぼ万歳』に笑えた。相変わらずモグワイは可愛い(特にダンスを踊るところ)。前作を観てから観るべき。メインテーマが脳内ループする。

豆知識

・ヨーグルト屋の客の一人は音楽担当のジェリー・ゴールドスミス

 

・ビル内にミスター・ドーナツがある

・出っ歯のグレムリン”レニー”のモデルは、ディズニーのグーフィー

 

 

・ディレクター役にジョー・ダンテ

「ゴースト・シャーク」レビュー(池田)

ゴースト・シャーク(原題:Ghost Shark)

 

 

予告編

2013年アメリカ

監督:グリフ・ファースト

脚本:エリック・フォースバーグ、グリフ・ファースト

製作:ケネス・M・バディッシュ、グリフ・ファースト

音楽:アンドリュー・モーガン・スミス

撮影:アンドリュー・ストラホーン

出演:ブルック・ハーリング、デイヴ・デイヴィス、スローン・コー、リチャード・モール、ジェイレン・ミッチェル、ラッキー・ジョンソン、トム・フランシス・マーフィ他

あらすじ

港町スモールポートの沖合で一頭のサメが賞金稼ぎの親子に爆撃される。洞窟に流れ着いた瀕死のサメは幽霊となって復活。陸上にも現れるようになり住民を襲う。

 

レビュー

部員の新川が紹介していて興味を持ち、準新作になるのを待って鑑賞した作品。近年のB級映画にありがちな安っぽいCGを多用したアニマルパニック。半透明の幽霊ザメが陸上に出没するというアイデアが面白い。

オープニングからツッコミどころ満載。釣り船になぜ激辛ソースがあるのか、手榴弾があるのか。

 

幽霊ザメは水のある場所ならどこにでも出現する。海水浴場、民家のプールはもちろん、水道管や水溜まり、スプリンクラーからも出てくる。洗車場のくだりは実にバカバカしい。『ジョーズ』同様、子供にも容赦がない。そしてウォーターサーバーから水を飲んだ男の最期は凄かった。

 

 

なぜサメが幽霊になったかの説明は、後半はまともに見てなかったのでよく分からなかった。

ラストの台詞が『ジョーズ』と同じ。

「アリゲーター」レビュー(池田)

アリゲーター(原題:Alligator)

 

 

予告編

1980年アメリカ

監督:ルイス・ティーグ

脚本:ジョン・セイルズ、フランク・レイ・ペリリ

製作:ブランドン・チェイス、マーク・L・ローゼン

音楽:クレイグ・ハンドリー

撮影:ジョセフ・マンジーン

出演:ロバート・フォスター、ロビン・ライカー、マイケル・ガッゾ、ディーン・ジャガー、シドニー・ラシック、ジャック・カーター、ペリー・ラング、ヘンリー・シルヴァ他

あらすじ

ミズーリ州のとある町。少女マリサは仔ワニを飼っていたが父親がトイレに流してしまう。12年後、下水道で死体が相次いで見つかるようになる。下水道内で巨大に成長したワニの仕業だった。

 

 

レビュー

スピルバーグの『ジョーズ』を機に動物パニック映画が乱作された。その中でも本作は比較的高い評価を得ている。1980年の作品なので安っぽさがあるが『ジョーズ』同様、恐怖演出が巧みであり、ビクっとするシーンが数か所ある。

序盤はワニ目線ばかりでなかなか姿を見せない。主人公の刑事が下水道を捜索している時に、暗闇に巨大な顎が浮かび上がり非常に怖い。

 

この手の映画では珍しく、結構早く怪物の存在が知られる。SWATによる大捜索では見つからなかったのに、引き上げた直後に道路を突き破ってワニが登場。どう見てもハリボテ、着ぐるみ感満載だが迫力はある。

 

 

警察とワニの対決ではワニの方が一枚上手。ボートから落ちた警官を襲う構図は『ジョーズ』と同じ。

 

ワニがどうして大きくなったかというと、製薬会社の実験動物の死体が下水に不法投棄され、それを食べたワニがホルモンか何かの影響で巨大化したというもの。化学物質の影響で狂暴化or巨大化という、アニマルパニックの典型的パターン。そしてクライマックスは社長の娘の結婚式の襲撃。地獄絵図。

 

 

ストーリーに関係ないが、主人公が頭髪の薄さについてやたらと言及されるのはなぜ?

豆知識

ワニの着ぐるみを着ていたのは『13金』シリーズの7~10作目でジェイソンを演じたケイン・ホッダー