「コンゴ」レビュー(池田)

かなりネタバレ

コンゴ(原題:Congo)

 

 

予告編

1995年アメリカ

監督:フランク・マーシャル

脚本:ジョン・パトリック・シャンリー

原作:マイケル・クライトン

製作:キャスリーン・ケネディ、サム・マーサー

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

撮影:アレン・ダヴィオー

出演:ローラ・リニー、ディラン・ウォルシュ、アーニー・ハドソン、ティム・カリー、グラント・ヘスロフ、ジョー・ドン・ベイカー、メアリー・エレン・トレイナー他

あらすじ

アフリカのコンゴに派遣された通信会社トラビコムの調査隊が消息を絶ち、社員カレン(リニー)が現地へ向かうことになる。ゴリラのエイミーを故郷へ帰そうとする学者ピーター(ウォルシュ)、慈善家ホモルカ(カリー)も同行して目的地のムケンコ山を目指すが、それは想像を超える危険な旅だった。

 

レビュー

予告編やDVDジャケットの裏を見て面白そうなアドベンチャー大作だと思ったが違った。全体的に漂うB級感。冒頭にブルース・キャンベルが出るが早々と退場してしまう。

 

ゴリラのエイミーは手話を取得しており、手話と連動して合成音声を発する機械で人間と会話ができるのだが、この設定がストーリーに全然関係ない。

 

政治情勢が不安定なため空港で銃撃戦、病院で尋問、国境侵犯で飛行機が攻撃されパラシュートで脱出など突飛なトラブルが続出。途中のタンザニアの場面はキリンやシマウマが出てきて「野生の王国」が感じられて一瞬和む。コンゴに入ってからはヒルに噛まれたりカバに襲われたりする。

 

目的地にはダイヤが眠る古代都市があるのだが、ここを守るのが人間をちぎって殴り殺す凶暴な白ゴリラ(ヒマラヤのイエティのよう)。死霊と闘ったブルース・キャンベルもこいつらには敵わなかった。クライマックスは探検隊とゴリラの攻防だが、土壇場でヒロインがあるものを利用してゴリラを大量虐殺。これにはドン引きした。火山も噴火して残りのゴリラは溶岩に落下。人間を撲殺しまくったゴリラが可哀想に思えた。

 

脱出後のヒロインの行動は、いくら社長の態度がアレとはいえ、感情的じゃないのか。

つまらなくはない。でも、動物もの、冒険もののジャンルだと『ジュラシック・パーク』や『ハムナプトラ』の方が好き

「レザボア・ドッグス」レビュー(池田)

レザボア・ドッグス(原題:Reservoir Dogs)

 

 

予告編

1992年アメリカ

監督、脚本:クエンティン・タランティーノ

製作:ローレンス・ベンダー

音楽:カリン・ラクトマン

撮影:アンジェイ・セクラ

出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーブ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、エディ・バンカー、クエンティン・タランティーノ他

あらすじ

正体を明かさず、互いに色で呼び合う男たちがダイヤ強盗を計画して実行。だが警察の到着があまりにも早かったため失敗、死者や重傷者が出てしまう。無事な者は「この中に警察のスパイがいる」と疑心暗鬼になり、事態はどんどん悪くなっていく。

 

 

レビュー

タランティーノが監督したバイオレンスムービー。『パルプ・フィクション』(1994)と同様に、時系列が入れ替わりオムニバス形式でストーリーが進む。

冒頭は主要人物らがダイナーで雑談。タランティーノがマドンナの曲”Like A Virgin”の歌詞の極端な解釈を述べるのが面白い。タランティーノ作品の魅力の一つは会話だ。場面が変わるといきなりティム・ロスが車の中で血まみれ。状況が『パルプ~』とそっくり。倉庫に場所が移るが、この倉庫内での出来事が物語の大半を占める。

 

 

登場人物はホワイト(カイテル)、ピンク(ブシェミ)などクセ者揃いだが一番印象的だったのはマイケル・マドセン演じるブロンド。「サイコ野郎」と仲間からも恐れられる存在で、警官をさらって拷問するシーンは怖すぎる。

後半は、皆誰も信用できなくなり状況がもつれまくって修羅場となる。『パルプ~』よりもずっとモヤモヤした、スッキリしない終わり方である。

不満な点は、何があったかを会話だけで片づけてしまうのが多いこと。強盗の様子とか「ブロンドによる大虐殺」はホワイトが語るだけで、映像に出てこない。鑑賞者の想像に任せる意図があるのは分かる。90万ドルの低予算だったので仕方ないのかもしれないが。

予算が多く、サミュエルやトラボルタ、ブルース・ウィリスなどが出演した『パルプ~』の方が好きである。

豆知識

・製作を担当したローレンス・ベンダーが警官役。たぶんブシェミを追いかけている人

・ブロンドの本名はヴィック・ベガ。『パルプ~』でトラボルタが演じたヴィンセント・ベガの兄弟だという裏設定がある

「レッド・ブロンクス」レビュー(池田)

レッド・ブロンクス(原題:Rumble in the Bronx)

 

 

予告編

1995年香港/カナダ

監督:スタンリー・トン

脚本:エドワード・タン、ファイブ・マー

製作:バービー・トン

音楽:J・ピーター・ロビンソン、ネイサン・ワン

撮影:ジングル・マー

出演:ジャッキー・チェン、アニタ・ムイ、フランソワーズ・イップ、トン・ピョウ、マーク・アカーストリーム、ガーヴィン・クロス、モーガン・ラム、クリス・ロード他

あらすじ

香港の刑事キヨン(チェン)は叔父の結婚式に出席するためニューヨークにやって来たが、地元の不良集団に目を付けられて険悪な関係に。そんな中、不良の一人が盗んだダイヤを取り戻そうとする犯罪組織も介入してくる。

 

レビュー

ジャッキーがアメリカに進出して初のヒットとなった映画。後に『ラッシュ・アワー』シリーズにつながっていったのだろう。

序盤の集団万引きをボコボコに叩きのめすシーンは相手のタチの悪さが相まって爽快なのだが、その後報復としてジャッキーが路地裏に追い詰められ、瓶の破片を浴びて血まみれになる。スティーブン・セガールほどではないが、「ジャッキー=ひどい目に合わない」と思っていたので衝撃を受けた。

この不良集団がかなりしつこい。関係ない人まで巻き込むので、堪忍袋の緒が切れたジャッキーが殴り込みに行き得意のカンフーアクションが炸裂。やっぱりジャッキーってすごい。

 

中盤からはダイヤを狙う犯罪組織も絡んでくる。不良を木材をチップにする機械に放り込んだりして冷酷非道だが、話が進むにつれて小物感が出て間抜けになってくる。

 

クライマックスはホバークラフトがニューヨークを暴走。ジャッキーが水上を引きずられるのを見て『世界の果てまでイッテQ!』の内村光良を思い出した。道路も走り、車が潰されたりジャッキーが轢かれたりしてそれなりに面白い。

 

ラストがなんとも間抜けでアッサリしている。カンフーで決めてほしかったのに。「えっこれで終わり!?」と思った。

2回も自分の店を破壊されるアニタ・ムイがかわいそう。

豆知識

ホバークラフトに飛び移るシーンでジャッキーは右足を骨折。ギプスをはめて撮影を続行した。エンドクレジットの撮影風景で確認できる

「ダークマン」レビュー(池田)

ダークマン(原題:Darkman)

 

 

予告編

1990年アメリカ

監督、脚本:サム・ライミ

製作:ダリル・カス、ロバート・タパート

音楽:ダニー・エルフマン

撮影:ビル・ポープ

出演:リーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマンド、コリン・フリールズ、ラリー・ドレイク、ネルソン・マシタ、ジェシー・ローレンス・ファーギュソン、ラファエル・H・ロブレド、ダニー・ヒックス他

あらすじ

科学者ペイトン(ニーソン)は人工皮膚の製造のため研究を重ねていた。ある日、恋人が汚職の証拠となる書類を手に入れてしまい、彼はデュラン(ドレイク)率いるギャングに襲われ、研究所を爆破される。全身が焼けただれてひどい有様になるが、痛覚がなくなり超人的な力も手に入れる。研究していた人工皮膚を駆使して、彼はギャング団に復讐を果たしていく。

 

 

レビュー

サム・ライミが監督したアクション・スリラー。アメコミを実写化したような作品で、特撮が20年前のスーパー戦隊みたいで安っぽいが、そこが面白かった。

『スパイダーマン』の先駆けだという意見が多いが、死の間際から復活して悪を裁くというのが『ロボコップ』に似ていると思う。ただし、向こうはあくまで警官でありデトロイトの治安を守っていたが、本作は恨みで対象者を粛清している。

序盤の主人公が痛めつけられる様子もこちらの方がひどい。ギャング団が残酷すぎる。「やりすぎだ、もうやめてやれ」って感じ。

 

一命をとりとめ、病院を脱走、体中に包帯、痛覚無しの主人公は人工皮膚を使って復讐を行う。顔写真があれば立体造形で皮膚が作れるため、敵になりすまして勘違いさせたり、仲間割れを起こさせる。人工皮膚が明るい場所では99分しか保たないという設定なので緊迫感が出ていた。

 

お祭りの的当てゲームの場面がサイコーという意見がある。あの展開は度肝を抜かれた。恋人に向かって”Take the fucking elephant!”(このゾウ持ってけ!)と怒鳴るとは。

あと、ギャングのボスの葉巻カッターの使い方が怖い。

豆知識

サム・ライミの兄弟や友人が多数出演。弟テッド・ライミや兄アイヴァン・ライミ、『死霊のはらわたII』『処刑!血のしたたり』のダニー・ヒックス、最後の最後にブルース・キャンベルが出てきて、マスクで分かりにくいが医者の一人はナンセンスコメディの巨匠ジョン・ランディス監督

 

 

 

「デイライト」レビュー(池田)

デイライト(原題:Daylight)

 

 

予告編

1996年アメリカ

監督:ロブ・コーエン

脚本:レスリー・ボーエム

製作:ジョン・デイヴィス、デヴィッド・T・フレンドリー、ジョセフ・M・シンガー

音楽:ランディ・エデルマン

撮影:デヴィッド・エグビー

出演:シルヴェスター・スタローン、エイミー・ブレネマン、ヴィゴ・モーテンセン、ダン・ヘダヤ、ジェイ・O・サンダース、カレン・ヤング、クレア・ブルーム、ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ他

あらすじ

マンハッタンとニュージャージー州を結ぶホランド・トンネル。帰宅ラッシュの時間帯に宝石強盗の暴走車が有毒廃棄物を積んだトラックと衝突。周囲の車を巻き込んで大爆発を起こしトンネルは崩落する。数名の生存者がいることが分かり、元救命士のタクシー運転手キット(スタローン)は単身救出に向かう。

 

 

レビュー

スタローン主演のディザスター(災害)ムービー。閉じ込められた空間から出口を目指すという点が『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)に似ているといわれる。

本作のハイライトは爆発シーンである。というよりそこしか見所がないと思う。始まってわずか15分で事故発生、2分間にわたってトンネル内を爆炎がつつむ。核兵器でも落ちたのかと思うくらいの威力。

スタローンが通気口から侵入、救出しに来るが、生存者がスタローンに従おうとせず自分勝手な行動ばかりとる。実際にあんな状況下に置かれたら自己中になるのが人間の本質だとは思うが、イライラする。少しはスタローンの指示を聞いてやれ。その後の流れは『ポセイドン~』とほぼ同じ。序盤のトンネル崩壊が映画のピークなので後半が全然頭に入ってこない。

 

爆発シーンは今まで見た災害映画の中でトップクラスの迫力である。メインテーマをWalkmanに入れているが、トンネル内で聞くと怖い。オープニングクレジットがカッコいい。

豆知識

生存者の一人をスタローンの息子のセイジ・スタローンが演じている

「LEGO®ムービー」レビュー(池田)

LEGO®ムービー(原題:The Lego Movie)

 

 

予告編

2014年アメリカ/デンマーク/オーストラリア

監督、脚本:フィル・ロード、クリストファー・ミラー

製作:ロイ・リー、ダン・リン

音楽:マーク・マザーズボー

撮影:バリー・ピーターソン、パブロ・プレイステッド

声の出演:クリス・プラット、ウィル・フェレル、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット、アリソン・ブリー、チャーリー・デイ、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン他

あらすじ

すべてがレゴで構成されたブロックタウン。無個性な作業員ミニフィグのエメットはマニュアル通りの生活に何の疑問も持たず暮らしていた。ある日、建設現場の穴に転落した彼は不思議な世界にたどり着き、世界を救う「選ばれし者」と勘違いされる。悪のおしごと大王が企む世界征服を阻止するためにエメット達は冒険の旅に出る。

 

 

レビュー

デンマーク生まれの知育玩具レゴをテーマにしたCGアニメ。幼少期にレゴで遊んでいたのでこの映画は大当たり。しかし観客が小さい子とその親ばかりで場違いさを感じて恥ずかしかった。

建物や車はもちろん、本編前のワーナーのロゴ、爆炎、水しぶき、石鹸の泡、レーザー光線と何もかもをレゴで表現。画面中がレゴだらけ。序盤のチェイスシーンは『ワイルド・スピード』並みの迫力。玩具だからとバカにできない出来。

 

 

マスタービルダー(想像力豊かなフィグのこと)の集会シーンでは他作品のキャラや実在の有名人のフィグが登場(スーパーマン、NBAのシャキール・オニール、リンカーン大統領、シェイクスピア、ダンブルドア校長、ガンダルフなど多数)。スター・ウォーズのキャラの扱いが可哀想。

 

レゴだからこそ成り立つ設定が面白い(フィグの弱点が接着剤と除光液、建築現場の設計図が組み立て説明書)。終盤はかなりメタフィクションになる。主人公側vs悪役の構図が、自由な発想をもつ〇〇と型にはまった〇〇の関係とつながっている。物語のカギを握る「奇跡のパーツ」の正体が〇〇〇の〇〇なのがいいアイデア。

レゴの面白さを再確認できた作品だった。日本語版予告は流行語の嵐で酷評されまくっている。2017年に続編が公開予定(IMDbの情報)

「刑事ジョー ママにお手上げ」レビュー(池田)

刑事ジョー ママにお手上げ(原題:Stop! Or My Mom Will Shoot)

 

 

予告編

1992年アメリカ

監督:ロジャー・スポティスウッド

脚本:ブレイク・スナイダー、ウィリアム・オズボーン、ウィリアム・デイヴィース

製作:アイヴァン・ライトマン、ジョー・メジャック、マイケル・C・グロス

音楽:アラン・シルヴェストリ

撮影:フランク・ティディ

出演:シルヴェスター・スタローン、エステル・ゲティ、ジョベス・ウィリアムズ、ロジャー・リース、マーティン・フェレロ、ゲイラード・サーティン、ジョン・ウェスリー他

あらすじ

ロス市警の刑事ジョー(スタローン)の元へニューアークから母親トゥティ(ゲティ)がやって来た。過保護で世話を焼きすぎる母にジョーはうんざり。彼の銃を壊してしまった母は息子のために怪しい男たちから非合法な銃を購入。それが原因で事件に巻き込まれる。

 

 

レビュー

『ロッキー』『ランボー』『コブラ』のアクション俳優スタローンが路線を変えて出演したコメディ。スタローンがコメディで初主演を務めたのは1991年の『オスカー』で、失敗作だ、面白くないと酷評されてしまった。

ジョーは腕利きの刑事なのだが母が来てからは振り回されっぱなし。母が息子への愛情ゆえに、息子の幼少時の写真を持ち歩きキャビンアテンダントや同僚に思い出をベラベラ話す、大量の朝食をつくる、拳銃を洗剤で洗って壊す(これが後の事件につながる)と大きすぎるお世話を焼く。自分もこういう経験があるのでスタローンに同情した。

年配の人はなぜ若い人にたくさん食べさせようとするのだろうか。「若者=常に空腹」だとでも思っているのか?過去の話を勝手にしゃべるのは愛情ゆえと分かっていても嫌なものである。

この母親、かなり度胸がある。治安の悪い地区の鉄砲店に行ったり、ガラの悪い男に値引きを要求し、銃をぶっ放す。原題の「止まれ!さもないとうちのママが撃つぞ!」がキャラを見事に表している。

 

『オスカー』同様マイナス評価の多い作品だが、銃撃戦、カーチェイス、家族愛がしっかり描かれていて、私はそうは思わなかった。

豆知識

・出演陣に恐竜つながりが多い。ギャングの一員に『ジュラシック・パーク』のマーティン・フェレロ、鉄砲店の店員は『ロスト・ワールド』のリチャード・シフ。どちらもティラノサウルスに喰われる役。クライマックスの空港の作業員の一人が『ジュラシック・パーク』の冒頭で死ぬ作業員役のジョフェリー・ブラウン

 

 

・オープニングでスタローンに殴られる悪人はヴィング・レイムス

「悪魔の毒々モンスター 東京へ行く」レビュー(池田)

悪魔の毒々モンスター 東京へ行く(原題:The Toxic Avenger Part II)

 

 

予告編

1989年アメリカ

監督、製作:マイケル・ハーツ、ロイド・カウフマン

脚本:ロイド・カウフマン

音楽:バリー・ガード

撮影:ジェームズ・ロンドン

出演:ロン・ファジオ、ジョン・アルタムラ、フィービー・レジェア、リック・コリンズ、安岡力也、関根勤、桂木麻也子、リサ・ゲイ他

あらすじ

トロマヴィルを平和にした毒々モンスターのメルヴィン(ファジオ、アルタムラ)は盲人センターで働いていたが、街の乗っ取りを企むアポカリプス社によりセンターが爆破される。入居者を助けられず落ち込むメルヴィンは日本にいる父(安岡)に会うため来日。東京で騒動を巻き起こす。

 

 

レビュー

第11回にレビューした、トロマ社製作『悪魔の毒々モンスター』の続編。メインの舞台はなんと東京。安岡力也と関根勤が出演している。

序盤の舞台はアメリカで、盲人センターを爆破した悪党とメルヴィンの戦い。車椅子に座らせて折りたたむ、顔中に薔薇を刺す、ボール状に丸めてバスケゴールにシュートと、悪人相手には前作通り残虐。

その後、ウィンドサーフィンで来日。父を探すついでに東京タワーや浅草寺を訪れる。勘違い日本のオンパレード(チョンマゲのサラリーマンとか出てくる)。リポーター役に関根勤。東京タワーの説明時に「全部鉄でできています!エレベーターもついてます!」とメチャクチャなことを言う。道中に出会う悪人はしっかり退治。鼻を鯛焼きにしたり銭湯で茹でたりと前作以上にコミカル。

 

 

 

父親を演じるのは安岡力也。実は麻薬を密売する悪人で、佃島でメルヴィンと戦うことになる。安岡力也の手先はドリフの雷様みたいな鬼、セーラー服のおっさんなど変な人ばかり。相撲のマワシ姿の安岡力也が取っ組み合うシュールなシーンが見られる。アメリカに戻った後も、もう一騒動あり。カーチェイスや爆破ありのアクション。

 

関根勤と安岡力也、その他出てくる日本人の演技のインパクトがすごい映画だった

豆知識

・後半に登場する佃煮評論家を演じるのは漫画家の永井豪(代表作はデビルマン、キューティーハニー、マジンガーZ)。「佃煮には女性を引き付ける魔力があるのです」と言い、関根勤が「すごいですねー」と相槌を打つ

・毒々モンスターの妻の名前がサラからクレアに変わっている。トロマのいい加減さが垣間見える

「ロボコップ」レビュー(池田)

ロボコップ(原題:RoboCop)

 

 

予告編

1987年アメリカ

監督:ポール・ヴァーホーヴェン

脚本:エドワード・ニューメイヤー、マイケル・マイナー

製作:アーン・シュミット

音楽:ベイジル・ポールドゥリス

撮影:ヨスト・ヴァカーノ

出演:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダン・オハーリー、ロニー・コックス、カートウッド・スミス、ミゲル・フェラー、ロバート・ドクィ、ポール・マクレーン他

あらすじ

大企業オムニ社に支配されている近未来のデトロイト。マーフィー巡査(ウェラー)はクラレンス(スミス)をリーダーとする犯罪集団を追ってアジトを発見、侵入するが逆に殺されてしまう。だが、警察官のロボット化を計画していたオムニ社により彼はロボコップとなり復活。街の治安を取り戻していく。

 

 

レビュー

製作費1300万ドルの低予算ながらも大ヒットを記録したSFアクション。殉職した警官がロボットになって悪に立ち向かうという設定が面白い。単なる娯楽映画に留まらず、主人公が生前の記憶を思い出して葛藤するなど重いドラマ要素もある。ヒーローものなのに暴力・流血描写が激しいことで話題となった。

ロボコップはメタリックで頑丈そうな外見。高い身体能力と重装備で悪党を退治するが、どうみても殺している。やりすぎだと思う。

 

ロボコップと敵対する犯罪集団も悪い意味で魅力的。ボスのクラレンスの台詞が面白い。「空は飛べるか?」「ニニニニニ」「ガムやるよ」

 

一味の運転手エミールの最期はとても悲惨。テレビ放映の時は大抵カットされる。

豆知識

舞台はミシガン州デトロイトだが、当時のデトロイトは物語と同じく荒廃していたため、ロケはテキサス州ダラスで行われた

【映研ブログリレー企画】少女は自転車にのって(山木)【レビュー】

どうも、3年の山木です。こんばんは。映研ブログリレーということで、最近見た映画のレビューを書きます

 

『少女は自転車にのって』

サウジアラビア初の長編映画であり、初の女性映画監督による作品という、初めてだらけの作品。

サウジは家庭でのDVD等の視聴は可能なものの、映画館の設立が禁止されています。しかもイスラム教国で女性監督なので(サウジ女性参政権ないし)びっくり仰天、どうしてこんなに素晴らしい作品が撮れるのかと驚かずにはいられません。

大体のあらすじは、主人公の少女ワジダが、近所の少年が自転車に乗るのを見て自分も欲しくなり、お金を貯めて自転車を買う(サウジでは少女が自転車を乗るとか考えられない。そんなはしたない事をしていてはお嫁に行けない。)というお話。近所の少年はワジダのことが好きなので「へいへーい!追いついてみろよー!」といった感じ。ワジダはワジダでコンバースのスニーカーをいつも履いているようなおてんば娘なので、欧米のラブソングのカセットを焼いて売ったり(イスラム教国なので欧米のラブソングを少女が聴くのを憚る。ましてや学校に持っていくとかありえない。)、クラスメイト(女性は男性に素肌を見せないので全員女性。先生も全員女性。)のラブレターを取り次いだり(サウジでは女性の結婚前の恋愛禁止)と、反体制的なやり方でお金を稼いでいきます。ところがどっこいお金がなかなかたまらない。そこに舞い込んでくるコーラン暗唱大会の話。反体制的なワジダは、体制派ど真ん中のコーラン暗唱大会で優勝を目指す。全てはお金のため、自転車のため。

少女が自転車にのる、というあたりがまず萌えポイント高得点なのですが(女性が刀を振るうのとか、銃をぶっ放すのとか好きです)、ワジダの表情があまりに生き生きしていて、もう、すばらし!やりたいことをやるために全力になる姿は見ていて非常に心地良いです。

この映画を見に行く際の懸念は、サウジの社会状況を叙述するための映画になってしまっていないか(こんなにサウジの女性は大変なんですよ!というのを見せられてもつまらない。何かを主張するための映画ではなく、映画は映画の為の映画であって欲しい。)、また初の長編映画ということで技術面や演出面が弱いのではないかということでした。しかし、全くそんなことはないどころか、むしろ僕ごときが調子乗って批判していいレベルじゃない程に素晴らしい出来でした。

去年の僕の年間ベストが『駆ける少年』でして、『少年と自転車』とか『運動靴と赤い金魚』とか似た雰囲気の映画も結構好きなのですが、この『少女は自転車に乗って』はかなり上位に来るレベルで好きです。ワジダ可愛いよワジダ。

シアターキノにて11時半から上映中です。ずっと気になっていた映画で、札幌では上映しないのかと落ち込んでいたのですが、やはりキノがやってくれました。さすが我らのシアターキノ!!!

 
最後に映研の雰囲気について一言のべて終わろうと思います。出戻り自由、何となくいるのも自由という寛容さはみんなが書いてくれていた通りです。映研は議論ができる場なので、飲み会では映画の話はもちろん日本経済の話からAKB48の話まで様々な内容を話していたりします。寛容なので、AKBファンの前でAKBを批判しても怒ったりせず「でもそれは〜」と理性的な反論が返ってきます。誰かが「この映画面白かった」というのに対して、つまらないお世辞とか無視して「いやいやダメでしょ」と返す人がいて、「ここの部分がこうだから良い!」「いやここはありえない!」と議論になっていくわけです。いいですね。