北大映研2017ベスト10

  • どうも、映画研究会部長の三浦です。映画研究会の新歓も一通り終わりました。来てくださった皆さん、本当にありがとうございます。部員が長々と続けて来たブログリレーもこれにて終了です。行間を全く開けず文字をひたすら詰め込む人もいれば、異常に行間を空ける人がいたりと、まぁ「このサークルには色んな人がいるんだなぁ」ということだけでも読んでいる人にわかってもらえれば、部長としては幸いです。

まぁ、最後なんで何か面白いことを書こうかとも思ったんですが、去年の映画研究会全体のベストをまだあげていないことに気がついたんで、それをあげたいと思います。

毎年、ベストテンを集計しているんですが、2016年の1位はシン・ゴジラ、その前はマッドマックス、と割とベタベタなラインナップだったんですが、今年は一風変わった感じになりましたね。あと票が割れに割れて、同率が出まくったんで順位としては7位からになっておりますが悪しからず。

 

7位 ムーンライト

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去年のアカデミー賞作品賞。黒人のゲイの男の子の成長を幼年期、青年期、成人期に分けて描いた物語ですが、まぁとにかく映像が綺麗。いい映画ではあったんですが、この映画に関してなんか書けと言われると難しい。とりあえず観てください。

 
7位 スター・ウォーズ ep8 最後のジェダイ

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世間的に賛否両論でしたし、映画研究会内にも過激な否定派がいたんで、入らないかなとも思ってましたがランクイン。個人のベストの方にも書きましたが、僕的には傑作。宇宙船かと思いきやアイロンでした!っていう普通の人が観たら訳わからない爆笑シーンがあるんですが、これ『ハードウェア・ウォーズ』っていうスター・ウォーズファンなら誰しも知ってるスター・ウォーズパロディ映画のパロディなんですよね。こういうマニアックなところ含めて最高でした。

 

 

6位 ハクソー・リッジ

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第二次世界大戦における沖縄戦の前田高地の戦いで多くの命を救った衛生兵の実話の映画化。戦争映画の面白い部分を全部ぶち込んだみたいな映画。ストーリーとか演出とかはベタベタのベタベタなのに、なんでこんな面白いんだろうってくらい面白い。主人公が恋に落ちるシーンとか、いつの映画だよってくらいほんとにベタベタなんですけどね。ただ、実戦のシーンは内臓飛び散るわ手足ぶちぎれるわで凄い迫力なんで、未見の方は是非。

 
5位 セールスマン

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個人のベストの方にも入れました。アーサー・ミラーって人の『セールスマンの死』って戯曲が劇中劇として出てくるんですが、映画自体がこの戯曲とリンクしていますね。リベラルな人間が妻が襲われたことをきっかけにどんどん保守的で暴力的になっていくという普遍的な怖さを描いた作品。

 
5位 ベイビー・ドライバー

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強盗犯を車で逃す逃し屋を描いたロック・ミュージカル。カーアクションと音楽が完全にリンクしている演出で結構日本でも話題になりました。個人的にグッと来たシーンはFocusっていうオランダのバンドのHocus Pocusって曲に合わせて主人公が警察から逃げるシーンですね。このFocusってバンドは70年代にオランダでプログレッシブ・ロックっていうジャンルの音楽をやってたグループなんですが、こんなグループのことを知ってるのはほんの一部のプログレッシブ・ロック好きだけだと思うんですね。僕はこのFocusってグループが大好きなんですけど、こんな大作映画であんな使われ方するとは思ってもみませんでしたね。あと劇中でQueenのBrighton Rockって曲が結構重要な役割を持ってるんですが、これはグレアム・グリーンっていう作家が書いた『ブライトン・ロック』って小説が映画全体の元ネタになってるからだと思うんですね。映画が気に入った方は小説の方も是非。

 
4位 ララランド

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観た人も多かったらしく、上位にランクインしましたね。まぁ、とにかく最初のロングテイクが凄いですね。何度か観てると、微妙にカット切ってるなって感じるところがあるんですけどほとんどわからないですね。このテイクのリハーサルを監督自身がiPhone片手に撮ってる映像があって、「iPhoneでここまでできるのか」って感じで結構凄いんで、暇な方は見てください。

 
3位 ブレードランナー2049

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この辺までは結構普通のランキング。まぁ、この映画は本当に主人公がひたすらいじめられる映画。初っ端から結構ずっとひどいことが主人公に起こるんですけど、きわめつけは主人公が「お前、自分は悲劇のヒーローなんだみたいな顔してるけど、そんなに大層な身分でもねぇから!」って突きつけられるとこですね。ここは本当に観てて唖然としましたね。なんか一番受けたくない精神攻撃を喰らった気分になる。まぁ、「エモい」って言葉が本当に似合う映画だったんで未見の方は是非。

 
2位 全員死刑

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7位から3位までと2位1位の作品が全く別のランキングみたいになっていて笑えます。全員死刑は観た人自体はそんなに多くなかったみたいですが、観た人のうちのほとんどが1位とか2位に入れたためにこの順位。てな訳で映研一押しの作品です。是非見てください。

 
1位 コクソン

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奇しくも映研の1位2位と僕個人の1位2位が同じになってしまいました。別に圧力をかけたりした訳では決してないんですがね。これも全員死刑と同じで少数の人が1位2位にいれたせいでこの順位。しかも、全員死刑に票をいれた人がもれなくコクソンにも票をいれてます。まぁ、これは本当に凄い映画だったんで観た方がいいですよ。

 
てな訳で、映研の2017ベストはこんな感じです。まぁ、シン・ゴジラとかマッドマックスみたいな圧倒的に1位って作品がなかったために一部の人の歪んだ映画癖がランキングに反映された形ですかね。勘違いして欲しくないんですが『全員死刑』とか『コクソン』を嬉々として最高だと言っている人たちは映研の中でも極少数です。そこんとこよろしくお願いします。

 
映研の今後の予定についてちょっと記しておくとまず5/3にジンパがあります。10:30教養棟ロビーに集合で、11:00頃から円山公園でジンパ開始の予定です。雨があんまり酷いとキリンビール園になるかもしれません。

正式に入部したいという方は5/11に教養棟のE205にて例会があるんでそこに来てくだちい。
なにかわからないことがありましたらTwitterのDMなりgmailなりにご連絡ください。

それでは例会で会いましょう。

2017年私的ベスト10

どうも、映画研究会部長の三浦です。受験生のみなさん、入試お疲れ様です。見てる人いるのかな。まぁ、いいや。だいぶ遅れてしまいましたが、去年の個人的なベスト映画を挙げようかなと思います。

 
10位 セールスマン

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イラン映画。すごい丁寧に作られててすごいなぁという感じ。イランって映画にいちいち、反社会的じゃないかとかって検閲が入るみたいなんですけど、結構ギリギリなところ責めてて面白いですよ。唯一の難点は同監督の前作『別離』と似すぎ。ごっちゃになる。

 
9位 ラ・ラ・ランド

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去年、アカデミー賞を受賞したかと思いきやしなかった映画。映画研究会内には天邪鬼なのか知らないけど、案外否定派も多かったですね。まぁ、映画の好みなんて人それぞれですからね。でも、「ハッピーエンドでいい」とかっていい意見聞くと、「ちょっと何言ってんだろう」みたいな感じですけど…。誰かが「質の悪いドラッグ」って評してたんですけど、見てる間、ハイになれんだからそれでいいんじゃないって感じですね、僕的には。

 
8位 ダンケルク

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陸・海・空の3パート構成で、各パートでの経過時間が違うという戦争映画の面被った実験映画。まぁ、観てない人は何言ってるかわからないと思います。劇場で観ると、音が実際の戦場よりうるさいんじゃないかって感じで愉快でしたね。見逃した人はどんまい。

 
7位 メッセージ

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作。音楽も撮影方法も編集も全部が物語そのもののテーマと結びついてて、こりゃ凄いなって感じでしたね。原作の『あなたの人生の物語』っていうのは短編で、映画に比べるとかなりコンパクトなんで、まぁ脚色も凄いなと。

 
6位 ブレードランナー2049

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またもやドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作。今年はドゥニヴィルイヤーでしたね。ブレードランナーの続編という出オチみたいな企画をあのレベルで仕上げたのは大したもんだなと。1作目みたいなカルト的なものにはならなかったにせよ、1作目以上に普遍的で感情移入しやすい作品になってますね。劇中にナボコフの『青白い炎』って作品が登場しますけど、あれが全体の下敷きになってますね。興味ある方は是非。

 
5位 アシュラ

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もう題名通りの作品。映画開始30分からラストまでひたすら地獄度が加速してって、もう最後はぐっちゃんぐっちゃんですからね。あと撮影もどうやってんのって感じのところがいっぱいありますね。カメラがフロントガラスを突き抜けたりね。まぁ、韓国の撮影技術はすごいなぁと。

 
4位 沈黙 ーサイレンスー

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これも地獄みたいな作品でしたね。ユダが実はキリストに一番近いんじゃないかみたいな話なんで、原作の方は出版された時、カトリックで禁書扱いされてたんですけど、今回の映画はヴァチカンで上映されて、ちゃんと認められましたね。それだけでも十二分に意義のある映画化だったと思います。

 
3位 スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ

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まぁ、脚本としての整合性は殆どとれてないし、行き当たりばったりの展開でネタみたいなシーンは大量にあるんで、否定派が多いのもしょうがない。ただ、いわゆる神話の血統主義的なものをポップカルチャーに持ち込んだ最初の例と言ってもいいスター・ウォーズシリーズがそれを捨て去るってのはとんでもなくチャレンジングだし、そこだけで物凄く胸熱でしたね。まぁ、ただこの状態でエピソード9を丸投げされたJJが本当に可哀想。

 
2位 全員死刑

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予告見たときは奇をてらっただけのグロ映画かなと思い、あまり期待してなかっただけに衝撃でしたね。全カットがバチバチに決まってる上に、無駄な部分が一切ない。監督の小林勇輝は殆ど天才だと思いますね。今後に期待。

 
1位 コクソン

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國村隼史上最高に恐い國村隼が見れます。前半はよくあるホラー映画かなと思ってると、進むに連れてどんどん展開が読めなくなっていって、ラスト30分くらいはひたすら観客を惑わせ続ける。祈祷師vs國村隼のカットバックによるフォースぶつけ合いは映画史に残る名シーンだと思います。

 
その他よかった映画…ベイビー・ドライバー、お嬢さん、第三の殺人、グリーン・ルーム、ノクターナル・アニマルズ、等々
個人的なベストはこんな感じです。まぁ、3月くらいに一気に公開された韓国映画3本(コクソン、アシュラ、お嬢さん)が結構強烈でしたね。日本映画もいいのは何本かあったんですが、2016年ほどではなかったです。あと、なんか知りませんが「地獄!」みたいな映画が多かったですね。そういう時代なのでしょうか。
ちなみに映画研究会では毎年、部員のベストを集計してベスト10を出してるのですが、先程集計が終わり近日中にアップする予定です。なかなかアクの強いベストになったんで乞うご期待ください。

秋新歓ブログリレー#6 メディアルームのススメ

どうも部長の三浦です。

何について書きましょう。ほんとは7月末に行ったフジロックのことだとか最近読んだ小説の話だとかしたい気持ちもなくはないんですが、5,6回やってて映画の話を誰もしないという状況の中、部長の僕まで映画以外の話をしたら本当に映画研究会なのか疑われそうな気がするんで、映画の話します。

今年も面白い映画たくさんありましたね。まぁ、でも今年の映画の話とかどうせ年末にやると思うんでやめとくか。

北大の北図書館のとこにメディアルームってあるの知ってますかね。まぁ、なんかDVDがたくさん置いてあって、それをパソコンで見れるよって部屋です。あそこって結構レアな映画がたくさんあって、某レンタルビデオ屋とかじゃ全然借りれないような作品もたくさん置いてあるんですよ。今日はその紹介でもしようかなと思います。
①ジョン・カサヴェテス監督作品
ジョン・カサヴェテスって誰だよって思う人も結構多いと思うんですけど、20世紀最大の映画監督とかって呼ばれることもあったりするすごい人なんですが、なかなか観れる機会がない。でも、北図書館にはほとんど全ての監督作品があります。

②クラシック映画
すっごい昔の映画も北図書にはたくさんありますね。サイレント映画とかってあんまレンタルビデオ屋には置いてないですよね。まぁ、借りる人少ないからだと思うんですけど。でも、例えばこの夏に『ダンケルク』って映画あったじゃないですか。あの映画の監督が参考にした映画って基本的にめちゃくちゃ古いのばっかりなんですよね。『サンライズ』とか『グリード』とかって映画を参考にしてるんだよって発言を結構してるんですけど、レンタル屋行っても基本無いんですよね。でも、北図書にはあるんでみなさん是非。

③フランス映画
1950年代末のフランスでヌーヴェルヴァーグっていう、まぁ映画における革命みたいのがあったんですが、その際に作られた作品とかって題名だけはめちゃくちゃ有名なのに観る機会がなかなかない。でも、北図書館では観れます。アラン・レネとかエリック・ロメールとかって監督の作品がたくさん観れます。あと厳密にはヌーヴェルヴァーグでは無いんですが、同時代のフランス映画の監督でロベール・ブレッソンって人がいるんですね。この人の監督作品も結構観れます。「そんなちょっと小難しそうでインテリ気取りのフランス映画なんて別にいいよ」って思うかもしれませんが、観れるなら観れるうちに観といたほうがいいと思います。

④ここ最近のマイナー映画
21世紀の映画とかでも、やっぱりレンタル屋でレンタルできないものとか結構あるんですよね。特に借りる人が全然いなそうな外国映画とかだと。でも、北図書館にはロシアとかハンガリーとかタイのマイナーな映画とかも置いてあって、なかなか良いんでオススメです。
はい。ってなわけで北図書で観れる映画の紹介をした訳ですが、如何だったでしょうか。「別に古い映画とか芸術映画とか興味ねぇしな」と思った方がほとんどだと思います。でも就職して、北海道から出てって、つまらない日々に飽き飽きして、映画にハマったあとで、「あの映画観たいけど、どこにも無いなぁ。北図書だったら観れたかもなぁ」なんて思っても遅いですからね。とりあえず観てみる。その精神が大事だと思う今日この頃です。

 

あとめちゃくちゃどうでも良いですけどナンバリングするときの記号#と音楽記号の♯ってややこしいですよね。論文とかで気をつけてください。

 

グダグダ書いてたら更新予定時間過ぎましたが悪しからず。

 

 

 

春新歓ブログリレー㉛ 21世紀最高の映画 Part2

すみません、だいぶ遅くなりました。50本の映画にコメントするのが予想以上にめんどくさかったです。もう新歓始まってますが、Part1と言った以上2もやりますよ。

50. 「黒衣の刺客」(2015年/ホウ・シャオシェン監督)◯

この映画、予告編観るとアクション映画かと思うんですけど、すごい静かな映画なんでね、眠くなっちゃう人もいるかもしれません。

49. 「さらば、愛の言葉よ」(2014年/ジャン=リュック・ゴダール監督)✖︎

この監督はもう80歳くらいの巨匠中の巨匠です。これは最新作で監督初の3Dらしいですが、未見です。すみません。

48. 「ブルックリン」(2015年/ジョン・クローリー監督)◎

こんなにランク高いのかって感じです。これはアイルランドからアメリカへ渡った移民を主人公の女の子に象徴させて描いてるんですが、それをわかってないと「なんだこの女は!」みたいな感じになりかねます。

47. 「リヴァイアサン」(2014年/ルーシャン・キャステーヌ=テイラー、ヴェレナ・パラヴェル監督)△

リヴァイアサンってタイトルの映画多すぎるんですよね。リヴァイアサンって怪物の名前かなんかなんで、B級映画とかホラー映画でよく使われますね。まぁ、もちろんこれはそんなんじゃなくてドキュメンタリー映画です。漁船漁業についてのドキュメンタリーなんですが、映像がとにかくすごいんですね。ドキュメンタリーっていうとハードル高く感じるかもしれませんが、これはちょっと観てほしいですね。

46. 「トスカーナの贋作」(2010年/アッバス・キアロスタミ監督)◯

これは前回の記事の98位で紹介した「10話」って映画と同じ監督の作品です。これは映画内で2人の男女が夫婦を演じるんですが、観てるうちにその2人が夫婦を演じてるだけなのか本当の夫婦なのかわかんなくなっていくっていう不思議な作品ですね。この監督作品の中では見やすい方の映画です。

45. 「アデル、ブルーは熱い色」(2013年/アブデラティフ・ケシシュ監督)◯

レズビアンの映画なんですが、性描写がかなり激しいんで、話題になりましたね。主演女優2人の体当たり演技が物凄いんで観てほしいですね。

44. 「それでも夜は明ける」(2013年/スティーブ・マックイーン監督)◎

アカデミー賞作品賞受賞作品ですね。これは北部の自由黒人がいきなり拉致られて、12年間奴隷の身になってしまったっていう実話の映画化なんですが、ただ単にそれを描くんじゃなくて、主人公の体験を観客に追体験させるような映画になってるのがすごいですね。

43. 「メランコリア」(2011年/ラース・フォン・トリアー監督)◯

これは惑星が地球に衝突して滅びるって話なんですが、全然ディザスタームービーみたいな感じじゃないんですね。主人公が鬱病で精神不安定なんですが、惑星が近づくにつれて鬱病から解放されていくっていうすごい変な映画なんですね。でもこの監督作の中じゃ一番好きです。

42. 「愛、アムール」(2012年/ミヒャエル・ハネケ監督)△

この監督はすごい嫌な映画ばっかり撮る人なんですが、この作品だけはすごい優しい映画になってますね。老人介護の描写がほんとに見てて辛くなってきます。

41. 「インサイド・ヘッド」(2015年/ピート・ドクター、ロニー・デル・カルメン監督)◎

ピクサーの映画ですね。頭の中を映画化してるんで、子供にはちょっと難しかったんじゃないかなって気がしますね。

40. 「ブロークバック・マウンテン」(2005年/アン・リー監督)◎

カウボーイのゲイの映画ですね。この監督は台湾人ですが今やハリウッドでバンバン撮っててこの映画と「ライフ・オブ・パイ」という映画で2回アカデミー監督賞受賞してます。個人的には「ライフ・オブ・パイ」の方が好きです。

39. 「ニュー・ワールド」(2005年/テレンス・マリック監督) ◯

この監督はこの頃くらいまでは、まぁまともな映画撮ってましたね。まともといってもかなり意味不明ではありますが。この監督は照明を使わないで自然光で撮影するんで、映像がすごいんですね。ただセリフも説明も少なすぎて観てる側としては「わかんねえよ!」って気分になります。

38. 「シティ・オブ・ゴッド」(2002年/フェルナンド・メイレレス監督)◎

これはブラジルのスラムにおけるギャング抗争の映画。ギャング抗争っていうとスーツに葉巻のイカした男が殺しあってる印象かもしれませんが、この映画で殺しあってるのはまだ10代の子どもたちなんですね。よくこんなとこでオリンピックやったなと思います。

37. 「ブンミおじさんの森」(2010年/アピチャッポン・ウィーラセクタン監督)△

アピチャッポン監督は3度目の登場。すごいですね。この監督の映画は4本観てますが個人的にはこれが一番好きですね。まぁ、すごー く不思議で幻想的な映画です。

36. 「禁じられた歌声」(2014年/ アブデラマン・シサコ監督)✖︎

イスラム過激派が題材の映画はだそうですが、未見です。すみません。

35. 「グリーン・デスティニー」(2000年/アン・リー監督)◎

中国の映画ですね。この映画の影響でハリウッドで一時期ワイヤーアクションっていうのがめちゃくちゃ流行りましたね。人がワイヤーで吊るされて、飛んでくやつです。まぁ、これは普通に面白い映画なんで観てほしいですね

34. 「サウルの息子」(2015年/ネメシュ・ラースロー監督)△

これは去年のベストに入れました。ホロコーストの掃除役をやらされたユダヤ人の話なんですが、ピントがボケボケで何が起こっているのかがよくわからないんですね。でも、それが逆に恐ろしい。凄まじい映画です。

33. 「ダークナイト」(2008年/クリストファー・ノーラン監督)◎

これはバットマンの映画ですね。この映画はアメコミの映画化を極めてリアリスティックに撮ろうってコンセプトで撮られてるんですね。なによりもすごいのがバットマンの宿敵・ジョーカーを演じるヒース・レジャーの演技。彼はこのジョーカー役にのめり込みすぎて、薬物中毒で死んでしまいました。ほんとに命かけてます。

32. 「善き人のためのソナタ」(2006年/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)◎

これは東ドイツで反逆者の諜報をやってる男が主人公なんですが、諜報してるうちに徐々に今の自分の仕事とか国の体制とかに疑問を抱いていくっていう話で、めちゃくちゃ面白い映画です。

31. 「マーガレット」(2011年/ケネス・ローナガン監督)✖︎

今度「マンチェスター・バイ・ザ・シー」って映画が公開されますが、その監督の1個前の作品ですね。未見です。すみません。

30. 「オールド・ボーイ」(2003年/パク・チャヌク監督)◎

これは以前、韓国映画の記事のところでも紹介しましたが、めちゃくちゃ面白いですね。話も面白いし、バイオレンスも凄まじい、演技も素晴らしい。おすすめです。

29. 「ウォーリー」(2008年/アンドリュー・スタントン監督)◎

最近のピクサー映画の中じゃ、一番好きです。ロボットが主人公なんですが、人間とか人間らしさとかを考察しているんで、ほんとに素晴らしいと思いますね。子供も大人も楽しめるところがすごい。

28. 「トーク・トゥ・ハー」(2002年/ペドロ・アルモドバル監督)◎

この映画はちょっと話すとネタバレになるんで、紹介が難しいんですが、昏睡状態の女性とそれを介護する男の話です。これ以上は言えませんが、観る人によってはちょっと気持ち悪く感じる人もいるかもしれません。

27. 「ソーシャル・ネットワーク」(2010年/デヴィッド・フィンチャー監督)◎

この映画はほんとにすごい映画なんですね。一見、普通の映画なんですが、細かく見ると構図とか編集とかCGの使い方とか技術的な面でほんとに完璧といって差し支えないレベルです。偉大な映画ランキングみたいので必ず上位に来る「市民ケーン」って映画があるんですが、この「ソーシャル・ネットワーク」はそれを完全にアップトゥデートしてるんで、すごいですね。

26. 「25時」(2002年/スパイク・リー監督)◯

これは主人公が麻薬ディーラーで、捕まってしまうんですね。で、この映画は主人公が収監されるまでの25時間を描いてるんですね。 ただ普通と違うのはこの映画は9.11をひとつの題材としていて、主人公の姿と9.11以降のアメリカっていうのを重ねて描いてるんで、少し深読みできる映画となってます。

25. 「メメント」(2000年/クリストファー・ノーラン監督)◎

この映画はすごい変わった映画で、時系列が逆になってるんですね。まぁ、説明すんのがちょっとめんどくさいんで観てほしいんですけど、主人公は記憶障害を抱えていて、10分しか記憶が持たないんですね。だから、忘れちゃいけないこととかを自分の体にタトゥーにして彫ってるんですね。で、奥さんを昔、殺されたんで、その真相を探っていくって話ですね。この映画は監督のその後の作品、「ダークナイト」、「インセプション」、「インターステラー」とかの原点になっているのが面白いです。

24. 「ザ・マスター」(2012年/ポール・トーマス・アンダーソン監督)◯

この映画はサイエントロジーっていう新興宗教が一応、題材になっていますが、わけわからん映画になってますね。監督が自分の撮りたい映像を撮って、脈絡なくぶち込んでるんで、よくわかんないんですね。ただ、映像はすごいですよ。

23. 「隠された記憶」(2005年/ミヒャエル・ハネケ監督)◯

この監督はほんとに胸糞悪くなるような映画ばっか撮ってるんですね。この映画は主人公の家に自分の家を盗撮してる映像が送りつけられてくるんですね。この映画、面白いのは「誰が盗撮映像を送ってきたのか?」って謎から「なぜ主人公はそんな映像を送られるハメになったのか?」って謎に焦点がシフトしていくんですね。で、その謎を通じて、フランス人にとってタブーになっている事件(ドイツにとってのホロコーストや日本人の南京虐殺のようなもの)を抉り出そうとしているんですね。だから、フランス人にとってはかなり観るのが厳しい映画だと思います。もちろん、これはフランス人のみじゃなくて、全世界における潜在的な人種差別意識とかに対する批判になってます。

22. 「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年/ソフィア・コッポラ監督)◯

日本人には評判の悪い作品ですね。まぁ、日本に来て、コミュニケーションができずに孤独を感じている外国人を描いてるんですが、日本人の描き方に問題があるんじゃないかってよく言われるんですね。ただ、この描き方っていうのは半ば意識的にやってる部分があるんじゃないかなってところがあって、狭い視点で描かれた映画だから逆に面白いって部分があると思うんですね。でも、それを除いても映画として面白いかと言われると微妙だと思います。

21. 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年/ウェス・アンダーソン監督)◎

この監督の映画っていうのはセットがすごい凝ってて、全編おもちゃみたいな可愛いビジュアルになってるんですね。この映画がすごいのはそんなめちゃくちゃ可愛いビジュアルで、おもしろおかしい話を通じて、戦争の怖さとかを描いてるんですね。この監督柵のなかじゃ、一番好きです。

20. 「脳内ニューヨーク」(2008年/チャーリー・カウフマン監督)◯

これはすごい変な映画ですね。なにもかも上手くいかなくなった主人公が、自分の頭の中にある理想のニューヨークを本物のニューヨークのなかにつくろうとするっていう、まぁ、これだけ言ってもわけわかんない映画なんですね。で、徐々にその主人公の脳内のニューヨークと現実のニューヨークがごった煮になっていくっていう途方もない映画なんですが、ラストはすごい人生賛歌になっていて、よくわからないけど幸せになれるという映画です。

19. 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年/ジョージ・ミラー監督)◎

これは一昨年の北大映研のベスト1位でしたが、とにかくひたすらハイテンションな映画ですね。最初から最後まで全編クライマックスっていう異常な映画なんですが、ちょっとこれは言葉では言い表せないですね。観てください。

18. 「白いリボン」(2009年/ミヒャエル・ハネケ監督)◯

これは23位の「隠された記憶」と同じ監督の映画なんですが、この映画はナチスをテーマにしてつくられてるんですね。これはあるドイツの村で医者が事故死に見せかけて殺されたり、障害をもつ子どもがリンチされたりして、これは一体誰の仕業なんだ?って話なんですね。で、この間、相模原障害施設殺傷事件っていう、安倍政権支持の若者が障害者を大量に殺すって事件がありましたけど、その事件のニュースを見たとき、真っ先にこの映画を思い出したんですね。ほんとにこの映画そのまんまの事件で、ちょっと笑えない映画ですね。

17. 「パンズ・ラビリンス」(2006年/ギレルモ・デル・トロ監督)◎

この監督は「パシフィック・リム」って映画で、日本人のアニメファンを熱狂させた人ですね。ただ、この映画は「パシフィック・リム」とは全然雰囲気の違う映画で、スペイン内戦下の女の子が主人公なんですが、その女の子が家の近くに森の迷宮を見つけて、冒険していくっていうファンタジーなんですね。で、この映画は宮崎駿の特に「となりのトトロ」にかなり影響されていて、「となりのトトロ」をもっともっとダークにした映画なんですね。ラストがすごい切ない映画です。

16. 「ホーリー・モーターズ」(2012年/レオス・カラックス監督)△

これもすごい変な映画ですね。ある男がリムジンに乗って、いろんなところに行って、様々なキャラクターを演じていくってだけの映画なんですが、なぜその男がそんなことをするのかとかそれが虚構なのか現実なのかとかが全然わからないんですね。で、最後は車が喋り出す始末で、ほんとによくわからない。何が言いたいんですかね。

15. 「4ヶ月、3週と2日」 (2007年/クリスチャン・ムンギウ監督)✖︎

これはカンヌ国際映画祭でパルムドール取ってましたね。未見です。すみません。

14. 「アクト・オブ・キリング」(2012年/ジョシュア・オッペンハイマー監督)◯

これはインドネシアのドキュメンタリー映画ですね。インドネシアでは1960年代に共産主義者の大虐殺が行われていて、その虐殺した人々が未だに国民の英雄として祭り上げられてるんですね。で、この映画は虐殺した側に「その虐殺をもう一度再現してください」って頼んで、その再現の様子を記録してるんですね。で、最初は虐殺した側の人も嬉々として、やってるんですが、徐々にそれが変化していくって映画なんですね。で、最後はほんとにすごいことになっていくんですね。ぜひ観てもらいたい映画です。

13. 「トゥモロー・ワールド」(2006年/アルフォンソ・キュアロン監督)◎

この映画はまず、カメラワークがものすごいんですね。まぁ、そのへんは映画を観てください。話としては、全く子供が産まれなくなった世界が舞台で、世界中で戦争が起こってるんですね。そんな世界で何十年ぶりかに妊娠した女性が出てきて、その子供を全力で守り抜くって話なんですね。で、その話を通じて、戦争がいかに無意味かってことに言及してるんですね。この映画はその後の映像技術とかにもすごい影響してますね。

12. 「ゾディアック」(2007年/デヴィッド・フィンチャー監督)◯

これは観客からあまり人気がないけど、批評家からは絶賛されてるっていう典型的な例ですね。これはゾディアックっていう連続殺人鬼を追い詰めていく記者が主人公なんですね。で、なんで観客に人気がないかって言うと、すごい映画自体が長く感じるんですよ。ただ、観客が長く感じるっていうのは監督が狙ってやっている部分があって、主人公のいくら追いかけても犯人を追い詰められない感覚っていうのを観客に共有させようとしてるんですね。あとこの映画は地味なところにとんでもないCGを使ったりしててすごいですね。

11. 「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督)◯

これは1960年代のフォーク歌手が主人公ですね。で、フォーク歌手を夢見るけど、いつまでもどん詰まりになってしまうっていう失望をすごいシニカルに描いてますね。このコーエン兄弟って監督はほんとにひとを小馬鹿にしたような映画を撮ってて、僕は大好きですね。この映画も主人公のどこまで行ってもどうにもならない様子を非常に細かく描いていて、面白いです。

10. 「ノーカントリー」(2007年/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督)◎

これもコーエン兄弟の映画です。ある男が麻薬の密売現場に遭遇して、そこにあったお金を持ち逃げしてしまうんですね。ただ、その現場で瀕死状態で「水が欲しい」って言っていた男のことが忘れられなくて、水を持って現場に戻ると、とんでもない殺人鬼に追っかけられる羽目になるって話ですね。これが面白いのは「金を持ち逃げしたんだから狙われてもしょうがない」っていう因果応報みたいな話じゃなくて、「水を持っていってあげるという良心のせいで命を狙われる」っていう非常に不条理な話になってるんですね。で、この映画はこのあと、ひたすら「え?」って展開になっていって、不可解な話になっていくんですね。じゃあ、つまらないか?と言われるとけっしてそんなことなくて、ガンアクションとかがめちゃくちゃカッコよくて、観客を惹きつけて離さないんですね。娯楽性と芸術性の両方を兼ね備えた傑作だと思います。

9. 「別離」(2011年/アスガル・ファルハーディー監督)◯

これはイランの映画ですね。離婚の危機に瀕した夫婦とその子供の話なんですが、些細な嘘とか不誠実さが、イランの政治とか宗教に絡んでいって、とんでもない悲劇につながっていくって話なんですね。話自体がとても複雑なんですが、イランの知識等なくても十二分に楽しめる映画だと思います。

8. 「ヤンヤン 夏の想い出」(2000年/エドワード・ヤン監督)✖︎

この監督はすごい有名なんですけど、観たことないんですよね。情けない。今、この監督の「牯嶺街少年殺人事件」って映画のリマスターが劇場でやってるんでね、観に行きたいです。

7. 「ツリー・オブ・ライフ」(2011年/テレンス・マリック監督)△

この映画はほんとに意味不明です。監督のすごい個人的な家族の思い出とか家族への感情と宇宙の歴史とかを結びつけて、ごちゃ混ぜに描いてるうえになんの説明もないんですね。ただひたすら映像がすごい。この監督はこれ以降、ずっとこんな感じの映画ばかりですね。勘弁してくれ。

6. 「エターナル・サンシャイン」(2004年/ミシェル・ゴンドリー監督)◎

これは失恋した男が昔の恋人の記憶を除去する手術を受けようとするって話ですね。ただ、記憶を消していく過程で恋人との嫌な記憶だけじゃなくて、楽しかった記憶とかも思い出して、徐々に記憶を消したくなくなっていくんですね。これは生きていくためには辛い記憶とか悲しい記憶とかも必要なんだって話になってますね。ピクサーの「インサイド・ヘッド」って映画がありましたけど、あれも悲しみの感情っていうのは必要なものなんだって話でしたね。そーいう点で2つはよく似た映画だなと思います。

5. 「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年/リチャード・リンクレイター監督)◎

この映画は6歳の男の子が18歳になるまでの話を俳優を変えないで撮ってるんですね。だから、主演の男の子が6歳から18歳になるまでの12年間撮り続けてるんですね。なにか特別なことが起こる映画では決してないんですが、男の子がほんとに成長していくんで、12年間っていう時の重みがずっしり来るような映画になってますね。で、ラストに主人公があるセリフを言うんですが、そのセリフもすごい重みがあるものになってますね。

4. 「千と千尋の神隠し」(2001年/宮崎駿監督)◎

これはみなさん知ってますね。この映画は都市伝説とかじゃなくてほんとに風俗の話なんですね。神様相手に体を売るって話は世界中どこにでもあるような話なんですね。これは売春婦=巫女っていう、世の中の一番底辺にいる人間が実は神に一番近いっていうとても奇妙な考え方が根底にあるんですね。それを念頭において、もう一度見直すと面白いかもしれません。

3. 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年/ポール・トーマス・アンダーソン監督)◯

これは20世紀初頭の石油業界と伝道宗教師の対立を描いた映画ですね。主演がダニエル=デイ=ルイスっていうアカデミー主演男優賞をこの映画含め、3回も受賞してるすごい人ですね。この人「リンカーン」って映画でリンカーン大統領演じて、とんでもなくそっくりだったんですが、とんでもなく狂った突発性暴力障害みたいな役ばっかりやってますね。この映画でもラストで「お前のミルクセーキを飲んでやる!」って意味不明な言葉を吐きながら、暴走しまくってて、爆笑でしたね。

2. 「花様年華」(2000年/ウォン・カーウァイ監督)◯

これはある男女の不倫を描いただけの映画なんですが、説明描写が極端に少ないんですね。すごく細かいとこまで見ないと登場人物の行動の動機がよくわからない。ウォン・カーワイって監督は海外での評価がめちゃくちゃ高い人なんで、この映画しか入ってないっていうのはちょっと意外ですね。

1. 「マルホランド・ドライブ」(2001年/デヴィッド・リンチ監督) △

この映画が1位でいいのかって思いますね。っていうのもこの映画は元々連続ドラマにする予定だったんですよ。海外ドラマ観たことある人はわかると思いますが、あれって結末が決まってなくて、人気が出たらいくらでも続けるんですね。で、海外ドラマって製作する前にパイロット版っていう、ワンシーズン分の話を1時間に要約したようなものを作って、人気が出そうだったら製作を決定するんですね。で、これは人気が出なかったんですね。で、その後に映画化の話が出たんです。だから、前半はパイロット版で、後半は映画化するための伏線回収なんですね。ただ、パイロット版ははっきり言って何も考えずに作ってるんで、伏線を回収しきれてないんですね。でも、つまらないかって言われると決してそんなことないんですが、これが1位かぁって感じですね。

 

はい、終わりました。しんどかった。僕が凄いなって思う映画っていうのはやっぱり、アート性と娯楽性の両方を兼ね備えてる映画なんですね。そういう観点で、この100本から5本選べと言われたら「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、「ソーシャル・ネットワーク」、「トゥモロー・ワールド」、「ノーカントリー」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」ですかね。この5本は映画としての完成度が本当に高いんで、是非みてほしいですね。

さて、春新歓も残すところ1週間となりましたが、皆さん是非お越しください。

春新歓ブログリレー㉕ 21世紀最高の映画 Part1

三浦です。最近誰も更新しないですね。そんなもんです。今回は「大学に入ってから映画観ようと思ってるが、なにから観ればいいかわからない…」って人向けの記事です。つい最近、「BBCの選ぶ21世紀最高の映画100」ってリストが発表されたんですね。やはり昔の映画とか、最初観るにはハードル高いと思うんですよね。なんで、このランキングを参考にしてもらえればと思います。もちろん評論家とかが選んでるんで、アート系の作品とかもがっつり入ってます。だから、娯楽性の高い作品から◎→◯→△でつけていこうと思います。未見は✖︎です。

 

100. 「トニ・エルトマン」(2016年/マーレン・アーデ監督)✖︎

この映画は日本では6月公開ですね。

 

100. 「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000年/ダーレン・アロノフスキー監督)◎

これは「ブラック・スワン」って映画で有名なダーレン・アロノフスキー監督の初期の作品ですね。後味の悪い映画ランキングみたいので毎回上位に位置してます。ドラッグにはまった人々がひたすらどん底に落ちていくってだけの話なんですけど、斬新な映像テクニックをめちゃくちゃ使ってますね。

 

100. 「カルロス」(2010年/オリヴィエ・アサヤス監督)◯

これは確かもともとテレビシリーズのを映画にしてるんで、5時間くらいあって、めちゃくちゃ観るの大変でしたね。国際テロリストであるカルロスの半生を異様なくらい忠実に再現しようとしている映画で、長いんですけど見応えはありますね。

 

99. 「落穂拾い」(2000年/アニエス・ヴァルダ監督)✖︎

ドキュメンタリー映画ですね。未見です。すみません。

 

98. 「10話」(2002年/アッバス・キアロスタミ監督)△

この監督はつい最近、亡くなってしまいましたね。この監督の映画って非常に奇妙で、ドキュメンタリーなんだかフィクションなんだかよくわからないんですね。そういう特徴が如実に出てるのがこの映画ですね。

 

97. 「ホワイト・マテリアル」(2009年/クレール・ドニ監督)◯

フランス人監督ってだけで取っつきにくい印象を持つかもしれませんが、クレール・ドニは比較的取っつきやすいと思います。この映画も内容は政治的ですが普通に面白い。

 

96. 「ファインディング・ニモ」(2003年/アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ監督)◎

これはみなさん知ってますね。

 

95. 「ムーンライズ・キングダム」(2012年/ウェス・アンダーソン監督)◎

このウェス・アンダーソンって人の映画はおとぎ話みたいなんですけど、ちょくちょく残酷なのが面白いですね。

 

94. 「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008年/トーマス・アルフレッドソン監督)◯

死ぬほど切ないヴァンパイア映画。おすすめです。

 

93. 「レミーのおいしいレストラン」(2007年/ブラッド・バード、 ジャン・ピンカヤ監督)◎

これもみなさん知ってますかね。

 

92. 「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007年/アンドリュー・ドミニク監督)◯

これはブラピ主演の西部劇ですが、アクションはほとんどなし。ブラピの演技は素晴らしいけど、退屈する人もいるかも。

 

91. 「瞳の奥の秘密」(2009年/フアン・ホセ・カンパネラ監督)◎

アルゼンチン映画でアカデミー賞外国語映画賞受賞作品。ちょいと過剰評価な気はしますが、めちゃくちゃ面白い映画だとは思います。

 

90. 「戦場のピアニスト」(2002年/ロマン・ポランスキー監督)◎

これはもっとランキング上位でもいいのでは。戦争映画の中でも傑作ですね。

 

89. 「頭のない女」(2008年/ルクレシア・マルテル監督)✖︎

アルゼンチン映画ですね。未見です。すみません。

 

88. 「スポットライト 世紀のスクープ」(2015年/トーマス・マッカーシー監督)◎

アカデミー賞作品賞受賞作品。個人的にはイマイチだったかな。題材が日本人にはわかりにくい気がします。

 

87. 「アメリ」(2001年/ジャン=ピエール・ジュネ監督)◎

結構有名な映画ですね。色使いとかがめちゃくちゃ綺麗な映画なんですが、結構ぶっ飛んだ映画です。なんでヒットしたんだろう…

 

86. 「エデンより彼方に」(2002年/トッド・ヘインズ監督) ◯

このトッド・ヘインズって監督は去年、「キャロル」って映画も公開してたんですけど、衣装とかセットとかがめちゃくちゃ美しくて、それだけでも一見の価値があると思います。

 

85. 「預言者」(2009年/ジャック・オーディアール監督)◯

宗教的な題名とは裏腹に刑務所舞台の映画ですが、めちゃくちゃ面白いです。オススメ。

 

84. 「her/世界でひとつの彼女」(2013年/スパイク・ジョーンズ監督)◎

携帯の声に声をするって映画ですね。モテない男子が観ると死ぬかもしれません。

 

83. 「A.I.」(2001年/スティーブン・スピルバーグ監督)◎

スピルバーグの映画では一番好き。無論、面白いので未見の方は是非。

 

82. 「シリアスマン」(2009年/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督)✖︎

この映画撮ったコーエン兄弟って人は有名なんですけど、なぜかこの作品だけDVDが出てない。早く出してくれ。

 

81. 「SHAME -シェイム-」(2011年/スティーブ・マックイーン監督) ◯

セックス中毒の男が主人公。面白いんですけど、細かいとこまで観るとなかなか難解な映画です。

 

80. 「父、帰る」(2003年/アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)△

2000年代のロシア映画では唯一日本でも話題になった作品ですね。まぁ、当たり前ですが難解です。

 

79. 「あの頃ペニー・レインと」(2000年/キャメロン・クロウ監督)◎

青春映画の傑作。大好きな映画です。フィリップ・シーモア・ホフマンという、つい最近亡くなった俳優がちょい役で出るんですが、この役が最高。

 

78. 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年/マーティン・スコセッシ監督)◎

3時間ぶっ通しでハイテンションの映画。最初から最後までひたすらfuckって言ってます。

 

 

77. 「潜水服は蝶の夢を見る」(2007年/ジュリアン・シュナーベル監督)◎

私はそんな好きな映画ではありませんが、泣けるってことで人気ですね。実話っていうのがすごい。

 

76. 「ドッグヴィル」(2003年/ラース・フォン・トリアー監督) △

ひっどい映画です。胸糞悪いなんてもんじゃない。気分が悪くなりたいときに見てください。

 

75. 「インヒアレント・ヴァイス」(2014年/ポール・トーマス・アンダーソン監督)◎

このポール・トーマス・アンダーソンって監督は超天才監督ですね。これはその監督の現時点の最新作。よくわからんけど面白いっていう奇妙な映画です。

 

74. 「スプリング・ブレイカーズ」(2012年/ハーモニー・コリン監督)◯

賛否両論分かれる作品ですね。嫌いじゃないけどこんなに高いランクかと聞かれると微妙。ドラッグキメながら観たら評価も変わるかもしれません。

 

73. 「ビフォア・サンセット」(2004年/リチャード・リンクレイター監督)◎

これは「ビフォア3部作」ってシリーズの2作品目なんですが、前作から9年経っていて、映画内でも実際に9年経ってるんですね。で、その9年間に監督や俳優に起こったことをまんま脚本に取り入れてるすごい映画。ちなみに続編も同じ手法で作られてます。

 

72. 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年/ジム・ジャームッシュ監督)◯

このジム・ジャームッシュって監督の作品はとにかくお洒落なんですね。感じ悪い言い方すると「意識高い系」の方々が大好きそうな映画です。いい映画なんですけどね。

 

71. 「熱波」(2012年/ミゲル・ゴメス監督)

すみません、未見です。

 

70. 「物語る私たち」(2012年/サラ・ポーリー監督)

これも未見です。ごめんなさい。評判いいらしいですが。

 

69. 「キャロル」(2015年/トッド・ヘインズ監督)◯

去年のベストテンにいれた作品。とにかく美しい。

 

68. 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001年/ウェス・アンダーソン監督)◎

不器用で欠陥のある天才兄弟たちの話。色使いがすごい映画です。

 

67. 「ハート・ロッカー」(2008年/キャスリン・ビグロー監督)◎

イラクの爆弾処理班の話。爆弾処理班っていうのがネック。それによってラストの解釈の仕方も変わるかも。

 

66. 「春夏秋冬そして春」(2003年/キム・ギドク監督)△

このキム・ギドクって人は韓国人なんですが変態監督ですね。でもこの作品は静かな作品で、映像がめちゃくちゃ綺麗です。何を言いたいのかはよくわかりませんが。

 

65. 「フィッシュ・タンク」(2009年/アンドレア・アーノルド監督)✖︎

未見です。題名すら聞いたことないです。情けない…

 

64. 「グレート・ビューティー/追憶のローマ」(2013年/パオロ・ソレンティーノ監督)✖︎

これも観てないです。観ようと思ってたんですけどね…

 

63. 「ニーチェの馬」(2011年/タル・ベーラ監督)✖︎

これも未見…。すごい眠そうな映画なんですよね。

 

62. 「イングロリアス・バスターズ」(2009年/クエンティン・タランティーノ監督)◎

タランティーノって監督の名前は聞いたことある人も多いかもしれません。バイオレンスがすごい映画ばっか撮る人です。この作品は緊張感のすごい映画で、めちゃくちゃ面白いです。

 

61. 「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(2013年/ジョナサン・グレイザー監督)△

評論家からの評価がめちゃくちゃ高いですが、なぜ高いのかさっぱりわかりません。説明描写が全くなくてね。こんな映画撮ってて大丈夫なのかって思います。

 

60. 「世紀の光」(2006年/アピチャッポン・ウィーラセクタン監督)△

最近話題のアピチャッポン監督。タイの映画監督で、去年特集上映を東京でやってました。これもさっぱり内容がわからないんですけど、光の表現がすごい映画でしたね。

 

59. 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005年/デヴィッド・クローネンバーグ監督)◎

このデヴィッド・クローネンバーグって監督も変態監督なんですが、00年代以降のこの人の作品は基本めちゃくちゃ面白いですね。特にこの作品は00年代以降の映画のなかでも完璧な作品の1つだと思います。

 

58. 「母たちの村」(2004年/ウスマン・センベーヌ監督)✖︎

ずっと観ようと思ってて観てないです。アフリカの方の映画かな?

 

57. 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年/キャスリン・ビグロー監督)◎

ビンラディン殺害作戦を映画化した作品。アメリカ人はこれ観て、どう思うんですかね。ラストの台詞が秀逸です。

 

56. 「ヴェルクマイスター・ハーモニー」(2000年/タル・ベーラ監督)✖︎

これも観てないですねぇ。眠そうなんですもん…

 

55. 「イーダ」(2013年/パヴェウ・パヴリコフスキ監督)△

モノクロ映画で眠くなっちゃうかもしれないんですが、すごい完成度の映画です。是非観てほしい。

 

54. 「昔々、アナトリアで」(2011年/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督)✖︎

未見です。この監督、結構評判でずっと観たいと思ってるんですけどけね…。

 

53. 「ムーラン・ルージュ」(2001年/バズ・ラーマン監督)◎

こんなランク高いのかって感じです。このバズ・ラーマンって監督の作品はゴテゴテのギラギラなんですよね。ハマる人はハマるかもしれません。

 

52. 「トロピカル・マラディ」(2004年/アピチャッポン・ウィーラセクタン監督)✖︎

上記のアピチャッポン監督作品。僕も特集上映行ったんですが、これは観れませんでした。無念…

 

51. 「インセプション」(2010年/クリストファー・ノーラン監督)◎

僕が映画にがっつりハマるきっかけになった作品ですね。普通にめちゃくちゃ面白いんで観てほしいです。

 

50位以降はまた今度で。ではまた。

春新歓ブログリレー㉓「韓国バイオレンス映画の素晴らしき世界」

どうも、最近サボり気味の三浦です。中欧の旅行記書こうとか思ってたんですが、6泊8日も行ってたせいでくそめんどくさいうえに、実家のカメラからデータを移し忘れるってヘマをやらかしたんで止めます。iPhoneで撮った数少ない何枚かの写真でお楽しみください。

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(1枚目:ブダペストの国会議事堂、2枚目:ハルシュタット湖、3枚目:ヴェルヴェデーレ宮殿)

 

 

今回は今月観た韓国映画の話でもします。今月はめちゃくちゃ面白い韓国映画が3本も公開されたんでね。

まず、韓国映画に関して少し話したいと思います。韓国映画がとても面白くなったのは基本的にゼロ年代以降なんですよ。なんでかっていうと386世代と言われる民主化学生運動に参加した世代がゼロ年代に入って、暴力的だったり政治的だったりする映画をガンガン撮り始めたんですね。まぁ、ハリウッドにおいてカウンターカルチャーが偉大な映画監督をたくさん産んだのと同じようなことです。その後、映画が国内産業のひとつとなって、政府が映画製作を支持するようになって、映画産業が急激に成長したんですね。じゃあ、今月観た韓国映画の紹介に移りたいと思います。
『お嬢さん』

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これを監督したのパク・チャヌクって人で上述した386世代の人です。一番有名な映画はカンヌで審査員特別グランプリを受賞した『オールド・ボーイ』って映画ですかね。これはいきなり訳もわからぬまま15年間監禁された男が、監禁された理由を探し求めながら血みどろになっていく映画なんですね。で、この映画で一番面白いシーンは主人公が金槌ひとつでヤクザの事務所に乗り込むシーンなんですが、主人公が1人のヤクザを金槌で殴りつけようとするところで、金槌から相手のヤクザの頭に向かっていきなり点線が出てくるんですよ(下画像参照)。

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緊迫したシーンなのにあまりに間抜けな演出で思わず笑っちゃうんですよね。この「間抜けな感じと凄惨なバイオレンスシーンを交互にやる演出」っていうのは韓国映画の一つの特徴ですね。
このパク・チャヌクって監督はバイオレンスシーンとかがほんとにエグくて、『復讐者に憐れみを』って映画の中で拷問シーンがあるんですが、拷問される側が失禁したりする様子とかもちゃんと描くんですね。そして、この監督、ハリウッドからも才能を認められて、ハリウッドで『イノセント・ガーデン』って映画撮ったんですね。この映画、ぶっちゃけあんま面白くはないんですが、主人公の女の子とそのおじさんがピアノを連弾するってシーンがあるんですが、そのシーンがなぜか異常にエロいんですよ。ピアノを連弾してるだけなのに。このシーンを観たとき、「この人、やっぱ天才だな」って思いましたね。
そして、最新作の『お嬢さん』なんですが、この映画はパク・チャヌク史上最も変態的でありながら、最も爽快な終わり方をするっていう奇妙な映画でしたね。話が二転三転するんであまり言えませんが、是非劇場で見てほしいと思います。

『コクソン』

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この映画の監督はナ・ホンジンって人ですね。この人はまだこれで3本目なんですが、3本ともめちゃくちゃ面白い大傑作なんですよ。この人の映画の特色っていうのはストーリーがあっちに行ったりこっちに行ったりして、わざと映画を観ただけじゃわからないようなシーンをぶちこんだりするんですね。で、今回の『コクソン』って映画ではそれが炸裂していて、観客をミスリードしまくって、最後には「なんかよくわかんないけど、凄いものを見た」って感じになるんですね。最初から最後までひたすら地獄のようなシーンの連続で、めちゃくちゃパワフルでぶっ飛んだ映画なんですが、監督のインタビューとか読むと、非常に真面目で真剣な映画だなっていうのがわかります。冒頭に聖書の一文が引用されるんですが、それをちゃんと最後まで覚えておくと、ラストの理解とかも深まるかなと思います。

 

 

『アシュラ』

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この監督はキム・ソンスって人で、今までにも何本か監督しているらしいんですが、未見です。しかし、この『アシュラ』って映画も、凄まじい映画でしたね。これは主人公が悪徳刑事で、奥さんの病気の治療費を得るために最低最悪な市長に協力して、口封じとかを色々悪いことやってるんですね。ところが、それを嫌味ったらしい最低最悪な検事に目をつけられて、二重スパイになるように言われて、最低最悪な2人に板挾みにされるっていう、最低最悪な状況に陥るんですよ。で、そうしているうちに主人公もブチ切れて、最低最悪な地獄の中をフルスピードで爆走していくって映画なんですね。それで、この映画、主人公の置かれている状況とかが2012年の韓国映画で、これまた傑作の『新しき世界』って映画に似てるんですよね。『新しき世界』って映画は、主人公が、自分の父親代わりのような存在である警官と兄貴分みたいなヤクザの間で板挾みになるっていう映画で、『アシュラ』はこの『新しき世界』をネガティヴな方向に反転させたような映画でしたね。で、この2本の共通点っていうのはそれだけじゃなくて、2本とも男同士の切ないラブストーリーなんですね。まぁ、その辺は観てからのお楽しみということで。

ここまでに名前を挙げた監督以外にもですね、キム・ギドク、ポン・ジュノ、イ・チャンドンなどなど愉快な監督が韓国にはたくさんいるんで、これを機に是非、韓国映画に浸かってほしいですね。

春新歓ブログリレー⑯ 合格おめでとうございます

どうも、映研の激務から逃れるべく中欧の方に一人旅に行っていた三浦です。つい先ほど帰ってきました。おかげさまで僕のいない間に様々な仕事が着々と片付いているようです。愉快愉快。というのは冗談で、みなさんお疲れ様です。手伝えなくて申し訳ございません。てか、今日俺でいいのか?担当曜日狂いまくっててよくわかりません。勝手にあげます。間違ってたらごめんなさい。

せっかくなんで中欧の旅行記でも書きたいんですけど、写真あげたりとか色々めんどくさいんで、それはまた来週で。今回はこないだの『騎士団長殺し』の感想の続きと、旅行先で読んでいた『パイの物語』という本に関して少し話そうと思います。

『騎士団長殺し』
こちら全部読み終わりました。こないだ同様箇条書きで感想を挙げていきたいと思います。
⑤第2部も350ページくらいまでは普通
第1部が350ページまで、非常に読みやすいというのは前回も述べた通り。そして、第2部も同様に350ページまでは(第1部でのシュールな部分を除いて)、極めて現実的なレベルで話が続く。
⑥第2部の後半は怒涛の村上ワールド
さて、普通な感じだなぁと思いながら読んでるといきなり村上ワールド全開に。ファンからの人気も高い『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』に近い展開が繰り広げられる。
⑦第3部は出るのか?
これはかなり微妙。第2部の最後で物語はすごい勢いで収縮していく。少なくとも1Q84の2巻目のようなぶち切り感は全くなく、一見きれいに終わってるように思える。しかし、もしこれで終わりなら第1部、第2部という呼称ではなく上下巻でいいはず。そして、物語本編が始まる前にプロローグのようなものがあるのだが、それが放ったらかしになっているという問題がある。

全編読んだ後の新たな感想としては上記の3つでしょうか。やはり読者としての1番の関心ごとは第3部が出るか否かでしょう。物語全体をいわゆる「行きて帰りし物語」と考えるなら、第2部までで完結しているため、第3部が出るとしたらかなり新しい展開になるかもしれません。あと、今回は東日本大震災に少し触れていますね。その辺は読んでからのお楽しみということで。

 
『パイの物語』
こちらは今旅先で読んでいる小説で、ブッカー賞受賞作です。ブッカー賞って響きは本が好きな方は一度くらい耳にしたことあると思いますが、僕は数ある世界文学賞の中でも一番あてにしてるのが、このブッカー賞っていう賞なんですね。その他の文学賞(ノーベル賞、ピューリッツァー賞、エルサレム賞など)っていうのは、なんか賞の理念みたいなのに雁字搦めにされている部分があるんですね。それに対して、ブッカー賞は「対象作品が英語で書かれていなければならない」という縛りを除けば、非常にフェアな賞で(最終候補作のみでなくすべての候補作を審査員が読む、審査員が毎年変わるなど)、純粋に面白い小説が毎年選ばれてると感じます。
前置きが長くなりました。まぁ、この小説、実は『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日間』という題で映画化されていて、アカデミー監督賞とかも受賞してます。映画の予告を見たときは「どうせ『人間と動物の友情に感動!!!』みたいなくだらない映画だろ」と思っていたんですが、映像が結構すごそうだったんで、時間が空いたときにIMAXで観に行ったんですね。そしたら、あまりの傑作でびっくり仰天。一種の予告編詐欺で、まんまと騙されました。
まず、この映画、邦題が変ですよね。なんで、227日間の話のはずなのに「ライフ」なのか?そして、本編始まっても全然漂流しないんですね。最初の45分くらいは、幼い主人公がいろんな宗教を試してみるって話が延々と続くんですよ。それで、やっと漂流したと思ったら、今度はちょっと常識的にありえないだろってシーンの連続なんですね。これは実は映画全体が複雑な入れ子構造をしていて、宗教とはなんなのか?ってことに関する一種の寓話になっているんですね。
なんか、小説の話というより映画の話になってしまいましたが、小説は映画よりさらに宗教性が強くなってますね。また、物語自体が「信頼できない語り手」という手法を用いてるんですが、これは小説の方が効果的に使われてます。まぁ、映画も原作もオススメなんで興味ある方は是非という感じです。

 

めんどくさいとか言っといて長くなりましたね。まぁ、映画だけじゃなくて本も好きですよって話です。あと、音楽も好きです。映研はそんな感じの人、非常に多いんで興味ある方は是非新歓に。じゃあ、また。

春新歓ブログリレー⑨「2/24」

どうも、副部長の三浦です。投稿がまたもや微妙に遅れそうですが、次の方は気にしないでください。ごめんなさい。

今日(昨日)、アカデミー賞の発表が行われましたね。『ラ・ラ・ランド』が総なめするかと思いきや、案外少なめの6部門受賞。さらに、まさかの作品賞を逃すという事態。プレゼンターが最初の発表を間違えるという始末。今回はこの『ラ・ラ・ランド』の話と、『ラ・ラ・ランド』公開日と同じ日に発売された村上春樹の新作『騎士団長殺し』についての話をしたいと思います。最初に言っておきますが別に共通点があるとかでは全くないです。

『ラ・ラ・ランド』
公開日に観にいったんですが、前評判以上に最高な映画だったと思います。『ロシュフォールの恋人たち』のオマージュと思われるオープニングから始まり、エマ・ストーン演じるミアが女友達と出かけるシーンは『ウエスト・サイド・ストーリー』や『雨に唄えば』、『スイート・チャリティー』に似たシーンが多数登場。ミアとセバスチャンがロスの夜景を背景に踊るシーンは『雨に唄えば』→『踊らん哉』→『バンド・ワゴン』の3コンボ。プラネタリウムのシーンは『ムーラン・ルージュ』の再現。そして、ラストのあるシーンのなかでは『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』をはじめ、『巴里のアメリカ人』、『躍るニューヨーク』などへのオマージュが。全体の撮影のトーンは『ブギーナイツ』を参考にしてる部分が多々あると思います。そして、散々指摘されてるのかもしれませんが、全体の下敷きになってるのはマーティン・スコセッシの『ニューヨーク・ニューヨーク』でしょうね。この『ニューヨーク・ニューヨーク』だけは、観る前でも後でもどちらでもいいですが、観てもらえると『ラ・ラ・ランド』が何倍も楽しめるのかなと思います。そして、『ラ・ラ・ランド』が普通のハリウッドミュージカル映画とは違った結末を迎えるにもかかわらず、これだけ愛される作品になり得たのかとかも理解が深まるのではないかと思います。

『騎士団長殺し』
申し訳ないんですが、こちらまだ読み終わっておりません。とりあえず第2部の最初の方まで読んだ感想を書きたいと思います。
村上春樹の長編小説は全て読んでる僕ですが(ハルキストではない)、本作は今までの村上春樹とは少し違った部分もあったりする作品かなと思います。まぁ、その感想とかを箇条書きで書いていきます。

その前にあらすじ↓
主人公の「私」は画家で、学生時代は抽象画を描いていたものの、結婚した後は生計を立てるために肖像画を専門とする画家に。物語はそんな「私」が妻にいきなり離婚されるところから始まります。そして、離婚後はずっと空き家になっていた、山の上にある友人の祖父の家に留守番代わりに住むことに。この友人の祖父は日本絵画の有名な画家で、その家から『騎士団長殺し』と題された不思議な絵がでてきて…。みたいな話です。

では、以下感想。
①主人公が思ったほどキザな喋り方をしない
画家で山の上に住んでてクラシック聴いているというだけで、まぁキザといえばキザなのだが、喋り方は今までになく普通である。Amazonのレビューとか見ると「相変わらずキザでうざい」みたいな意見も散見されるが、はっきし言ってかなりマシな方である。お決まりの「やれやれ」もかなり少なめ。そして、今まで(特に初期)の主人公が、不可解な出来事に対して恐ろしく淡白なリアクションで済ますのに対して、今回の主人公はかなり真っ当に困惑している。そういう意味で、本作は村上春樹初心者に易しい小説かもしれない。

②1部の350ページくらいまでが恐ろしく普通
今までの村上の大長編では割と早い段階で、常識的には考えられない展開が登場する。具体的には、井戸をすり抜けたり、猫と話せる中年オヤジがでてきたり、必殺仕事人みたいな女がでてきたり。しかし、本作は350ページくらいまで、若干怪談っぽいことが起こるにせよ普通に読み進められるレベル。

③350ページからの振り落し方がすごい
しかし、この小説、350ページからいきなりシュールになる。『海辺のカフカ』でもカーネル・サンダースの格好したおっさんが出てきたりとかなりシュールではあるのだが、それまでに散々色々起こってるせいで、読者的には「あー、はいはい」で済ませられる。しかし、本作はそれまでが割りかし普通なせいで振れ幅がすごい印象を受けてしまう。新劇場版エヴァの『破』→『Q』の感じに近く、もはやシュールギャグのレベル。慣れてしまえばなんてことはないものの、ここで断念する人も多いかも。

④その他印象
他の大長編に比べて少しこじんまりした印象。『1Q84』が壮大すぎたせいもあるかもしれないが。1人称であったり、隔章の構成になってないあたりは『ねじまき鳥クロニクル』に近いかな。あとキーキャラクターである免色さんの個性がかなり魅力的。『海辺のカフカ』の星野くんとナカタさんや『1Q84』の牛河を凌駕するレベル。

まぁ、雑な感想としては以上4点くらいです。村上春樹初心者にはおすすめしやすい類の長編ではあると思います。「村上春樹ってなんか難しそう」とか「村上春樹ってキザすぎて」みたいな印象を抱いてる方は読んでみると少し印象が変わるかもしれません。しかし、今のところかなり現実的なレベルで話が進んでいくので、『1Q84』とかが好きだった人の中には物足りなさを感じる人もいるかも。話全体としては(といっても読み終わってないんですが)、全体主義的な傾向に進んでいく世界に対する思いが強く反映されているのかなと思いますね。
ごめんなさい。予想以上に長くなりました。そして、遅くなりました。次回はちょっと旅行に出かけてて、書けない可能性もあるんで違う人がやるかもしれません。その時に『騎士団長殺し』全て読み終えた上で、またなんか少し書こうかと思います。それではまた。

春新歓ブログリレー② 「2017年私的楽しみ映画」

どうも副部長の三浦です。新歓ブログリレー2日目でございます。部長同様担当日翌日の早朝に投稿する羽目になりそうです。

なんの話題にしようか迷ったんですが、年末に去年のベストを投稿したんで、今回は今年楽しみな映画を挙げます。思いつく限り投稿するんで、何本になるかわかんないです。あと日本公開が今年じゃない場合もあるんで、その辺ご了承ください。
ラ・ラ・ランド(2/24公開)/デミアン・チャゼル監督image

本年度アカデミー賞作品賞最有力候補ですね。『セッション』も傑作だったんで楽しみです。

 
お嬢さん(3/3公開)/パク・チャヌク監督image

アカデミー賞ノミネートこそなかったものの、前哨戦の外国映画賞は軒並み勝ちとってましたね。

 
哭声 コクソン(3/11公開)/ナ・ホンジン監督image

『チェイサー』、『哀しき獣』のナ・ホンジン監督最新作。國村隼の怪演が見られると話題。

 

キングコング 髑髏島の巨神(3/25公開)/ジョーダン・ポート=ロバーツ監督

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ハリウッド版ゴジラと同じ世界を共有してることが既に判明していますが、それにしても予告編の段階で死ぬほど怪獣出てて笑えます。

 
T2 トレインスポッティング(4/8公開)/ダニー・ボイル監督image

なんでターミネター2みたいな題名なのか不明ですが、同じ役者、監督ということで1作目のファンは皆楽しみですね。

 
ムーンライト(4月公開予定)/バリー・ジェンキンス監督image

『ラ・ラ・ランド』の最大の対抗馬として注目されてる作品。カラーリングバチバチにしてて予告編の映像がものすごいことになってます。

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス(5/12公開)/ジェームズ・ガン監督

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ガーディアンズの続編ですね。それだけで楽しみです。

 
メッセージ(5/19公開)/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督


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去年、僕がベストに選出した『ボーダーライン』のドゥニ・ヴィルヌーヴの最新作。アカデミー賞ノミネート作品ですが、地球外生命体の言語の翻訳の話とのことで、風変わりなSF。

 

美しい星(5/26公開)/吉田 大八監督image

三島由紀夫の異色小説を『桐島』の大八がリリー・フランキー主演で映画化。面白そう。

 
マンチェスター・バイ・ザ・シー(5月予定)/ケネス・ロナーガン監督

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どういう話なんだか全然知りませんが、アカデミー主演男優賞は確実だそう。

 
ハクソー・リッジ(6/24公開)/メル・ギブソン監督image

メルギブの戦争映画。面白そう。

 
Elle(夏公開予定)/ポール・バーホーベン監督image

レイプ被害を題材にした映画なのに、ジャンルはコメディというどう考えてもやばい映画。主演のイザベル・ユペールは本年度アカデミー主演女優賞ノミネート。

 
散歩する侵略者(9/16公開)/ 黒沢 清監督image

『クリーピー』、『ダゲレオタイプの女』と去年は絶好調だった黒沢清最新作。松田龍平、長澤まさみ、長谷川博己出演。

 
ダンケルク(9月公開予定)/クリストファー・ノーラン監督image

個人的に一番好きな監督、ノーランの最新作。今までスリラーかSFばっか撮ってたのに戦争映画で大丈夫なのかと思いますが、大丈夫と信じてあと7ヶ月間生きます。

 
ブレードランナー 2049(10/27公開)/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督image

またもやドゥニ・ヴィルヌーヴ。それもブレードランナー続編。次回作はDUNEのリメイクだそう。大丈夫か。

 
エンドレス・ポエトリー(秋公開予定)/アレハンドロ・ホドロフスキー

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まだまだ死なないホドロフスキー。

 
スター・ウォーズ 最後のジェダイ(12/25公開)/ライアン・ジョンソン監督

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新作のたびに不安と期待でいてもたってもいられないスター・ウォーズ。ライアン・ジョンソンって大丈夫か…。

 

Mute(日本公開未定)/ダンカン・ジョーンズ監督image

ゲームの映画化とかいう慣れない仕事引き受けて大失敗したデヴィッド・ボウイの息子ですが、次回作はSFノワールとのことで期待大。

 

The Shape of Water(日本公開未定)/ギレルモ・デル・トロ監督image

日本人にはパシリムで記憶されてるデルトロですが、新作は傑作『パンズ・ラビリンス』に近い雰囲気になるそう。

 
Mother!(日本公開未定)/ダーレン・アロノフスキー監督image

前作『ノア 約束の舟』はぶっ飛んでましたが、次回作はダークな作品で面白そう。主演のジェニファー・ローレンスと監督は付き合ってるらしい。

 
The Snowman(日本公開未定)/トーマス・アルフレッドソン監督image

『ぼくのエリ 200歳の少女』、『裏切りのサーカス』で僕の心を鷲掴みにしたトーマス・アルフレッドソン最新作。待ってました。

 
Wonderstruck(日本公開未定)/トッド・ヘインズ監督image

去年、僕のベストに選出した『キャロル』のトッド・ヘインズ最新作。美しい映像期待してます。

 
タイトル未定(日本公開未定)/キャスリン・ビグロー監督image

ここ最近は以前のやおいものでなく硬派な作品を残してるジェームズ・キャメロンの元妻。最新作はデトロイト暴動の映画。

 
Okja(日本公開未定)/ポン・ジュノ監督image

スピルバーグの後継者とまで言われるポン・ジュノ最新作は怪獣映画。グエムルレベルを期待しちゃいます。

 
Happy End(日本公開未定)/ミヒャエル・ハネケ監督image

監督の過去作からしてどう考えてもHappy Endではないでしょうね。

 
Baby Driver(日本公開未定)/エドガー・ライト監督


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みんな大好きエドガー・ライト新作は”ロックンロール・カーチェイス・ムービー”。絶対面白い。

 
タイトル未定(日本公開未定)/ポール・トーマス・アンダーソン監督image

「○○年代の××が舞台」みたいな紹介をやたらとされるPTA最新作は50年代のファッション業界が舞台。主演はダニエル・デイ=ルイス。アカデミー賞狙い撃ち。

 

 

これ以外にもまだまだありますがキリがないんでこの辺で。今年も楽しい1年になりそう。やはり担当日には間に合わなかった。

2/3(金) 例会記録

副部長の三浦です。2/3の例会記録です。

・今後の撮影予定
2/4,9,18…山城班
2/5,12,19…1年製作
2/10,11…小樽PV

・新歓
例会に来た方は全チーム、チーム分け済みです。今後はチームごとで活動してください。

・春休み製作
山城…キャスト6人、主人公:小竹
笹木…キャスト3人、主人公:南雲、3月メイン
藤女子…MV、曲は未定
ラクロス…CM、日程未定
山城班・笹木班は例会に来た方はチーム分けしました。

・チーム製作
来年度のチーム製作が山城班、三浦班、礪波・泉谷班の3つに決定しました。
例会に来た方は3チームともチーム分け済みです。

・機材購入報告
三脚バッグ、ブームを購入。

・夏休み製作
小竹さん監督で撮影することに決定しました。撮影に加わりたい方は小竹さんまで連絡してください。
本年度の例会は終了です。今後は基本的に春新歓のチームごとでの行動をお願いします。

 

それでは、一年間みなさんお疲れ様でした。

来年もよろしくお願いします。