どうも、最近サボり気味の三浦です。中欧の旅行記書こうとか思ってたんですが、6泊8日も行ってたせいでくそめんどくさいうえに、実家のカメラからデータを移し忘れるってヘマをやらかしたんで止めます。iPhoneで撮った数少ない何枚かの写真でお楽しみください。
(1枚目:ブダペストの国会議事堂、2枚目:ハルシュタット湖、3枚目:ヴェルヴェデーレ宮殿)
今回は今月観た韓国映画の話でもします。今月はめちゃくちゃ面白い韓国映画が3本も公開されたんでね。
まず、韓国映画に関して少し話したいと思います。韓国映画がとても面白くなったのは基本的にゼロ年代以降なんですよ。なんでかっていうと386世代と言われる民主化学生運動に参加した世代がゼロ年代に入って、暴力的だったり政治的だったりする映画をガンガン撮り始めたんですね。まぁ、ハリウッドにおいてカウンターカルチャーが偉大な映画監督をたくさん産んだのと同じようなことです。その後、映画が国内産業のひとつとなって、政府が映画製作を支持するようになって、映画産業が急激に成長したんですね。じゃあ、今月観た韓国映画の紹介に移りたいと思います。
『お嬢さん』
これを監督したのパク・チャヌクって人で上述した386世代の人です。一番有名な映画はカンヌで審査員特別グランプリを受賞した『オールド・ボーイ』って映画ですかね。これはいきなり訳もわからぬまま15年間監禁された男が、監禁された理由を探し求めながら血みどろになっていく映画なんですね。で、この映画で一番面白いシーンは主人公が金槌ひとつでヤクザの事務所に乗り込むシーンなんですが、主人公が1人のヤクザを金槌で殴りつけようとするところで、金槌から相手のヤクザの頭に向かっていきなり点線が出てくるんですよ(下画像参照)。
緊迫したシーンなのにあまりに間抜けな演出で思わず笑っちゃうんですよね。この「間抜けな感じと凄惨なバイオレンスシーンを交互にやる演出」っていうのは韓国映画の一つの特徴ですね。
このパク・チャヌクって監督はバイオレンスシーンとかがほんとにエグくて、『復讐者に憐れみを』って映画の中で拷問シーンがあるんですが、拷問される側が失禁したりする様子とかもちゃんと描くんですね。そして、この監督、ハリウッドからも才能を認められて、ハリウッドで『イノセント・ガーデン』って映画撮ったんですね。この映画、ぶっちゃけあんま面白くはないんですが、主人公の女の子とそのおじさんがピアノを連弾するってシーンがあるんですが、そのシーンがなぜか異常にエロいんですよ。ピアノを連弾してるだけなのに。このシーンを観たとき、「この人、やっぱ天才だな」って思いましたね。
そして、最新作の『お嬢さん』なんですが、この映画はパク・チャヌク史上最も変態的でありながら、最も爽快な終わり方をするっていう奇妙な映画でしたね。話が二転三転するんであまり言えませんが、是非劇場で見てほしいと思います。
『コクソン』
この映画の監督はナ・ホンジンって人ですね。この人はまだこれで3本目なんですが、3本ともめちゃくちゃ面白い大傑作なんですよ。この人の映画の特色っていうのはストーリーがあっちに行ったりこっちに行ったりして、わざと映画を観ただけじゃわからないようなシーンをぶちこんだりするんですね。で、今回の『コクソン』って映画ではそれが炸裂していて、観客をミスリードしまくって、最後には「なんかよくわかんないけど、凄いものを見た」って感じになるんですね。最初から最後までひたすら地獄のようなシーンの連続で、めちゃくちゃパワフルでぶっ飛んだ映画なんですが、監督のインタビューとか読むと、非常に真面目で真剣な映画だなっていうのがわかります。冒頭に聖書の一文が引用されるんですが、それをちゃんと最後まで覚えておくと、ラストの理解とかも深まるかなと思います。
『アシュラ』
この監督はキム・ソンスって人で、今までにも何本か監督しているらしいんですが、未見です。しかし、この『アシュラ』って映画も、凄まじい映画でしたね。これは主人公が悪徳刑事で、奥さんの病気の治療費を得るために最低最悪な市長に協力して、口封じとかを色々悪いことやってるんですね。ところが、それを嫌味ったらしい最低最悪な検事に目をつけられて、二重スパイになるように言われて、最低最悪な2人に板挾みにされるっていう、最低最悪な状況に陥るんですよ。で、そうしているうちに主人公もブチ切れて、最低最悪な地獄の中をフルスピードで爆走していくって映画なんですね。それで、この映画、主人公の置かれている状況とかが2012年の韓国映画で、これまた傑作の『新しき世界』って映画に似てるんですよね。『新しき世界』って映画は、主人公が、自分の父親代わりのような存在である警官と兄貴分みたいなヤクザの間で板挾みになるっていう映画で、『アシュラ』はこの『新しき世界』をネガティヴな方向に反転させたような映画でしたね。で、この2本の共通点っていうのはそれだけじゃなくて、2本とも男同士の切ないラブストーリーなんですね。まぁ、その辺は観てからのお楽しみということで。
ここまでに名前を挙げた監督以外にもですね、キム・ギドク、ポン・ジュノ、イ・チャンドンなどなど愉快な監督が韓国にはたくさんいるんで、これを機に是非、韓国映画に浸かってほしいですね。