こんにちは。部長の大村さんからバトンを受け取った副部長の熊本です。
一月から新たに始まったブログリレーですが、以前よりも読んでいて楽しく感じます。その理由としては、このサークルに入ってからの一年の間で部員がどういう人間なのかをよく分かったというのもあるかもしれませんが、秋新歓とは違いフリーテーマであることが最大の理由だと思います。各々がただただ自身のしゃべりたいことをしゃべりたいだけしゃべる映研部員特有のイズム(褒めてます)がちゃんと字面はなしからでもよく伝わってくる素敵なブログだと思います。これを読んでいる将来の映研部員のこういった話もいっぱい聞きたいなぁ。
と言う前置きから僕の素敵な話も聞いてくださいな。僕の一番の趣味は映画鑑賞なので2018年に劇場公開された作品のなかでのベスト10を挙げたいと思います。私的なランキングであることから異論は認めません。
10位「ちはやふる 結び」
2016年に公開された「ちはやふる二部作」では期待せずに観てとても良くてびっくりしましたが、今作で完全に打ちのめされました・・・。今作のテーマは「刹那にこそ永遠がある」だと思います。これは青春もそうですが、映画そのものにも当てはまります。そしてこういった青春映画にはその要素がより強くあります。この『青春映画論』が本編だけでなくエンドロールのPerfume「無限未来」までにも一貫していて、感涙です。「ちはやふる 結び」という刹那が日本映画史という永遠に刻まれたと考えると感無量ですね。
9位「ブラックパンサー」
「アメコミ×ヒップホップ」といういかにも映研っぽい映画ながらも映研内ではイマイチ評判のよろしくない本作。大丈夫、僕とアカデミー賞(圧倒的権威)が守ります。個人的には女性キャラクターの描き方や対立する考え、メッセージが現代的で、ヒーロー映画としての面白さもありながらすごく真面目で堅実な映画だと思いました。続編にも期待大ですね。
8位「スリービルボード」
去年のアカデミー賞では主演女優賞・助演男優賞のW受賞を果たした本作。この華々しい受賞歴に隠れてはいますが、ヴェネチア国際映画祭では脚本賞も受賞しています(これも十分華々しいわ)。まぁお話がメチャメチャ面白いので、ネタバレに気をつけてご覧ください。キャラクターがどのように変化(成長)していくのか、どのように3枚の看板の表から裏にいくかに注目。
7位「君の名前で僕を呼んで」
美しい男性たちの熱い愛を描いた本作。やっぱり同性愛ものの映画って面白いなって思いました。ヘテロの恋愛ものよりも自分自身に還元しやすい気がしますし、どうしたって障壁が生じてドラマとして面白くなりますもん(現代においてこの障壁はみんなで解消していきましょう)。音楽も画もキャストも美しいのですが、個人的には主人公のファッションに目がいきましたね。ラコステのポロシャツも着たいし、トーキングヘッズのTシャツも着たい。ちなみにですが、ルカ・グァダニーノ監督の最新作「サスペリア」は私的2019ベストワン候補の素晴らしいトンデモ映画でした。
6位「ROMA」
ヴェネチア国際映画祭では最高賞である金獅子賞を受賞、今年度アカデミー賞では最多10ノミネート、NETFLIX配給と話題性たっぷりの本作。劇場公開はされていないものの、今年公開ということでランクインさせていただきました。モノクロで劇伴もないのですが、画の力が圧倒的でした。さすがキュアロンって感じですね。お友達のルベツキがいなくてもこんなこと出来ちゃうんだもん。NETFLIXに入っている人は今すぐ観れるので是非。
5位「万引き家族」
これに関しては説明不要って感じですかね。「家族」の在り方を問い続けている是枝監督ですが、これは決定打って感じしますよね。あんなにも「正しくなさ」を背負った登場人物が「家族」であることを観客は否定できないのに、実際の社会(観客を含む)は・・・っていうね。「万引き家族」っていうタイトルで怒っている人を見ると、この作品で扱われている問題が表面化しているように思えます。
4位「ヘレディタリー 継承」
もー最高でしたね(コッ)。ホラー映画としてもスゴいんですけど、なんか映画としてスキがないというか。めちゃくちゃよく出来てるなーって思います。虚を突くオープニングからまさかの展開を見せる中盤、どんどんストーリーがドライブしていってからの爆アガりのラストまで全編ドッキドキでした。あとネタバレに敏感な作品なので、レビューとかには気をつけてください。
3位「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」
「万引き家族」と共通するテーマを扱った作品ながら、これはそれよりもドツボにハマった感じですね。画(主人公の女の子の視点)はスゴく鮮やかなんですけど、物語はそれに反して救いがないんですよ。そしてお話がより取り返しのつかない事態になっていくと、主人公の女の子はそれに直面せざるを得なくなって・・・。この映画が「万引き家族」に勝っている点があるとすれば、ラストの爽快感(=泣かせ力)にあると思います。映画の世界から現実にジャンプしながらも劇中最もファンタジックでもある、素晴らしいラストでした。あと演技ですよね。主演のブルックリン・キンバリー・プリンスちゃんの愛らしさもスゴいんですが、なんと言ってもウィレム・デフォーですよ。なんで怖い顔で叱っているだけなのに、あんなにも愛に溢れたキャラクターを作れるのか。ここまで観客の視点を完璧に体現させられるものなのかと。文章量で分かると思いますが、一本薦めるならこの映画ですね。
2位「愛しのアイリーン」
はっきり言ってヒドい映画です(完成度がではなく)。普段映画を観ない人にはとてもじゃないですがオススメ出来ません。人間の醜くさ、チンケさみたいなものがむき出しになったキャラクターたちが本能のままにぶつかりあい、血が飛び散り、セッ◯スし、様々な「愛」が爆発する。「万引き家族」でも使った言葉ですが、「正しくなさ」を持ったキャラクターの織りなす物語の最後に残る「何か」。この「何か」はそれまでの残酷な物語における微かな救いであり、人間そのものの尊厳のようにも感じられるんです。パワフルでありながら優しさも持つ、このラスト。ただ単に「泣く」とか「感動した」とかでは片付けられなくて、未だに自分の感情を処理し切れてないんですが、スゴいラストであることは保証します。
1位「ファントムスレッド」
もー最高でしたね(ボキャ貧)。全編が美しく優雅な画面、音楽、衣装の連続で、オープニングで女性が階段を上がるのをカメラがチルトして追っていった時にはニンマリですよ。なんか観てる間ずっと幸せだったんですよね。お話もホントにキモくてアガります。映画において、三度登場するモチーフの三度目には注目せよというルールみたいなものがあります。この映画にも三度登場するあるアイテムがあるんですが、その三度目が爆アゲなんですよ。「キターーー!ホーワッ、ホーワッ!!」って感じ。主人公ふたりからしたらハッピーエンドですけど、一歩俯瞰から観れる観客からしたらキモくてしょーがない。すなわち最高。
どの作品も大好きなのですが、上位3位は別格ですね。自分の心にしまっておきたい作品たちです。次点だと「若おかみは小学生!」「アイトーニャ 史上最大のスキャンダル」「ボヘミアンラプソディ」「アナイアレイション」「犬ヶ島」「孤狼の血」とかですかね。はじめてベストテンを決めてみたのですが、上位5位くらいまではすぐ決まるんですが下位5位は悩みましたね。だからこそ次点って書きたくなっちゃうんですよ。次点の次点も書きたいくらいです。てゆーか、自分のランキングに納得いかなくなってきた気さえします(笑)。
ここまで読んでくれた人なんているんですかね?(笑)いたとしたら感謝しかないです。そーいえば、このランキングにはディズニー映画が足りませんね(ブラックパンサーは実質ディズニー映画ですが)。そろそろディズニーが足りなくなってきたのでディズニー映画の記事を読みたくなってきました。
ということで部長の大村さんにそのままバトン返したいと思います。楽しい記事を期待しています。