ありえた未来とその現実

今晩は。西浦です。
最近は何かと慌ただしく、ブログを書いていませんでした。
久しぶりですね。

さあ、明日で北大映画研究会の新歓上映会最終日です。
時間は18時30分。場所は北大の高等教育推進機構E218教室です。

1回目、2回目共に多くの新入生にお越し頂きありがとうございました。
新鮮さに溢れた皆さんに書いてもらったアンケートは今後の映画作りの参考とさせていただきます。

私は準備は出来るだけやるような人間なんですけれど、あれだけの人数を前にすると緊張で体がこわばり上手く話せなくなります。

石橋を叩いたつもりが渡る橋を間違えた。そんな気分です。
多くの部員の力を駆り出してなんとか最後まで来れました。

明日までは優しい自分でいられると思うのでサークルを決めかねている新入生の方は北大映画研究会の上映会に顔を出してみてはどうでしょうか。

新生活の違和感を埋めたいと願うなら行動を起こすしかないのです。
私たちはひとつの可能性を提示しているだけですから。
さて、新入生の皆さん。新しい生活はどうでしょうか。

私は一年生の今の頃、何をするにも自由という大学生の日常に押しつぶされまいと苦心しておりました。くだらない奴ばかりだと呪う言葉を胸に積もらせ、特別やることもなく映画や本を読む日々でした。

あの頃の私は、ずいぶん嫌な奴だったなと思います。
札幌の春は遅く、地元の九州ですっかり春の陽気に誘われ、心穏やかになっていた私には、4月の寒さはいっそう腹が立つものでした。

受験に2度も失敗し、プライドの高さだけが残った私には、高校生と相変わらぬ大学生がのさばるようなサークルに入ろうという気は起きませんでした。
北大映研の上映会に参加したときも、なまじ映画を沢山見ていた為に先輩等の話も大したことがないように感じる始末でした。
先輩たちもこの生意気な後輩には頭を悩まされただろうな、と後輩の方が多くなった今日の日に思うのです。

そんな調子で新生活も日常に成り下がり、前期も終わろうとしていました。絡まった心の糸は解けることなく私は苦しさも幸せもない空虚な世界で宙吊りになったままでした。サークルにはそれなりに顔を出していましたが、同期のメンバーはすでにほとんどが去ってしまい周りは先輩ばかりでした。1ヶ月の長い実家暮らしも終わり、私の一年の夏は恐ろしいほど何もなく、季節は秋へと変わるのでした。

夏休みが明けて同期はさらに減り、気がつけば例会も飲み会も一年生は私だけでした。部員の多さを当たり前に感じている後輩たちには驚きでしょうが、そんな時代も直ぐ昔にあったのです。意外なことですが、そんな状況になってからの方が私は気が楽でした。

なんせ毎週いる後輩は私だけですから先輩たちも私にうるさく干渉することはありません。  心地よい沈黙のなかに自分の居場所を見出した私は、心の余裕を持てるようになりました。

余裕が生まれると、自然と他者への視線も温かさをもつのでしょか。私は映研の先輩方が知性やユーモアあふれる人間味のある人々であることに気がついたのでした。このことはまさに驚愕といっていい出来事でした。私は多くのものを見逃し、得られたはずの喜びを失っていたのです。

自分の卑小さを知ったときから私は本当の意味で映研を楽しめるようになりました。そうして部長にまでなってしまうのだから人間わからないものです。

自分が一年生のときを振り返ったらとんでもなく長くなってしまいました。              新入生にはまだ伝わらないかと思いますが、サークル選びはとても重要なことです。自分が何をしたいのかを誠実に考え、後悔しないような大学生活にして欲しいなと願うのです。

では、最後の上映会で会いましょう。じゃーの。

 

【新歓ブログリレー企画】「ウルフ・オブ・ウォールストリート」 レビュー 馬鹿にあこがれる観客 (西浦)

池田に「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のレビューを先に書かれてしまった。賛否がぱっくりなので私の意見を述べようと思う。

最近、私が「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の話ばかりするので皆ご存知だろうが、私はこの映画を大いに楽しんだ。スコセッシの話をすると長くなるので映画にしぼって感想を書きたいと思う。大まかなあらすじは池田の記事を参照してもらいたい。

ディカプ残念ながらアカデミー賞主演男優賞逃してしまった。
マシュー・マコノヒーが受賞したので私としては嬉しいのだが・・・。

「ウルフ~」の映画序盤のディカプリオとマシュー・マコノヒーの掛け合いは非常に魅力的である。

ジョーダン・ベルフォート(ディカプ)の人生はマシュー・マコノヒーの狂気によって拓かれる。

マシュー・マコノヒーがディカプリオをおさえアカデミー賞を受賞するのも当然に思える。
しかしながら、「ウルフ~」でのディカプリオはまさに熱演といってよい演じぶりであった。
この映画にのれるかは、頭がクラクラするあの乱痴気騒ぎに「あこがれ」を持てるかどうかで決まると思う。

ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートは映画中少しも反省しない。全てを失おうとも再び狂乱の世界に身を投じてしまう男である。
司会役でベルフォート本人が楽しそうに映画に出ている。この映画は現実なのだ。

私はジョーダン・ベルフォートを羨ましく思った。あんな滅茶苦茶な人生を送りたいわけではない。どう転んだってあんな風には生きれないから羨ましいのだ。
心情的にはベルフォートを逮捕できた捜査官に近い。

確かに彼自身の正義は守れたが、その正義は地下鉄に乗って惨めに帰宅する彼の人生をなんら変えることはなかった。
ベルフォートと捜査官どちらが人生の勝者なのだろうか。スコセッシは冷酷にそのことを観客に突きつける。映画を楽しんでいた観客こそ悪意に満ちたラストシーンは身にしみるだろう。ベルフォートの講演を食い入るように見つめる聴講者たちはどう見ても映画に熱中している観客そのものだった。

私もまんまと映画に魅了され、ベルフォートの復活を願いながらスクリーンを眺めていた。   そんな私の前にはどうみたって勝者(金持ちだとかモテるとかではない)になれないマヌケがいたのだ!そこで映画は終わる。なんてことだろう。映画館を満足感に浸りながら私は地下鉄で狭い家へと帰っていくのだ。これでは捜査官と同じではないか。

ベルフォートに苛立ち、捜査官側に肩入れ出来た観客は自分の勤勉さを誇れる正しき人たちであうと思う。良識的といっていい。あなたがたの真面目さ。それこそが社会をなんとか維持しているのだ。私だって家族を、顧客を一瞬も顧みないベルフォートのようなクズには呆れてしまう。それでもベルフォートには魅力がある。これが映画の力なのだ。本来の人生だったら馬鹿にして済ませられる人たちが我々を惹きつけてしまう。                        私が「ウルフ~」を傑作だと思うのは、感情移入を許さないキャラクターから感動を生み出しているからだ。

私たちはつい自分はそれほどバカじゃないなと思いがちだ。自分の愚かさには目をつぶり、他者への想像力を簡単に捨ててしまう。堀江貴文氏が逮捕されたことに胸をすかれた人々は多いだろう。「ほーら言っただろ。お金は汗水たらしてこそだ」そんなことを思っていれば自分を鑑みることもせずに、のうのうと生きていける。

しかし、スコセッシは普通は感情移入できないような人達の美しさを観客に提示する。自分の知らない、知らないことすら知らなかった美しさを見せてくれる。まさに映画の奇跡だ。ウルフたちは命を人生をかけてバカをやっているのだ。憧れないでいられようか。             スコセッシは現在71歳。芸術家は歳をとらないのだと痛感する。いくつになっても若々しい想像力で凡庸な私たちが見逃している美しく掛け替えのないものを教えてくれる。

私は間違いなく捜査官のように社会を少しでも良くしたいという切ない思いを抱いて勤勉に生きていく。それでもあの腹立たしい阿呆への想像力を持ちながら生きていきたいと思う。それが「ウルフ~」を見せてもらったマヌケな観客としての私ができるせめてもの監督への感謝の気持ちである。

さて、長々と「ウルフ~」を見た私が思ったことを書いてきた。映画自体に関しても語るべきことは他にも沢山あると思う。編集の巧さは言わずもがなであろう。私の力量ではとてもじゃないが語りえない。まだ見てない人は映画館での上映は終わってしまったが(もっとはやく記事を上げるべきだった)是非、見て欲しい。意外に楽しめる自分に驚くかもしれない。

「ウルフ~」にハマった人には「J・エドガー」と「ヤング≒アダルト」をお勧めしておく。どちらもどうしようもない人たちが主人公である映画の傑作である。

「あこがれ」と「映画」の関係はそのうち語りたいと思います。それでは、また。じゃーの。

【新歓ブログリレー企画】 まだ見ぬ新入生たちへ (西浦)

今晩は。北大映研部長西浦です。

北大入試合格発表終わりましたね。受験生の方お疲れ様です!

北大映画研究会は北大生、藤女子大生で構成される北大公認サークルです。

映画制作を活動の中心としております。

今後も毎日、新入生歓迎(新歓)企画として様々な部員が映研ブログをリレー更新していきますよ。映研の多彩(多才)なメンバーを知るきっかけにして下さいな。映研の部員はサイトのMembersに大体写真付きでのっているのでそちらも是非。

さてさて、今日は私、西浦の話をしようと思います。たいていサークルの空気には部長の人柄が出ているので聞いて無駄な話ではないでしょう。そう願います。

ここから自分語り。はっじまるよ~

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私の話はいつだって長すぎるか短すぎる。簡潔、明瞭な語りは苦手で嫌いなのだ。

ちょっとした私の人生。 映研部員、そして、これを読む新入生と重なるところもあるだろう。

生まれ育ちは遠く熊本。ごく普通の家庭で育てられた私の悪くない趣味は映画を何度も見ることだった。「カイロの紫のバラ」のミア・ファローのようなものだ。テレビ放送の映画をVHSテープに録画して、昼と夜が繰り返すような当たり前さで好きな映画を見ることが、暇の楽しい遊びだった。お気に入りは宮崎アニメやジャッキー映画、そしてスピルバーグ作品だった。

今でもそうだが、宮崎駿、ジャッキー・チェン、スピルバーグはテレビを通して私達の世代に多く親しまれた映画の巨人達だ。最近、宮崎監督、ジャッキーは現役を退くことを発表した。私の映画趣味の始まりの「終わり」をみるのは子供時代との別れのようで寂しい。彼らの後継者はまだ現れないように思われる。アクション映画を教えてくれたトニー・スコットはすでに失われた。

映画への憧憬は高校生になっても途切れず続いた。世界に毒づく生意気盛りの高校生の私は早々に部活に打ち込む人生に見切りをつけ、図書館で本を読み漁った。部員たちは意外に思われるかもしれないが、高校時代は映画館は数えるほどしか行ってない。今では週2で映画館通いだ。札幌は映画館が多く見るものに困らない。熊本にはミニシアター系の映画館(キノとディノスを足したようなもの)とシネコンがあった。単に映画を見に行くほどお金がなかったのだ。

しかし、幸運なことに近所にTSUTAYAがあり勝手に自分の好きな映画を並べた棚を作っていた。アクション、SF映画は有名、無名にかかわらず適当に借りまくった。インテリ気取りの私は映画秘宝を読む前にキネジュンや映芸などの映画雑誌に文藝春秋、中央公論などの教養オヤジ雑誌を読んでいた。少年と老人が同居するヘンテコな高校生だったが、それは大学生の今でも変わらない。

紆余曲折。行ったり来たりの私は北大へと進学し、またも色んな事情からサークルの部長にまでなってしまった。このあたりの事情が知りたい人は新歓のときに私に聞いてくれば大きく脚色して教えよう。予想通り長くなってきた。自分の映画との関わりを話しただけでコレである。

生の部長はこんなにナイーブな文章を書く人間ではない。もっと頭が悪い。直ぐに真面目でなくなってしまう。これはいわばよそ行きの文章だ。面倒な人間であることには変わりないが。ここでいったん筆をとめよう。

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あー疲れた。大体私の人柄わかったかな?私にはわからないな。自分で自分は見えないよ。てんでバラバラ生きている映研の愛しき部員たちを私なぞが代表していいのかしら。     羨ましくない豊かな大学生活を目指すため映研は新たな個性、才能を求めています。    「私、普通だから気後れするな」というそこのあなた!                         映研に興味を持った時点であなたは少し人とずれてるから大丈夫!               映研の入部資格は十分です。

新入生の皆さん!ここまで読んでくれたら是非、新歓にも来て下さい。部員一同、新入生を迎えるため日々面白いことを探しています。待ってるよ。

 

2013年ベスト(ニシウラ)

新年明けましておめでとうございます。部長の西浦直人です。

早速ですが、2013年新作映画のベスト10作品と次点10作品を発表いたします。

第10位
ジャンゴ(クエンティン・タランティーノ)
第9位
ゼロ・グラビティ(アルフォンソ・キュアロン)
第8位
はじまりのみち(原恵一)
第7位
セデック・バレ (ウェイ・ダーション)
第6位
横道世之介(沖田修一)
第5位
アウトロー(クリストファー・マッカリー)
第4位
かぐや姫の物語(高畑勲)
第3位
コズモポリス(デヴィッド・クローネンバーグ)
第2位
きっとうまくいく(ラージクマール・ヒラーニ)
第1位
キラー・スナイパー(ウィリアム・フリードキン)
以上が私のベストテンです。
 
コメントは後にして次点10作品を順不同で発表します。
クロニクル
パシフィック・リム
風立ちぬ
凶悪
ライフ・オブ・パイ
スプリング・ブレイカーズ
地獄でなぜ悪い
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ
ばしゃ馬さんとビッグマウス
ザ・マスター
以上が次点作品です。
 
2013年見た新作映画は少なくとも60作ぐらいはあるはずです。
映画全部で300作品ぐらいはみてるかな。きっと
2013年は良作が多くて20作品ではすべてを取り上げることが出来ないのが残念です。
映画に順位をつけることに意味はないし野蛮なことだと思いますが、
参考までに発表しました。それなりに尖ったベストです。
 
同一人物の評価とは思えないほど作品のテイストが異なります。
私は人格がころころ変わるところがあるので仕方ないね。
映画を見る私。この文章を書く私。飲み会で話す私。それぞれ違うことを言っているので
このランキングに文句を言われても自分でもなぜそれが良かったかは上手く言えません。
 
ベスト10作品で「きっとうまくいく」、「横道世之介」、「ジャンゴ」は異論なく傑作だと思います。
あとは評価がわかれる映画だと思うのでそれぞれ思ったことを述べますよ。
「ゼロ・グラビティ」
傑作見世物映画ですね。見たこともない映像を見せるということをサボってはいけないのです。
「はじまりのみち」
私は名も知らぬ人々のささやかな優しさで生きているのだと思える作品です。
「セデック・バレ」
人間の暗闇とエンタメが見事に合致した見事な傑作です。
「アウトロー」
私だけが面白ければいい映画なのだと思った変な映画。2013年一番回数見ました。
「かぐや姫の物語」
国誉め映画。私たちはこれほど豊かで罪深い世界を生きているのだと教えてもらった。
「コズモポリス」
人間なんて車の中で一生過ごしているようなもの。目を背けるな。それでも孤独を生きろ。その通りだなと思います。ありがとうクローネンバーグ。
「キラー・スナイパー」
ホワイト・トラッシュの楽園。こんなに共感できない映画が存在しようか。感動なんぞゴミにすぎないと叫び散らすフリードキンの顔が目に浮かびます。妬み。憎しみ。不満。こんなネチネチした映画があるだろうか。
うーん。書き足りないです。
ブログの更新をサボっていたので今度からこまめに更新していきます。
2014年も期待作がたくさんあるので皆さん楽しみにしましょう。