2011(コンノ)

お初です。コンノと申します。ナカミチが2011年ベストを投稿したので、僕もします。
ズルイジャン一人だけ。僕も過去作入れていきます。すまなんだ。
第十位 陽炎座(鈴木清順 1981年)
この作品に関してあらすじを書くことはできない。徹頭徹尾でたらめに作られたこの作品はまさに夢そのものである。目が回るね。一応原作は泉鏡花、主演松田優作。こんなものを作ってしまう清順って…と毎度ドン引きします。ちなみに清順はタランティーノやジャームッシュ、リンチなどアート系?な監督に絶大な支持を受けてます。
第九位 復讐するは我に在り(今村昌平 1979年)
なんかタイトル有名だよねー今村昌平だしー観てみよーってなもんで観たらブルブル来たね。『楢山節考』でもそうだったけどこの監督のねっとりした演出はすごい。人間関係にすごい熱がある。緒方拳が連続殺人犯を演じているのだけども、その目つきや言葉のねっちりした感じ!エロじゃなくてすけべぇって感じ。今の映画にない雰囲気を感じます。
第八位 御法度(大島渚 1999年)
新撰組のホモ話。松田龍平デビュー作。ビートたけしも浅野忠信も出てるし、音楽坂本龍一、衣装ワダエミと巨匠ってすげー好き放題や!しかし、このようにまさに役者ぞろいの出る杭だらけの映画で、落ち着きがあり、かつ役者の持つ雰囲気を殺さない演出をする大島渚はやはり偉大。意表を突くキャスティングでこの人に勝る人はいないな。たけしを初めて使ったのもこの人だし。さらにこの映画はとにかく殺陣がかっこいいってところも見どころ。巨匠っていいな!
第七位 パーフェクトブルー(今敏 1998年)
まさかのアニメ。『ブラックスワン』が注目されたが、町山智浩が『ブラックスワン』は『パーフェクトブルー』をオマージュしている!と発言したことで、この作品も注目された。両方見たけど『パーフェクトブルー』の方が気に入った。人を狂わせていく演出方法はこちらの方に分があるように思う。今敏は多分これが一番おもしろい。
第六位 CURE (黒沢清 1997年)
思えばサスペンスタッチな作品が多いな。黒沢清の作品は実は観てなかったんだけど、おったまげた。頭がおかしい男と話すとこっちも狂っていってしまうという、なんだかちょっと陳腐さのただようお話をものすごい緊張感で描く。なんだかこっちもくらくらしてくる非常に怖い映画。
第五位 天国の日々 (テレンス・マリック 1978年)
『ツリー・オブ・ライフ』でカンヌを取った超寡作監督テレンス・マリックの代表作。これでもカンヌ監督賞を取ってます。名カメラマンネストール・アルメンドロスがほぼマジックアワーで撮りきるというこの無茶な映画は、その甲斐あって唯一無二の美しさを誇る。これはCGじゃできないっしょ!ってなもんでぃ。それだけではなく、男女の愛憎という王道の物語で普通に観てても楽しめる優秀な作品。
 
第4位 スコットピルグリムVS邪悪な元カレ軍団 (エドガー・ライト 2011年)
去年一番ワクワクした映画。ゲーム、マンガ、音楽と僕らの世代の魂を感じる!最初から最後までネタで出来てるこの映画は僕らの世代なら誰でも楽しめる!と思う。だってゼルダの伝説のあの効果音が流れたり、元カレ倒したらコイン出たり、1UPまでできるんだよ?コンボも決まるんだよ?ちなみに原作はびみょーでした。
第三位 台風クラブ (相米慎二 1985年)
こ、こんな映画があったなんて…。常識では考えられない長回しで、学校に閉じ込められた少年少女の狂気を描く。長回しのくせに一時も画面から目が離せない。この監督は普通とは違う感覚で映画を考えているのだろうか。ラストの衝撃も出来すぎ。感服感服。
第二位 黒猫白猫 (エミール・クストリッツァ 1998年)
僕もイバヤシに勧められて観たんですよね。この映画の圧倒的幸福感!爆笑!うれし泣き!すべての伏線は幸福につながる!こんな幸せの洪水があっていいのだろうか。「ものすごい次元の茶番劇」。
第一位 ブルーバレンタイン (デレク・シアンフランセ 2011年)
2011年ということもあって一位。この新人監督にはホントにびっくり、賞賛の言葉しか思い浮かばない。仲の良かった夫婦が別れていく過程をお話ではなく、映像によって見せる。なので観客は2人が別れなければならないことは分かるが、その理由を言葉にすることはできない。映像から2人の悲しさが痛いほど伝わってくるという恐ろしいレベルの演出力。こんなに直感的に悲しい映画なんて反則だ。
書ききりました。適当な文章の割りに結構かかった。では、今年2012年の展望を書いて締めたいと思います。
映画というメディアは、その手間のかかる性質から現実に起きた出来事に対するリアクションが遅いのです。そういうわけで3.11に対する映画の反応は今年になってやっと出てきます。すでに挙がっているタイトルでも園子温『ヒミズ』やビクトルエリセ、河瀬直美などによる『3.11 a sense of home films』、岩井俊二『friends after 3.11』などがあります。また間接的に3.11を思わせるような作品がいくつも出るでしょう。ですから、実は映画を観るのが色んな意味でしんどい年になるかもしれません。悲しみと苦悶の中にある意義深いものを見せてくれる映画を期待します。個人的にはまさに「インパクト」が起こった後で『エヴァ』がどう進化するか観たいです。4部作になったのもきっとこの事情があったからだと思います。

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