ひとりぼっちの君へ《アララの呪文の効力》(ツシマ)

「ひとりじゃない」とはどういう状況なのだろうと考える。辞書には「ひとり」の項目にこのように書かれている。
「自分だけで、仲間・相手がいないさま。」
つまり「ひとりじゃない」とは「自分だけではなく、仲間・相手がいる」状況ということになる。
「ひとりじゃないから 私が君を守るから あなたの笑う顔が見たいと思うから」
これはAIの「Story」という歌の歌詞である。なるほど「私」と「君」「あなた」は仲間であると推測できる。笑顔を見るためにはどんな覚悟も辞さないような熱い友情が感じられる。
ただ、本当にひとりぼっちの人間はこの歌を聞いても救われた気持ちにはならないだろう。「俺の涙の理由がお前なんかにわかるもんか」「どうせ助けなんかに来るものか」
そんなひとりぼっちをこじらせた人に聞いてほしいのが「アララの呪文」という曲だ。歌詞はさくらももこが担当している。
「ひとりで泣いてる時も思い出してね あなたの笑顔がきっとすぐに駆けてくる」
この歌詞には他者がいない。泣くのは自分一人の問題として捉えている。ひとりで泣いていても、いつかきっと笑う日が来る。そのことだけは忘れないで欲しい。渾身のメッセージだと思う。
歌詞はこの後「なんとなく可笑しいね」と続いている。さくらももこほど、人間を知り尽くした人はそういまい。

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