魅惑の似非楽園音楽(ナカミチ)

やっぱりこの人すげえ人だなと思うアーティストがいて、その名をLuke Vibert(ルーク・ヴァイバート)といいます。全く映画と関係のない話になるのですが、今回は新歓時期ということも無視してこの人の音楽についてYouTubeを多めに使いながら書いていこうと思います。
Luke Vibertは1973年生まれ、イングランド、コンウォール出身のテクノミュージシャンです。彼の音楽性は良い意味で「無節操」という言葉が一番似合います。テクノ、ハウス、ドラムンベース、ディスコ、ブレイクビーツ、ジャズを行ったり来たり、変幻自在で、Luke Vibertの他にWagon Christ、Plug、Amen Andrews、Butler Kiev、Kerrier Districtなど複数の名義を使い分けており、気付いたら新譜出てたという状況が頻発するアーティストです。
初期はリアルタイムで彼の音楽を聴いていなかったので正しいことは言えないのですが、最初はアシッドテクノあたりの曲が騒がれるようになり、次第にそのほかのプロジェクトも注目されるようになっていったようです。Mo’Wax、Ninja Tune、Warp、Rephlex、Planet Mu、Rising Highなど様々なレーベルと契約しており(しかもどれも名レーベル!)、テクノ界での注目度の高さが窺えます。
嘘か真か、「ジュースをこぼしてキーボードを壊したとき以来、サンプラーのみで作曲を続けてきた」と言っているくらいなのですが、サンプリングセンスが他の追随を許さないレベルで、楽曲を解体し再構築するということに関してはグリッチが登場する前から一人ずば抜けた能力値でした。
ぐだぐだ説明するより実際に曲を聴いた方が早いと思うので代表曲や個人的に好きな曲を以下に。

2003年『YosepH』収録。アシッドな感じを全面に押し出した楽曲。Warpからのリリース。

2009年『We Hear You』収録。数え切れない数の楽曲からのサンプリングを使っており、無数の「声」がひとつになっていく様は感動的ですらある。

The Ace of Clubs名義。2002年『Classid Trax』収録。フロア向けという感じ。冒頭部分のネタ元はFunkadelicのあの名曲。

Kerrier District名義。2004年『Kerrier District』収録。シカゴハウスっぽい怪しい感じのあるディスコ曲。

Wagon Christ名義。2004年『Sorry I Make You Lush』収録。こちらも無数のサンプリングで構成されている。音楽好きほど泥沼にはまるネタ使いが素晴らしい。

2000年『Stop The Panic』(スティールギターの名手BJ Coleとのコラボ作)収録。ハワイアン・ブレイクビーツという、もう何が何だか分からないジャンルの曲。というかジャンル付けをする意味が無い。

同じく『Stop The Panic』収録。こちらもサンプリング主体。細部でヒップホップ的な要素やスチールギターを導入していながら全体的にはジャズっぽい感触に仕上がっているという不思議な曲。
ここまで全部聴いてくれるといかに変幻自在、かつセンスの高いアーティストであるか一目瞭然だと思います。つい最近リリースされたWagon Christ名義での新作もかなり良かったです。というかほとんどのリリースが佳作以上で、どれを聴いてもがっかりしないのがすごいなぁと常々思っています。
次回は「映研ではどうやって一本の映画を完成させているか」か、もしくはまた音楽について何か書きます。

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