「ドゥ・ザ・ライト・シング」レビュー(池田)

ドゥ・ザ・ライト・シング(原題:Do the Right Thing)

 

 

予告編

1989年アメリカ

監督、脚本、製作:スパイク・リー

音楽:ビル・リー

撮影:アーネスト・ディッカーソン

出演:ダニー・アイエロ、オシー・デイヴィス、ルビー・ディー、リチャード・エドソン、ジャンカルロ・エスポジート、スパイク・リー、ビル・ナン、ジョン・タートゥーロ他

あらすじ

この夏最高に暑い日を迎えようとしている、ブルックリンのベッドフォード・スタイヴェサント地区。黒人が多いこの町で、イタリア系アメリカ人サル(アイエロ)の経営するピザ屋は25年にわたって町民に愛されてきた。だがその日は、配達係ムーキー(リー)の友人バギン・アウト(エスポジート)が、壁に飾られている写真がイタリア系の有名人ばかりであることに言いがかりをつけてきた。これが発端となり、彼らの人種間の軋轢が表に出始める。

 

 

レビュー

監督は人種差別、貧困、麻薬など重苦しい作品(『スクール・デイズ』(1988)、『ジャングル・フィーバー』(1991)、『マルコムX』(1992)、『クロッカーズ』(1995)など)が多いスパイク・リー。出演もしており、本作ではやる気のないピザ配達人を演じる。

 

黒人街が舞台だが、ピザ屋のイタリア系親子、商店の韓国人夫婦、プエルトリコ系の若者グループ、白人の警官などさまざまな人種が登場する群像劇。夏の暑さの表現がうまく、登場人物の不快、イライラが伝わってくる。

 

 

飲んだくれだが哲学的な老人、巨大ラジカセを持ち歩く男、どもりながら写真を売る男、無駄話ばかりの中年三人組など個性の強いキャラクターが多くて面白いが、露骨な人種差別表現は見ていて気分のいいものではない。カメラ目線での偏見発言5人連続のシーンはすごい。

 

 

終盤に近づくにつれて(表面的に)良好だった人間関係が崩れてゆき、悲しい事件が勃発。誰も得しない形で終わってしまう。名作、傑作とは思わないが、私は何度も鑑賞してしまう。

豆知識

・狂言回し的な存在のラジオDJを演じるのは、無名な頃のサミュエル・L・ジャクソン

 

・音楽を担当したビル・リーはスパイクの父で、ジェイド役のジョイ・リーはスパイクの妹

・白人警官二人組、ポンテとロングは『ジャングル・フィーバー』でも同じ役で出演。さらにロング役のリック・アイエロはダニーの息子

・黒人の若者グループの一人は、『バッドボーイズ』シリーズでウィル・スミスと主演を務めたマーティン・ローレンス。ほぼデビュー作

 

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