【映研ブログリレー企画】少女は自転車にのって(山木)【レビュー】

どうも、3年の山木です。こんばんは。映研ブログリレーということで、最近見た映画のレビューを書きます

 

『少女は自転車にのって』

サウジアラビア初の長編映画であり、初の女性映画監督による作品という、初めてだらけの作品。

サウジは家庭でのDVD等の視聴は可能なものの、映画館の設立が禁止されています。しかもイスラム教国で女性監督なので(サウジ女性参政権ないし)びっくり仰天、どうしてこんなに素晴らしい作品が撮れるのかと驚かずにはいられません。

大体のあらすじは、主人公の少女ワジダが、近所の少年が自転車に乗るのを見て自分も欲しくなり、お金を貯めて自転車を買う(サウジでは少女が自転車を乗るとか考えられない。そんなはしたない事をしていてはお嫁に行けない。)というお話。近所の少年はワジダのことが好きなので「へいへーい!追いついてみろよー!」といった感じ。ワジダはワジダでコンバースのスニーカーをいつも履いているようなおてんば娘なので、欧米のラブソングのカセットを焼いて売ったり(イスラム教国なので欧米のラブソングを少女が聴くのを憚る。ましてや学校に持っていくとかありえない。)、クラスメイト(女性は男性に素肌を見せないので全員女性。先生も全員女性。)のラブレターを取り次いだり(サウジでは女性の結婚前の恋愛禁止)と、反体制的なやり方でお金を稼いでいきます。ところがどっこいお金がなかなかたまらない。そこに舞い込んでくるコーラン暗唱大会の話。反体制的なワジダは、体制派ど真ん中のコーラン暗唱大会で優勝を目指す。全てはお金のため、自転車のため。

少女が自転車にのる、というあたりがまず萌えポイント高得点なのですが(女性が刀を振るうのとか、銃をぶっ放すのとか好きです)、ワジダの表情があまりに生き生きしていて、もう、すばらし!やりたいことをやるために全力になる姿は見ていて非常に心地良いです。

この映画を見に行く際の懸念は、サウジの社会状況を叙述するための映画になってしまっていないか(こんなにサウジの女性は大変なんですよ!というのを見せられてもつまらない。何かを主張するための映画ではなく、映画は映画の為の映画であって欲しい。)、また初の長編映画ということで技術面や演出面が弱いのではないかということでした。しかし、全くそんなことはないどころか、むしろ僕ごときが調子乗って批判していいレベルじゃない程に素晴らしい出来でした。

去年の僕の年間ベストが『駆ける少年』でして、『少年と自転車』とか『運動靴と赤い金魚』とか似た雰囲気の映画も結構好きなのですが、この『少女は自転車に乗って』はかなり上位に来るレベルで好きです。ワジダ可愛いよワジダ。

シアターキノにて11時半から上映中です。ずっと気になっていた映画で、札幌では上映しないのかと落ち込んでいたのですが、やはりキノがやってくれました。さすが我らのシアターキノ!!!

 
最後に映研の雰囲気について一言のべて終わろうと思います。出戻り自由、何となくいるのも自由という寛容さはみんなが書いてくれていた通りです。映研は議論ができる場なので、飲み会では映画の話はもちろん日本経済の話からAKB48の話まで様々な内容を話していたりします。寛容なので、AKBファンの前でAKBを批判しても怒ったりせず「でもそれは〜」と理性的な反論が返ってきます。誰かが「この映画面白かった」というのに対して、つまらないお世辞とか無視して「いやいやダメでしょ」と返す人がいて、「ここの部分がこうだから良い!」「いやここはありえない!」と議論になっていくわけです。いいですね。

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