『ヤング≒アダルト』(2011) (ウエニシ)

春になった。大学三年生になった。そして21歳になってしまった。
「21歳」という文字からあふれる現実感に流されそうになっている。
自分は3月生まれという人生のスタートから周回遅れぎみなのに、浪人なんかもしちゃったものだから高校の同級生は大学4年生になり、22歳になり、来年には卒業する。
卒業といったら尾崎が夜の校舎窓ガラス壊してまわるアレで、ダスティン・ホフマンが教会に花嫁奪いに行くアレで。法学部的には両者文句なしにアウト。
自分もあれよあれよと大学4年になり卒業してしまうのかと考えると、こないだ入学したのにナァ…とFacebookあたりに赤裸々でセンチメンタルな投稿をしてしまいそうになる。まだ社会には出たくない。というか出ていけない。
映研からも卒業生が旅立った春休みに、『ヤング≒アダルト』(2011)という映画を見た。監督はジェイソン・ライトマン(お父さんはゴースト・バスターズの監督だよ)、脚本はディアブロ・コーディという『JUNO』(2007)コンビ2度目の作品。
主人公はヤングアダルト小説(日本でいうところのラノベ)のゴーストライター、メイビス。ある日、彼女の所に高校時代の元彼氏から「赤ちゃん生まれたよ!パーティおいで!」とメールが届く。
メイビス、今でこそヌーブラつけたまま寝るバツイチ37歳だけど、高校時代は超イケイケだった。もう向かうところ敵なし。メイビスは考えた。元彼を略奪そして再婚してしまえばあの頃の自分に戻れるのではないかと。あの輝いていた頃の自分に!
そこで彼女はバッグに服とヌーブラとパソコンと犬をつめて一路イケてる自分がいた故郷に、自分がイケていた頃の音楽をかけながら車を走らせた。自分史上最高のアタシを取り戻すために。
故郷につき、元彼とも会う算段もつけムフフと一人バー(もちろん自分がイケイケだったころに行っていた)で一杯やっていたところに、高校時代ずっと隣のロッカーだったというマットが話かけてくる。
このマット、「チビ・デブ・ブサイク」というサリヴァンも救いがたい三重苦を背負っているうえ、高校時代は学校一のいじめられっ子だった。もう向かうところ敵だらけ。しかもゲイと決めつけられて脚をへし折られて障碍者になった。もういじめとかじゃなくて犯罪。傷害罪。法学部的にアウト。
高校時代の輝かしい思い出を引きずったまま都会に出て行ったメイビス。
高校時代のトラウマから逃げられずに田舎に閉じこもったままのマット。
高校時代から成長できない二人。
マットはメイビスが元彼を奥さんから略奪しようとするのを止めようとする。
そんな中メイビスの元彼を巡ってある事件がおきる。
あらすじはこんな感じ。
『桐島、部活やめるってよ』(2012)を見たときは、さえない男子高校生達に「わかる!わかるよ!その気持ち!」とウンウンうなずきながら見ていたけれども、この映画を見ると高校時代イケイケだった人ともいつか分かり合える日が来るのかもと思ったよね。昨日の敵は今日の友。
「大人だけど高校時代から成長できていない」っていう感覚が今の自分にはしっくりきて。
そりゃあこっちだってハタチ超えてますから社会的にはオトナってことになってますけど。
大学って高校の延長みたいなところあるじゃないですか。でもハタチ過ぎるともうオトナって自覚せざるをえなかったりして、入学前とあまり変わってなかったりもして。じゃあ大人ってなんなですか?みたいな。ちょっとソコどうなってんの?みたいな。
『ヤング≒アダルト』を見る限り、過去の自分にケジメをつけることが大人になることかもしれない。
というわけで21歳、私、ヤングからアダルトになります。

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