春新歓ブログリレー⑦ 「サルミアッキ」

初めまして。順番が回ってきたので書きます1年の寺西こと絶望感です。初めに言いますがタイトルは適当です。

渡されたバトンを見てみるとなんだか映画の話ばっかり続いてますね。まあ映画研究会なので当たり前なんですけれども。

しかしここには沢山の人がいます。そんなに映画を見てない人もいます(たとえば自分)。

現に今書く内容なあんにも思いついておりません。

んー、好きな本の話でもしましょうか。

私の好きな本に「家畜人ヤプー」というのがあります。

この本は覆面作家・沼正三によって執筆され、「奇譚クラブ」という雑誌にて連載された小説です。あまりに強烈な内容から『奇書』の類として扱われることもあります。あらすじは196X年、日本人留学生の瀬部麟一郎とその婚約者であるドイツ人のクララは、不慮の事故から不時着した西暦3970年の未来帝国EHS(イース)人ポーリーンの勘違いによって彼女の故郷であるイース帝国へと連れていかれてしまう。そこは白人至上主義の世界で、黒人は奴隷として酷使され、黄色人種である日本人は「ヤプー」と呼ばれる家畜(畜人)であり、未来の発展した科学技術によって愛玩動物から生体家具(生きた家具)、果ては消耗品などに使用される「モノ」として扱われるのであった。幸い白人であったためにクララは丁寧にもてなされたのだが、日本人であった麟一郎はヤプーとして過ごす運命となってしまう…というもの。

なんといっても面白いのはこのヤプーの扱われようです。思わず笑ってしまう(人によっては吐き気を催す?)ほどにひどい扱いを受けるのです。しかもただコケにされるだけではありません。イース帝国では洗脳教育により、ヤプーはそのように家具としてイース人に使役する日々を送ることがこの上ない幸せで感じられるようになっており、自らその運命を受け入れているのです。誰もこの関係に異を唱えない。イース人側はこの「便利な生活用品」を用いるのが普通であり、ヤプーはイース人の道具となり果てることが当たり前なのです。連載された雑誌のことも考えると、これは究極のマゾヒズムといえるでしょう。

また関心すべきは、これらヤプーがどのようにして使役しているのか。それが詳細に描かれているのです。技術の面は勿論のこと、ヤプー使役の過程で生まれた文化、法律、派生言語、(若干こじつけの印象も感じますが)タイムマシンによる過去の日本への影響など、この作り込みには脱帽します。

例えば、ヤプーの中には「子宮畜(ヤプム)」というのがいます。これはイース人の女性が妊娠した際に胎盤をヤプーの雌(ここが「女性」と書かれないのも注目!)に移植し、代わりに胎児を育てさせるのです。しかし、ヤプーからイース人が産まれるのは好まれないため、帝王切開によって子供が産まれます。このため選ばれるヤプーは難産型が好まれ、なおかつ処女でなければならないそうです。そしてこのヤプムは原産国である「邪蛮(jaban)」からの厳しい検査によって選出されます。合格したヤプーは国民にとっての憧れであり、それらは「お袋様」(「子宮」の意で「袋」)であったり、「聖母様(マリア)」(神であるのイース人の子を処女受胎するため)と呼ばれるのです。ちなみに「ヤプム(yapomb)」とは「ヤプー(yapoo)」と「子宮(womb)」から生まれた言葉だそうです。

また、原球面(過去の地球)へ旅行にいったイース人が水中を移動する際に用いる乗り物に「両棲畜人(アンフィビ・ヤプー)」というのがあります。これはヤプー育種学によって海中では人工鰓で、陸上では全身の皮膚呼吸で生きていけるように品種改良されたヤプーです。背中に小型の原子力ジェットを積み、頭部に跨って移動します。跨りやすいように顎の方が細くなるように削られるため頭部は逆三角形の形をしています。この両棲畜人を生み出すまでに様々な試作品が作られており、それぞれバージョン毎にアルファ、ベータ、ガンマ…と名称が付けられたのですが、最終的に広く普及したのはこの「カッパ」タイプでした。これが原球面で原始ヤプーに目撃されたことで、河童の伝説は生まれたのでした。

いかがでしょうか。これでも簡単な説明にした方です。これだけ緻密に作られた説明(やっぱりこじつけ?)が次から次へと現れるのです。それがこの「家畜人ヤプー」の魅力のひとつでもあるのですが、読みにくさの原因でもあります。この流れ込んでくる洪水のような情報の波に飲まれつつも、その中にある圧倒的なマゾヒズムを感じ取ってみてください。きっとこの小説の虜となるでしょう。

どうでもよいですがどうも私は読みにくい系の小説が好きみたいですね。「虚人たち」とか「道化師の蝶」とか好きですし。

というわけで、映画を全然見ていなくても別に問題ないですよ!という話でした。そうだったっけ?

春新歓ブログリレー⑦ 「サルミアッキ」” への1件のコメント

  1. 僕、石ノ森章太郎の漫画版持ってます。
    興味のある方、言ってくれたら貸しますよ。

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